舞台 照明 音響
2002/02/12修正 

 舞台などに用いられる照明器具は,使用目的に応じて様々な種類のものが利用されています。ここではその器材についての簡単な説明をしていきたいと思います。

電気容量
 照明機材は,家庭用の電灯と違い,大きな電力(通常,舞台で使用している照明器具の消費電力は500W(ワット),750W,1,000W(1kW),1,500W(1.5kW)などの灯体です。家庭で使われている電球は60W程度,電子レンジなどが500W程度ですから,消費電力の大きさが何となくわかるんじゃないかと思います)を必要とし,使用する灯体数もかなりの台数になりますので,注意が必要です。各コネクター(コンセント)などによって,使用できる電気容量が違いますので,それぞれについて説明します。なお,特に記載のない限り電圧は100V(ボルト)を基準としています。

コネクター
 コネクターは,その形状などによって次のものがあります。
A形コネクター
C形コネクター
T形コネクター
平行コネクター
(家庭で使用しているものをこう呼んでます)

 このうち,A形とT形は法改正によって,舞台ではほとんど使用されなくなりました。これは,消費電力が大きいため,漏電事故の際の被害が大きくなることを防ぐためA形ではなく,アース端子の付いたC形コネクター使用する,T形は,当初は大電力用の100V及び,200V(古いエアコンに使われていた)兼用コネクタという位置づけだったのが,事故防止のため200V専用コネクターとする,と言う内容です。
A形とC形コネクターには耐電流60A(アンペア),30A,20Aの物があり,T形は20A,平行は15Aまでの仕様となっています。
 覚えていますか?電力(W)=電流(A)*電圧(V)。電圧は100Vですから,20Aで2000W(2kW)ですね。60Wの電球には,60W/100V=0.6Aの電流が流れています。

ケーブル
 ケーブルにも,被覆に使われている素材や使用されている導線の数などによって様々なものがありますが,まず,被覆素材によって,大きく次の2種類に分けられます。

キャプタイヤケーブル (ゴム素材を使用して,電気や外部からの影響に対する耐性を増しているもの)
ビニールコード (一般家庭で使用しているビニール系素材を使用しているもの)
 中の導線の太さや数によって,使用できる電流量が違いますので,適切なケーブルを使用しないと出火の恐れがあります。また,許容量内であってもコイル状になった状態(コードリールなどは特に注意が必要)ですと,ケーブルが発熱し被覆が熔けだして中の導線がショートしてしまう危険があります。

器具
 照明機材を分類すると次のようになります。

フラッドライト
 舞台や対象物を均等に照明する器具です。レンズは使用せずに,反射鏡などによって集めた光源をそのまま照射します。反響板の天井に取り付けられているライトもこの範疇に入ります。
ボーダーライト
ホリゾントライト
フットライトなど

レンズスポットライト
 レンズを使用してあかりを集める方式の器具の総称で,使用するレンズの性質によって,次の2種類に分けられます。
凸スポットライト
フレネルスポットライト(ソーラー)

 凸スポットライトはその名前の通り,「凸レンズ」を使用しているので照らされた光の境界がはっきりわかります。一方,「フレネルレンズ」を使用すると,この境界がぼやけて見えます。対象物をはっきりと浮き上がらせたいときには凸レンズ,他の部分に溶け込ますようにしたいときにはフレネルレンズ,というように目的に合わせての使い分けが必要です。

ピンスポットライト
 基本的には凸スポットライトの一種ですが,別名「フォロースポットライト」と呼ばれるように対象物をはっきりと捉え続けるために特化したライトです。光源の種類によって,クセノンピンスポットライト,ハロゲンピンスポットライトなどがあります。
クセノンピンスポットライトは,通常の電球ではなく,「放電管」といわれる特殊な電球を使用しているため,高電流が必要で,「整流器」を使うことによりこれを得ています。

パーライト・ACライト
 レンズスポットライトの一種ですが,灯体ではなく電球自体にレンズを組み込んでいるため,灯体の軽量化が図られています。組み込まれたレンズによって光の広がり方が違い,広がりの大きいものから「ワイド(W)」「ミディアム(M)」「ナロー(N)」「ヴェリーナロー(VN)」の4種類があります。灯体に区別はないのですが,電球の使用電圧が100Vのものを「パーライト」,25Vのものを「ACライト(えーしーらいと:エアクラフトライトの略で,航空機などに使用しているライトを改良したものです)」と呼んでいます。100Vの電気を使用しているわけですから,ACライトを使用する場合には,必ず4台を直列に接続しなければなりません。

特殊効果器具
 そのほかの照明器具としては(詳しい説明は省略しますが),次のようなものがあります。

エフェクトスポットライト・HMI
 アタッチメントの交換により雨や雪の効果を出したり,様々な模様を(回転しながら)映し出したりする器具です。
アタッチメントが回転し,45度ごとの角度に取り付けられるため,ある程度の調整が可能です。
 灯体自体にはレンズが取り付けられておらず,設置される距離に応じて「先玉(さきだま:別名オブジェクティブレンズ)」というレンズ部分を取り付けて調整します。
この先玉には,焦点距離によって,4インチ,6インチ,8インチ,12インチのものがあります。
アタッチメントには以下のようなものがあります。

ディスクマシン
 雲や雨,雪などの効果を出すために使用され,模様の描かれた円盤(「種板(たねいた)」といい,ディスクマシンの場合は,ディスクプレートを使用します)の一部を投影します。
 種板の回転方向と速度が調整できます。

スパイラルマシン
 種板(スパイラルマット)の全面を投射します。
2枚の種板を使用でき,それぞれの種板の回転方向と速度が調整できます。

スライドキャリア・マスク
 ガラスやアルミなどの薄板で作られた4"×5"のサイズの板(しのごマットと言います)を使用して,スライドのように投射します。
 種板の製作が容易で,オリジナルパターンが使用可能です。

ストロボマシン
 カメラのフラッシュのように,瞬間的に発光する特殊な電球を使用した灯体です。

カッターライト
 灯体とレンズ間のスリットにマスクを入れることによって,照射する光の形状を変更できます。マスクには,四方から差し込んだ板によって周縁をカットするものと,種板を挿入し,任意の形状を映し出すものがあります。また,このスリット部分に専用のアタッチメントを取り付け,エフェクトスポットライトのように使用できるものもあります。
以下のものがありますが,これらはそれぞれに特色があるため商品名で呼ばれます。
エリスポットライト
ITOライト
ハイカッタースポットライト
ソースフォーなど

サーチ・スピナーライト
 サーチライトはその名前の通り,集光率が高く「光の線」を表現するための器具で,この灯体自体が回転するようになっているものをスピナーライトと呼びます。

ムービングライト
 灯体自体,または反射鏡をモーター駆動することによって,照射方向を自由に移動させられるものの総称です。
 マスクやカラーフィルターなどが内蔵され,照射する光の色や形も変更可能です。
DMX512と呼ばれる制御方式を使用しています。
以下のものがありますが,これも商品名で呼ばれ,それぞれの専用の制御装置を使用します。
バリーライト
ミラースキャン
インテラビームなど