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会報on-line 第98号
『てんびんの詩・第一部』 スタッフ・解説
てんびんの詩・第一部・原点篇
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てんびんの詩 第1部 「原点編」
(1998年・カラー 90分)
主なキャスト 主なスタッフ
近藤大作 ・・・ 下元 勉 企画 ・・・ 鍵山秀三郎
少年時代 ・・・ 吉野隆三 竹本幸之祐
母 ・・・ 長内美那子 脚本 ・・・ 竹本幸之祐
父 ・・・ 栗塚 旭 監督 ・・・ 梅津明治郎
祖母 ・・・ 風見章子 撮影 ・・・ 斎藤定次
叔母 ・・・ 志野原良子 照明 ・・・ 仙波正己
叔父 ・・・ 楠 年明 録音 ・・・ 井延順一
農家の人 ・・・ 山口幸生 美術 ・・・ 上山敏行
親戚の人 ・・・ 柳川 清 音楽 ・・・ 福井秀彦
大工女房 ・・・ 絵沢萠子 製作主任・・・ 西野隆次
植木屋女房・・・ 松村康世
農家の人 ・・・ 重久 剛 企画・製作・・・ 潟香[ヤル
村人カツ ・・・ 三崎千恵子 挙本映像企画
まえおき
激化の一途をたどるビジネス・経済環境。求められているのは、いかなる風雪にも
微動だもしない商いの魂≠ナあり、果敢に企業の明日を切り拓く優れた人材です。
では、そのような魂〃は、人材はどのようにして育めばよいのか。
温故知新。古きをたずねて新しきを知る、の故事に従い、あらためて「近江商人」を
採り上げ、 その商いの精神を、父母はもとより地域一体となっての愛と確信に満ちた
子育てを探ってみました。
<ローヤル教育劇場シリーズ>の第一弾「てんびんの詩」(竹本幸之祐の講演で知られて
いる鍋蓋売りの話)が少しでも皆様のお役に立てば、これ以上の幸せはございません。
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あらすじ
物語は近江商人の家に生まれた主人公・近藤大作が小学校を卒業するところから
はじまる。
その日、大作は父親から祝いの言葉と共に、包を贈られる。中に入っていたのは鍋蓋
だった。彼には意味がわからない。だが、そのなんの変哲もない鍋蓋が大作の将来を決
めることになる。父親は彼にそれを売ってこいというのだ。それを売ることもできない
ようなら商家跡継ぎにはできないと…。
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大作の前には商いの心を、近江商人の魂を模索する辛苦に満ちた日々が待っていた。
店に出入りする者の家を回るが、親の威光を嵩にきた押し売りのような商いがうまく
ゆくはずもない。
さりとて、見知らぬ家を訪ねても、けんもほろろ、ろくに口さえきいてもらえない。
親をうらみ、買わない人々をにくむ大作…。
父が茶断ちをし、母が心で泣き、見守る周囲の人々が彼以上につらい思いをしている
ことに、まだ大作は気づかない。
時には甲賀売薬の行商人にならいもみ手の卑屈な演技をし、時には乞食娘をまねて、
農家の老夫婦を泣き落としにかかったりもするが、しょせん、うそとまねごと。心のない
商いは人々の反感を買うだけだ。
いつしか大作の目には涙が…。
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そんなある日、農家の井戸の洗場に浮んでいる鍋をぼんやりと見つめながら、大作は
疲れ切った頭で考える。
<鍋蓋が無うなったら困るやろな。困ったら買うてくれるかもしれん>。しかし、その次の
瞬間<この鍋蓋も誰かが自分のように難儀して売った鍋蓋かもしれん>。と思う。
大作はただ無心に鍋蓋を洗いはじめる…。近づく足音にも気づかない大作。女が問う。「何で、うちの鍋、洗ろうたりしてる。お前どこのもん。」
大作、思わずその場に手をついて「かんにんして下さい。わし悪い奴です……
なんにも売れんかったんやないんです。モノ売る気持ちもでけてなかったんです。
そんな三ヵ月やったんです。」
彼の顔をふいてくれる女。それは、母親が実の子にする愛の行為そのものだった。
そして、大作が我が子と同じ十三歳と知った女は、彼の鍋蓋を売ってくれという。
売れたのである。はじめて、売れたのである。売ればわかる″といった父親の言葉の
意味を大作は知る。
売る者と買うものの心が通わなければ、モノは売れないということを…。
人の道にはずれて、商いはないということを…。
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