会報on-line 第98号
 「留学生」記事

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雑誌】 月刊「留学生」(2006.12)のコリアキネマ紹介記事

コリアキネマ倶楽部の
  てじょんさん 大田雅一(おおたまさかず)

 「1970〜80年代の韓国映画を中心に上映会を行っている日本人がいる」という話を耳にした。
 なぜ韓国映画なのか? なぜ70〜80年代なのか? いくつもの疑問がわいた。
 この上映は「コリアキネマ倶楽部」によるもので、主催者は大田雅一さん。「てじょん」さんというニックネームを持つ現役の高校の先生だ。韓国語を勉強し、韓国を旅行し、韓国映画だけではなく、韓国の歌や本についてもくわしい。
 さっそく、てじょんさんが韓国語を勉強している現代語学塾におじゃまして、話を伺って来た。

Q 韓国に興味を持ったきっかけを教えてください。

A 高校3年の夏休みの時、図書館で韓国の写真集を偶然見る機会がありました。日本が韓国を植民地として支配していた時代の写真を見て、ショックを受けました。
 こんな時代があったのか、という驚き、そしてそれを知らなかった自分が情けなかったです。学校ではくわしく教えてもらえないので、私自身が積極的に学ばなければいけない、と思ったのが最初のきっかけです。
 また、私は高校の国語の教員をしておりますので、やはり韓国語と日本語が文法、単語、そして考え方などが非常に似ているということにも興味を持ちました。今も韓国語の勉強は継続中です。

Q 「コリアキネマ倶楽部」を発足した背景を教えてください。

A まず映画というものは、歴史だけでなく、文化を学ぶことができて、しかも楽しい。素晴らしいものですね(笑)。
 昔、ある映画館で韓国映画を2本立てで上映しているのを観に行きました。イ・ジャンホ監督の「暗闇の子供たち」(81)と、ペ・チャンホ監督の「鯨とり〜コレサニャン〜」(84)でした。衝撃的でした。本当に面白かった。あの感動は忘れられません。すっかり韓国映画に魅了されてしまいました。
 現在の韓流ブームとはほど遠い当時、香港映画は流行していましたが、韓国映画を見る人はオタクのレベルでした。そのオタク数人が集まって、韓国映画の上映会を始めたのが「コリアキネマ倶楽部」の原点です。


「鯨とり〜コレサニャン〜」

Q 「コリアキネマ倶楽部」の具体的な活動について教えてください。

A 韓国文化院や日比谷図書館などの協力を得て、月に1回ほど、70〜80年代の韓国映画、それに関連する日本映画を上映しています。また映画の研究や感想を載せた会報も発行しています。
 自分たちが銀幕で映画を観たい、また多くの方に韓国映画の魅力を伝えたい、という気持ちから始めたのですが、最初は字幕も手作りで、字幕を書いたスケッチブックを持ち上げてめくったり、パソコンで字幕を切り替えたり、大変でした(笑)。 

Q 特に70〜80年代の韓国映画の魅力とは何でしょうか?

A この頃の韓国映画は洗練されていない素朴な映画が多いのです。派手な演出もなく、「ダサイ」とさえ言えるかもしれません。それが好きですね。あたたかさがあります。
 それから80年代は先に挙げた2作品のような「ニューウェーブ」とされる先進的な作品があり、その中には、映画評論家の佐藤忠男が指摘するするように芸術的に価値の高いものもたくさんあります。
 でも、関連した日本の映画なども上映しているので、特に70〜80年代の韓国映画のみに徹底的にこだわろう、というわけではありません。

Q 日本の映画と比べて、韓国映画に特徴はありますか?

A 韓国映画の特徴であり、魅力のひとつであるのが、情の厚さが描かれていることです。
 人間関係が本当に濃厚で、家族や兄弟のつながりについて韓国映画はしっかりと描いています。これは儒教の影響があるのかもしれませんね。
 また韓国映画の優しさは、キリスト教の隣人愛にも由来していることも考えられます。日本よりずっとクリスチャンの多い国ですし、監督や俳優がクリスチャン、という映画も数多く観てきました。さっきの2作品の監督もそうです。


「暗闇の子供たち」

Q 韓国旅行もお好きなのですね。

A 韓国旅行に行くと、韓国の方の優しさにじかに触れられます。
 地図を広げて立っていると、必ず誰か声をかけてくれて助けてくれます。見ず知らずの人にごはんをおごってもらったことも何度もあります。
 日本にいると、韓国では「反日」の意識が強いという情報も耳にしますが、それを実際に感じたことはありません。

Q 読者にメッセージをお願いします。

A 是非、「コリアキネマ倶楽部」の映画上映会に来てください。
 日本の方はもちろん、70〜80年代の韓国映画はあまり見たことがない、という韓国の方も多いのではないでしょうか。面白く、勉強になると思います。無料ですし(笑)。

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