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◎竹やぶ(そば)04.12.20 初めて行った店
地図中央の赤い十字が店の位置
◇柏市の超有名な手打ちそば。東京から来る客も多いらしい。箱根、六本木ヒルズにも店があるが、ここが本店。
店主の阿部孝雄氏は、江戸そばの伝統を受け継ぐ藪の御三家(神田、並木、池之端)の池之端藪蕎麦で数年修行した後、柏駅前に店を開き、昭和56年にここに移転したそう。守谷の竹やぶ、つくばの夫婦庵の店主はここで修行し、つくばの蕎舎の店主は夫婦庵で働いてたそうだ。ここのそばを食べずにそばを語るな、という声もあるほど。そばを語りまくりたい私としては行くしかない。
場所はしっかり調べて行った。
16号から柏公園前交差で東に入って1km程行くと、左側に公園があり、右の道沿いにこの店はある。しかし、この辺にあるはずと車をゆっくり走らせ、キョロキョロ探しながら行ったのに見当たらず、通り過ぎてしまった。
引き返すと、公園の向かいの派手なカフェの隣の駐車場付近に目立たない小さな看板があった。車を停めてじっと見ると、竹やぶ、という看板がかろうじて読めた。

〈崖の下にある入口と駐車場〉
駐車場とカフェとの間のひなびた門をくぐり、中の小道を辿っていく。フェンス沿いの平坦&かなりなだらかな上りを5〜6m行ったところで道はヘアピン式にカーブ。ここからは木塀に沿って、すこし傾斜のある石段がずっと上まで続いていた。

〈上りの階段〉
この石段は、床面・壁面を自然界にある木(もちろん竹も)、土、石などを軸に、カラフルなおはじき、ビー玉や金属などを加えてあり、あちこちに独創的なオブジェや焼き物が点在してた。芸術家(=店主?)の手造りの小道らしい。
一段置きくらいに足元燈らしきものがあり、夕暮れ時のライトアップを、見てみたい気がする。
道中には、カフェへの別れ道あり、門あり、休憩所、展望台っぽい場所(or見張り台)、頂上近くには礼拝室(?)兼図書室ありだし、壁面には穴が開いてたりしてて、この道はいっぱいの遊び心で作られた、大人のアドベンチャーロードなのかもしれない。(休憩所は兼喫煙所かも)
途中ふりむくと、眼下には手賀沼の長閑さと開発とが混在する田園風景が広がっていた。

〈石段からの眺め〉
約70段の階段をのぼりきると、白い壁と焦茶色の大ぶりな板扉(引き戸)があって、入口のよう。扉の上部にデザインガラスがはめ込まれてたが、中は全く見えなくて、ちょっと緊張する。

〈石段を上りきったところにある入口〉
店内かと思ったが、扉の中は外周が八角形を半分にした形の3〜4畳くらいのほの暗い空間になってた(ストーブがついてて暖かかった)。窓側の床面には浅い池があり小さな金魚が泳いでいた(この下に水琴窟があるらしい)。
この空間には(入ってきた板扉の他に)正面と右手の2カ所に板扉が付いてた。

〈池〉=水窟琴らしい
まず、膝丈のデザインガラスから光の入ってきてる正面の板扉を開けたら、扉の向こう側は建物の外だった。数メートル先の暖簾をくぐって外まで行って、振り返ると武家屋敷のような白塀に囲まれた入口になってた。竹やぶというシックで高級そうな立て看板がでてて、ここが正面玄関のよう。道路を挟んで駐車場があった。

〈正面入口〉
再び池のある小部屋に戻って、右側の扉を開けたらと店内だったが、すぐにお待ち下さいと言われたので、扉を閉めて待つ。
少し待つと内側から扉が開いて、きりっと風格ある50代くらいの女性にどうぞと言われ店内に通された(店内はとても温かかった)。
店内は縦長で扉を入ると通路がまっすぐに店内奥の方まで延びてた。
手前右手に小上がり風のお座敷(4人×2)、手前左にテーブル席(4人×2)があった。テーブルは小壁で仕切ってあって、個室っぽいムード。お座敷席の前の備え付けらしい火鉢では、炭が燃えてて、鉄瓶が湯気をたてていた。日中なのに薄暗い室内はランプ様の温かみの灯りで照らされてて、高くて梁のむき出しの天井にはファンがあり、壁には半円状の飾りなどが埋め込まれてて、和風のものと洋風のもの、クラッッシックなものとモダンなものとが混在してて不思議な雰囲気。

〈テーブル席〉 〈お座敷席〉
奥の左手に厨房がありその先がトイレ(男性用と女性用)になってた。右手側と、店内のいちばん奥にはお座敷席(個室)があるみたい。あまり広くはないよう。なお厨房付近にいた細身の30代位の女性がいたがこの人は店主の娘さんかも。

〈店内奥〉
席に座り、運んできてくれたメニューを見た。表紙にダイナミックな文字でお品書きと書いてある、全ページ和紙に手書きされたハンドメイドの冊子メニューで、どのページにも個性的な切り絵(英文字の切り絵もあった)風のイラストが入り。品名の脇に注釈が書いてあった。
◆メニューは
・石臼挽きせいろそば¥1050、汁なし¥840
・手挽き田舎せいろ¥1050…数に限りあり
・そばがき¥1365
・天ぷらそば¥2520
・天せいろそば¥2520
・とろろそば¥1365
・おろしそば¥1365
・にしんそば¥1890
・そばがき¥1365
・もりうむどん¥1050
・納豆うむどん¥1365
・ちょっとおまかせ¥5250
・おまかせ料理¥10500
・玉子焼き(1人前)¥630…2人前より
・焼きみそ¥630
・焼きのり¥630
・とうふ¥630
・板わさ¥840
・にしん¥1050
・ぜんまい¥630
・天だね¥1890
◆のみもの
・甘味…水あずき¥525
・りんごジュース¥525
・ウーロン茶¥315
・生ビール¥600
・お酒(天狗舞)¥945
・冷酒
天狗舞山廃¥1260、菊姫にごり酒¥1050、鄙願(ひがん)大吟¥2620
・菊姫大吟¥3150
ちょっと悩んで下の4点を注文した。
・そばがき¥1300(税込¥1365)…素朴なそばの風味を味わって下さい
・玉子焼き1人前¥600(税込¥630)…2人前より
・手挽き田舎せいろ¥1000(税込¥1050)
…そばの実を殻つきのまま石臼で手挽きしております。数に限りがございます
・天せいろそば¥2400(税込¥2520)
…活きさい巻き海老を太白生しぼり胡麻油でかきあげにしております
お茶やお水は出てこない。少しして、大きめの広口椀(蓋付き)のそばがきがきた。蓋を開けると穀物のやわらかなにおいを含んだ湯気が立った。椀の中には茶巾型のそばがき&熱々のそば湯がが木の葉っぱを添えて楚々とした風情。

〈そばがき〉
このそばがき、見た目よりずっとやわらかくて、簡単に箸がめり込んでいき、すんなり取り分けられた。食べるとそば粉で作った餅って感じで、口の中につきたての餅にも似たなつかしい穀物の香りが漂う。食感的にはつきたて餅っぽいが、それよりネバネバ感がないのでくっつかないし、極めの細かい空気を均等に含んでふくれてる感じ。やさしく不思議な食感で、そばの風味が柔らかにまろやかに感じられた。付いてた辛口のつゆをつけると、より甘さが感じられた。大きいと思ったのにあっさり食べられた。なめらかなのになめらかでソフト、つきたての餅より味わい淡泊でタッチがソフト。そばがきがこんなに上品な味わいのものだったとは知らなかった。
おまかせで料理を頼んだわけではなかったが、懐石料理のように順番に料理が運ばれてきた。次に出てきたのは熱々焼きたての状態の玉子焼き。渋い柄の皿に鮮やかめの黄色に適度な焦げめのついてる玉子焼きが2つ切ったようにして盛り付けてあった。脇には大根おろしがたっぷりめに添えてあった。
食べると、甘さの効いた子どもが好きな玉子焼きではなく、全く甘さを加えていないだし巻きっぽい玉子焼き。料亭風にすり身や粉のたぐいは加えてないようで、食べると口いっぱい玉子自体の風味が広がる。玉子焼きって、玉子の溶き方、火加減、油の量などで出来上がりが大きく違ってくる難易度の高い料理だが、ここのは玉子がたっぷりとだし(主に昆布?)を抱え込んで焼けてる、ふんわりジューシーだけどちゃんと玉子にコシもある、そんな玉子焼きだった。油は適量使ってあるようだが、油っぽさはほとんど感じられなかった。まさに日本酒の肴にぴったりって感じ。このまま何もつけずに食べてもいいくらいの塩味がついてたが、好みでちょっとお醤油をたらすと、また別な味で楽しめる。

〈玉子焼き 1人前〉
次に上品な色合いの塗りの器でそば湯が運ばれてきた。この店はそば湯がお茶がわりのよう。そば湯はポタージュ状の濃度のあるものではなく、色も風味もほんのりとした奥ゆかしいもので、これはホントにそばをゆでた湯のようだ。

〈そば湯〉
次にきた田舎せいろは、茶色の太めのそばだと予想してたのが、そば表面がつやつや光ってる透明感のある茶色い細そばだった。殻ごと挽いてるので、黒っぽい粒々が混じってて、こんにゃくに見た目似てる。そばの幅はまるで機械打ちのように安定してる。口に入れるとそばの味が広がり、こんなに濃厚にそばの風味が感じられるそばは初めて。つゆは、甘さ控えめの濃い口で、力強さがそばの濃厚さにぴったり。そばの量はT粋Uな感じで控えめ。殻付きのそばは初めてだったが、他店の田舎そばとは全く異なるもので、濃厚な味わいの中に大地の力強さが感じられるようなそばだった。まさに目から鱗の感じ。数に限りがある手挽き田舎せいろが食べられて、わたしってほんとに運がいいっ!

↑手挽き田舎せいろ¥1050
天せいろそばは、そばつゆは銅製の深い急須に入っていて、容器ごと熱々だった。田舎せいろのつゆとは異なり、かつおの風味豊か。そばは漆塗風で高級のあるザルに、量控えめにあった。かきあげは、円形のやや厚みのある形(夫婦庵のより厚みは薄い気がした)。その中の、さいまき海老(=20g以下小さい車エビのこと)は活きというだけあって、ぷりぷりしてて鮮度の良さが感じされた。胡麻油の天せいろのそばは光沢のある細そば。

↑天せいろそば¥2520
接客は50代くらいの風格のある女性がほとんど1人で行っていたが、そばがきなど白い調理着姿の男性が時折り料理を運んできた(まだ若い人だったので、店主ではないと思う)。
敷地全体が店主のアトリエのよう。そばの量は控えめで、全店禁煙、お子さまお断り、と条件が厳しく、用いてた器はどれも、選んだものらしく、質感しっかりしてて料理にも映えていた。現実から心も体も離れてゆったりとそば本来の味を楽しみたい、そんな時によさそう。
うーん、こんなそば店があったとは。傑出した別境地のそば店。おすすめ度は、県外にあることもあり、遠慮してつけないでおきます。
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