2001/12/23修正 
舞台 照明 音響

 舞台で使用される器材や用語について説明します。歌舞伎や能など,日本古来の芸能で使用されていた言葉(隠語・丁符)や,劇場の構造などを指す言葉,映画・テレビ業界で使用されてきた用語などが混在しています。また,機器材に関しては,各メーカーの名称がそのまま使用され,同一機器に複数の呼び名がついている場合も多く見られます(例えば「電子オルガン」のことを一般的に「エレクトーン」と呼びますがこの呼び名は商品名で,他に「ドリマトーン」や「ハモンドオルガン」「テクニトーン」などがあるのと同じようなことです)。
ここに記載されたもの以外にも様々な名称・用語がありますが,舞台の基本として最低限覚えておかなければならない用語としては,以下のものがあります。ほとんどの用語は省略して呼ばれることが多くあります。

方向
 客席より舞台を見た場合,右側を「上手(かみて)」,左側を「下手(しもて)」と呼びます(省略して単に「上(かみ)」「下(しも)」と呼ぶことが多い。)。舞台に関する説明をする場合の基本となりますので,必ず覚えて下さい。
舞台の前側・奥側を指す場合,単に「前」「奥」と言います。

アクティングエリア
 舞台上で看板や背景幕を吊したり,実際に演技・演奏できる(する)空間のことを「アクティングエリア」と呼びます。
舞台上に照明機材などを置くことによって,実際に使用できる範囲が狭まってしまうため,図面通りにならないことが多く起こります。
 また,2ヶ所以上で公演する場合,全く同じ大きさの舞台を使用できることが少ないため,小さい方の舞台に合わせるか,セットなどを工夫することになります。

プロセニアムアーチ
 舞台と客席の間の開口部を「プロセニアム」と呼びます。この横幅のことを「間口(まぐち)」と呼び,高さは,「建端(たっぱ)」と呼ばれます。
このアーチの中で,両端にある柱に当たる部分を特に「大臣柱」と呼びます。各劇場で使用できる最大のアクティングエリアはこの幅で決まります。

緞帳(どんちょう)
 舞台と客席を区切る幕で,開演・時間経過や芝居などの区切りを表したり,舞台転換を観客に見せないために使用します。劇場によっては複数枚の緞帳があります。
1枚の幕をそのままの状態で上下に昇降させる吊り下げ式のものと,ローラーに巻き付ける「巻き取り緞帳」,絞り上げていく方式の「絞り緞帳」があります。また,舞台の一方に向かって開閉する「定式幕」があります。日本の歌舞伎などの舞台で使用されます。ほとんどの場合,上手から下手に向かって閉じるようになっています。
 他にも,2枚の幕を両端上方から斜め下に閉じていくオペラカーテンというものもあります。

袖幕(そでまく)
 舞台の両脇の部分(ここを「袖(そで)」や「ふところ」と呼びます)や道具を隠すために仕切る幕で,奥行きによっては何列も設けられます。この幕を開閉することによって,間口を調整します。

引き割り幕(ひきわりまく)
 袖幕の中で,舞台全体にわたって開閉できるものを特に「引き割り幕」と呼びます。これは,舞台を奥まで使用すると広すぎる場合や,演技中に奥のセットなどを準備する場合などに使用されます。
 舞台のほぼ中央に設置されたものを特に「中幕(なかまく)」と呼ぶ場合もあります。

一文字幕(いちもんじまく)
 舞台上部に吊り下げられた横長の装飾布のことをこう呼びます。見かけの舞台の高さを調整すると共に,吊り下げられたバトン・照明機材などを隠すためのものです。舞台の奥行きによって複数枚設けられます。
 「ベカ」「ベガ」「かすみ(幕)」または単に「文字(もんじ)」と呼ばれる場合もあります。

ホリゾントバック(幕)
 「ホリゾント(幕)」「ホリ(幕)」と呼ばれることが多く,舞台後方に照明効果により空の効果を出すためや,舞台の背景を構成するために設置される幕または,背景面(壁)のことを言います。
 テレビ・写真スタジオでは専用に塗装された壁であることが多く,劇場などでは,専用につくられた幕を使用することが多くあります。大きな劇場では,舞台中ほどにも設置される場合もあり,これを「中ホリ」と呼びます。

音響反射板(反響板)
 舞台を囲んで,楽器の音をよりよく客席に届かせるための設備です。
 天井反射板,側面反射板,正面反射板の3つに分けられ,また,それぞれが舞台の大きさによって複数ある場合があります。
 楽器の響きをよくするために,奥が狹く,前(客席側)が広くなっており,また,壁自体は平面ではなく角度が付いているのが普通です。

花道(はなみち)
 舞台から突出した通路を言いますが,これは歌舞伎特有の舞台形式が変化したものです。
 歌舞伎の場合は,舞台下手に「本花道(ほんはなみち)」と,必要に応じて上手側に「仮花道(かりはなみち)」が設けられます。
 一般的な劇場の場合は「脇花道(わきはなみち)」と言い,壁沿いに設置されることが多く見られます。

単位
 舞台ではその成り立ちから,長さ(高さ)の単位として「尺貫法」が用いられることがほとんどです。基本となる舞台などの大きさが「尺」を基準に作られているためで,慣れないうちは戸惑うかもしれません。
以下に,舞台で使用される代表的な単位をあげます。
分(ぶ)……………1分は3.03ミリ,10分で1寸
寸(すん)………1寸は3.03センチ,10寸で1尺
尺(しゃく)……1尺は30.3センチ,6尺で1間
間(けん)…………………1間は1.818メートル
(「間」は高さを表す場合にはあまり使用されず
24尺などと呼ばれることが多くあります)

セット関係
 主なものを以下に記しますが,それぞれの使用目的によってこれ以外にも様々な大きさや形のものがあります。

平台(ひらだい)
平台
4尺×6尺の平台です
変形平台です
アゲと呼ばれる変形平台です
平台の裏です
4尺×6尺の平台の裏です
 高さが4寸(他に3寸や5寸などの場合もあります。この場合,木台などの大きさも変わってきますのでここでは4寸を基準にします。),大きさは一辺が6尺(大きなホールでは9尺のものもあります),他辺が2尺,3尺,4尺,6尺のものがあり,それぞれの数字をとって,2×6(にいろく),3×6(さぶろく)などと呼ばれます。このほかには,3尺×4尺や3尺×3尺のもの,台形や,三角形の「変形平台(へんけいひらだい)」を備えているホールもあります。
 複数枚の平台を安全に連結するために,「つかみ金具」と呼ばれるコの字形の金具を使用します。この金具を使用したときに段差が出来ないような構造になっています。
画像をクリックして別ウィンドウに開くと,つかみを入れるところがわかるかも

木台(もくだい)
木台  7寸の高さを持たすために使用される,一辺が3寸で長さを1尺に切りそろえられた角材です。
ちょっとばかりピントが甘いのは……^_^;

箱足(はこあし)
箱馬  6寸×1尺×1尺1寸のものと,6寸×1尺×1尺7寸の箱状のものを言い,「箱(はこ)」「箱馬(はこうま)」とも呼ばれます。他に,劇場によっては6寸×1尺×2尺4寸のものなどがあります。
 左は,6寸×1尺×1尺7寸のものです。

開き足(ひらきあし)
 高さが1尺7寸,2尺4寸のものなどがあり,脚立のように開いて使用します。長さは平台の大きさに合わせて,3尺,4尺,6尺などになっています。

蹴込み(けこみ)
 箱足や開き足を使用したときには,客席から段差部分の隙間や足自体が見えてしまいます。そこで,この部分(「蹴上げ面」と呼び,段差が1尺の場合「尺蹴上げ」と言います)を布やパネル・板などで隠しますが,この部分や被いのことを「蹴込み」と呼びます。
 蹴込みに色を付けたり,絵を書いたりして,他のセットなどとの違和感をなくすこともあります。

八百屋(やおや)
 舞台前面から奥に向かって高くなった傾斜のことを言い,八百屋の店先にある台がこの形状と同じであるところから名付けられたと言われています。この上に大道具を飾ることを「八百屋飾り(やおやかざり)」と言います。「開帳場(かいちょうば)」と呼ぶこともありますが,こちらは,階段の代わりに用いられる傾斜面を指します。

書き割り(かきわり)
 舞台のセットのうち,幕などに描かれた背景画や,木立などのことを言います。これに対して,立体的に作られたものを「丸物(まるもの)」と言います。
書き割りのうち,舞台全面に渡って描かれた幕を「ドロップ」と言い,一部が描かれた絵の通りに切り取られたものを「カットクロス」や,形状によっては「アーチ」と呼びます。
また,舞台の任意の場所に置くためにパネル仕立てになっているものもあります。このパネルを立てるために,L字形や三角形に作られた「人形立て(にんぎょうたて:または単に人形)」や,両端,または片方に鉤のついた「支木(しぎ)」などを使用します。

山台(やまだい)
 「雛壇(ひなだん)」や「二重舞台(にじゅうぶたい)」または,「二重(にじゅう)」とも言い,合奏や合唱などで使用される台のことを言います。
 歌舞伎や舞踊などでは,演奏者が乗る一段の台を「山台」,二段以上のものを「雛壇」,そして屋内を表すためなどに組む場合は「二重舞台」と区別しています。一般には,舞台に組まれる台のことを総称して雛壇と呼ぶことが多く見られます。二重舞台の上に乗った家や部屋のセットを「二重屋台(にじゅうやたい)」と言います。
 合唱などでは,7寸毎の段差を持たせることが多く見られます。
 舞台転換を速やかに行うためや,役者が乗ったまま移動できるように,「引き枠(ひきわく)」と呼ばれるキャスター付きの枠組みやキャスターを平台自体に取り付けて使用する場合もあります。
 台の高さが1尺4寸のものを「常足(つねあし)」,2尺1寸のものを「中足(ちゅうあし)」,2尺8寸のものを「高足(たかあし)」と呼び,これが古典芸能での台の高さの基本となります。

立木
紅梅
紅梅
白梅
白梅
桜
モミジ
モミジ
舞踊などでよく使われる枝をいくつか集めてみました。
この枝をそれぞれにあった木(高さは6尺〜12尺程度)に取り付けて使用します。