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◎人生ラーメン(ラーメン)04.7.14 初めて行った店
水海道市豊岡町乙1485-1 電話0297-24-1212 地図中央の赤い十字が店の位置
◇昼は営業していないが、インターネット上で有名なラーメン店なので以前から気になってた。場所がわかりにくいそうなので、情報をしっかり集めてから出かけた。
つくば方面から豊水橋を渡って、最初の信号から右方向に約20mの位置(鬼怒川の土手沿い)に店はある。しかし、その信号から右に向かう道は、高い位置(高台)にある道路から土手に降りるための狭い道で、人が歩いてなら行けるが車は通れない。車で行くには、豊水橋を渡って2つ目の信号の場所で右折し、約20m進んでまた右折して車が行き違うのも難しい細い道を40mほど行って土手に突き当たると、右手に店が見える。「ほう、こんなところに」という普段なら絶対通りかかることのない場所にプレハブ造りの簡素な店があった。
豊水橋を半分くらい渡ったところから店の方向を見ると店の駐車場隅のポール先端に据えられた信号機(赤青2色)が見える。青なら営業中で、赤なら休み。明るいとわかりづらいが、日が暮れて辺りが暗くなると信号機はよく見える。常連客はこれを目印に来るらしい。
店の前の駐車場は3〜4台分。店が面する道路は広く、土手沿いで、往来する車もほとんどないので、何台も止められそう。
質素な玄関には暖簾などは掛かってなくて、居酒屋めいてはいるが野菜の直販所みたいで、営業してるか不安で、外から店内の様子も見えず入りづらい。せっかくここまで来たのだからと、勇気を振り絞って、「えいっっ!」と玄関の引き戸を開けて店内に入った。
店内は奥行きがあって思ってたより広く、すぐ左手にはマンガなどが収納された三角型の本箱があり、その脇には雑誌などが重ねてあった。数歩先の床には最近では珍しいだるまストーブがあった。
だるまストーブの奥が厨房に面したカウンター席(9席)で、三角型の本棚の裏手は仕切ったような個室っぽい6人席で、テーブル上に予約席のプレートがのってた。右手側の(玄関が少し入り込んだような造りなので)外に張り出したような客席スペースは、ベニヤ張りの壁がまだ新しい感じで、スチール製や木製のテーブル(4人×4、6人×1)がゆったりと配置してあった。(木製のテーブルも新しい感じだったので、玄関に近いこの部分は最近増築したのかも。)
店内は白い笠付きの白熱球の照明など、昔ながらのオレンジ色掛かった暗めの灯りで照らされてて温かなムード。そして、大正から昭和初期の蓄音機のような音楽が流れていて、レトロな雰囲気でまとめてあった。
カウンター内の厨房には、髪が寝起きみたいにボサボサの50代くらいの個性的な風貌の男性とふっくらした若い女性従業員がいた。店主はぴんから兄弟の宮史郎に似てるって聞いてたので、この人が店主にま〜ちがいない。そっくりというより、サイド髪が長めのところが似てるって感じ。
厨房は奥に広くて、客席側より広いみたい。客席から見て正面には、『人生拉麺』とおっきく書かれた額が掲げてあって、あちらこちらに昭和初期をモチーフにしたいろんな小物が置いてあった。
うらぶれた店かと思ってたが、全然違ってた。床もだるまストーブの配管も磨かれたようにピカピカ。特に厨房は、大小様々なお玉があったり、計量スプーンがあったりして、研究室っぽくいろんな物がいっぱい置かれているが、雑多ではなかった。
席に座ると、女性従業員がコップに冷たい水を入れて持ってきてくれた。
メニューは
・酒人生¥400
・生ビール¥550
・ビール大びん¥600
・酎ハイ¥400
・ウーロンハイ¥400
・手羽餃子¥400
・砂肝唐揚げ¥450
・ホルモン焼き¥600
・チャンジャ¥500
・ポテトフライ¥450
・冷や奴¥250
・生野菜¥600
・キムチ¥400
・ゆで玉子¥50
まずは人生ラーメンと生ビールを注文。じっくり店内を観察しながら、目に付いた冷や奴や手羽餃子などつまみ類も注文した。すると、冷や奴や手羽餃子などつまみ系の料理は若い女性従業員と後から現れた細身の若い男性が担当らしく、厨房の右奥の一画の「実験室関係者以外立ち入り禁止」と書かれた奥の厨房で作っていたよう。
店主は酒類とラーメンが担当みたい。ビールは、冷たいジョッキを冷蔵庫から取り出し、ビールサーバーから、まず予備のグラスに予め半分くらい注いで様子を確認してから、冷たいジョッキを傾けながら慎重にビールを注いでいた。注ぎ終えた中ジョッキは、ジョッキになみなみと、泡20%弱という私好みの絶妙な具合で運ばれてきた。(泡30%位がいちばんおいしい注ぎ方といわれているが、外で飲む場合、30%が泡だと飲み応えがないので、泡18〜20%位が私は好き)
ビールの後、店主はラーメン作りに取りかかった。
すでに麺茹での釜の湯は沸騰していたし、スープ用の寸胴はごくとろ火で保持されていた。寸胴の中には半円形の網が掛かっていて、その中にだしとなる野菜などがはいっていた模様(中は見えなかった)。
店主が取り出した弁当箱くらいのサイズのアルミ製容器(蓋付き)には、緑色のみずみずしい小ネギが刻まれた状態でたっぷりと入っていた。開店に合わせて、スープもその他の具材も準備してあるみたい。
麺は、1個1個透明のビニール袋にパックされていた。トレイの上で取り出した麺をほぐしてら、湯の中に投入。菜箸で○を描くように、麺を泳がせながら茹でていた。その後、茹で上がった麺を取り出す時は、左手に平ざる、右手に菜箸を持ち、菜箸で麺を挟んでまっすぐ上方に持ち上げると、菜箸から下がっている麺の下の部分だけ平ざるの上に載せる感じで、軽く数回湯切りをしていた。それを麺茹での合間に準備したスープを張った丼の中に盛りつけていた。麺茹での時も、湯切りの時も店主の手つきはとてもやさしいかった。
麺茹で釜の横(カウンターの左端)には全自動軟水機が置かれてた。この水を調理に使用してるみたい。麺茹で鍋は、使用していない時は木製の蓋がかぶせてあった。蓋をしていても、蛇口からの水が鍋に入るよう、木製の蓋は縁の部分が10cm×10cmくらいの扇形分くらい欠いてあるものだった。麺茹での釜も、余分な湯が流れ易いよう、鍋の縁の一部に注ぎ口風の側路が付いてるものだった(鍋蓋も鍋も特注品かも)。
隣のガス台には、中華鍋の受け台と中華片手鍋が置かれてた。周囲のステンレスはメンテが行き届いていて、ピッカピカ。上の換気扇フードも、麺茹で釜とガス台をまるまるカバーできるくらいたっぷりした大きさのもので、調理中の湯気や油煙が客席側に流れることがないように造ってあった。
人生ラーメンが作りたての運ばれてきた。
飾り気のないどんぶりに、醤油色がやや控えめの透明スープが張られ、中にはあたかもコマーシャルのようにきれいに揃った細麺が入っていて、ネギが2種(長ネギと小ネギ)お互いに混じらないように盛り付けてあった。長ネギは、よく切れる包丁で薄く薄くスライスしてあるので、えぐみのない、ねぎ本来のいい風味。口の中でも食感も断面がなめらかですばらしかった。3〜4mmくらいに刻んである小ネギは緑色が鮮やかで、長ネギの白色とのコントラストがきれいだった。
スープ表面には、透明できらきら光る油が適度に浮いていた。スープを一口含むと、塩分がしょっぱいと感じる直前で寸止めしてある感じ。日本料理の吸い物では、こういう味付けがあるが、ラーメンでここまで控えめな味付けは初めて。まろやかでほんのりした甘みすら感じるスープは、表面に油が浮いていながらも、動物くささは一切なく、違和感もなく体の中に浸透していく感じ。日本のラーメンの原型とも言える懐かしい風味。
麺は透明感のない薄い黄色の少しウエーブのある細麺。ラーメンの麺は、かんすいが入ってるので、アンモニア臭は避けられないと思ってたが、ここのはツンとするような刺激臭がない。食べてみると、ちゃんと茹でてあるので芯はないが、噛むと麺自体にぷりっとした歯ごたえがある。弾力とかコシとかとは違うようで、麺そのものの歯ごたえって感じ。
麺の量もたっぷりめに入っていて、最後までこの麺はほとんど変わらない食感で、延びることがなかった。麺・スープ・ネギ2種だけの極めてシンプルなラーメンだが、味に濁りがなく、味付けの加減も絶妙。ラーメンの基本が麺とスープにあることが、ここまで実感できるラーメンは他にはない。
スープを飲み干すと、どんぶりの底に、偉くなるだけが人生じゃないよ、と書いてあった。聞けば、店主はビクターの下請けの電器会社を経営していたが、50歳を過ぎて甥っ子に譲り、岩井でラーメン店を始めて3年経ってからこの店に移り8年経つのだそうだ。
店主にクーラーはないので、暑かったらうちわをどうぞと言われた。この店は川沿いにあるので、風が入ってきて結構涼しいらしい(今年は暑かったみたい)。店主は、にこにこしてはいないので一見気むずかしそうだが、話すと対応がとても穏和で感じがいい。
日本酒は水海道市の酒造から選んで仕入れたもので、『人生』という瓶のラベルは絵も字も店主が書いてるそう。注文すると店主自ら一升瓶とコップと小皿(コップの下に置く)を持ってきて、たっぷりと注いでくれてコップから溢れて下の小皿にもたっぷりたまってた。この量でたった¥400とは安いが、人生ラーメンと同じくすっきりした上品な味で、油断するとしこたま飲んでしまいそう。
途中、厨房奥(カウンター席正面)の扉から、小柄でやさしい面立ちのエプロンを付けた50代くらいの女性が入ってきた。ラーメン作ってる店主の横で、ネギなどの具を入れる作業を手伝っていた。言葉を交わさないのに息がぴったりだったので店主の奥さんのよう。
手羽餃子は、鶏の手羽先の太い部分の骨を上皮を破らないよう上手に取り除いて、その中に餃子のタネを注入し、揚げてある品だった。銀紙が付いてる持ち手のところ以外には骨がないので、食べやすかった。餃子のタネは上皮がふくらむ位しっかり注入されてて、脂身の混入率が多いのかジューシーだし、ボリュームもあった。
砂肝の唐揚げは、ショウガ風味の薄い衣の付いた砂肝が20個も盛りつけてあって、とても1人では食べきらない量。味付けもちょうどよく、こりこり感を楽しめた。
冷や奴は半丁くらいあって、ボリュームがあった。しょうが・ながねぎ・青しそ・かつおぶしと薬味の種類も多かった。
チャンジャは、鱈の内臓をキムチ風の薬味であえて醸成させたもの。珍味とは思えないほど、小鉢にたっぷりよそってあった。これも1人では食べきれない量。
ホルモン焼きは長ネギなどと、甘いからい少し濃いめの味付けで炒めてあった。白い楕円のお皿にこんもりとよそってあった。
ラーメン¥500は焼き豚、わかめ、めんま、なると、ネギ2種が入ってた。焼き豚はバラ肉の部位で、味が適度にしみてて、肉の弾力もあって、シンプルながら実のあるものだった。メンマも味の具合が適度で、単品でもつまみになりそう。わかめは乾燥品みたいでスープにも香りが移っていた。焼き豚・めんま・メンマなどの味が加わっているので、その分スープの透明感が失われ、人生ラーメンよりも雑味のある気はするが、各パーツが上質で充実感のある1杯。
酒を飲んだ後に食べるにはもったいないようなラーメンだが、あのレトロな雰囲気の中でシンプルなつまみでしたたか酔った後に美味しいラーメンを食べると、自分の子供のころからの人生の流れをしみじみ感じて幸せな気持ちになるという人もいるらしい。
今時は砂糖や塩、唐辛子などをどっちゃり入れた刺激的な味付けと派手な具で高価格なラーメンを楽して売ろうという店が目立つのに、すっきりした味で具のない低価格のラーメンを店の名まで付けて気合いを入れて作ってるというのは、店主の魂は古き良き日本そのもののよう。
40年前の高度成長期から地位とお金だけを重視するようになり、若者はどう生きたらいいか解らずひきこもり、中高年男性はリストラされただけで存在価値が無くなって自殺する、という無惨な世の中になった。70年前の日本のように、実直に働いて規範を守り周囲を支え家族に生き方を示せば、お金や地位がなくても、のどかで満ち足りた気持ちの人生になるというのが、この店の主張のようだと言ったら大げさ過ぎるかも。
それはさておき、つまみもボリュームたっぷりで誠実に作ってあるし、家庭的な暖かみも感じられる店。すっきりした上品なスープに細麺と、私の好みにぴったりのラーメン。おすすめ度はラーメン部門で当サイト史上最高点の、7.8〜!!!
◇18:00〜深夜1:00 月定休、不定休あり
◇ラーメン(具入り)500円、人生ラーメン(素)ラーメン400円、手羽餃子400円、ホルモン焼600円
◇テーブル席、カウンター席 ◇駐車場…店の前に3台
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