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会報on-line 第99号
「Volo」記事
【雑誌】 月刊「Volo」(2008.1,2)のコリアキネマ紹介記事
上映会を通じた出会い
コリアキネマ倶楽部 代表 大田雅一(おおたまさかず)
コリアキネマ倶楽部と称して、個人的なボランティアの自主上映会を続けてもう7年、85回目を迎えている。毎月原則として第2土曜、午後6時から文京シビックセンター(後楽園駅直結)の文京アカデミーの一室を借りての、無料上映会である。
近年の傾向としては一年交替で、「古い時代の韓国映画の秀作」と「コリアンに関係する日本映画」を、それぞれ韓国文化院と都立日比谷図書館から、無料貸し出しの16ミリフィルムをお借りし、文京
シビックセンター所有の機材で上映している。参加者は30人前後。
上映会を通じての楽しみは、何といっても人と人との出会いであろう。長い間、上映会を続けていると、常連とも言える方々が出てくる。毎回、無償で上映のお手伝いをしてくださる方、ソウルからいつも飛行機で駆けつけ、映画に関係したいろいろなお土産を皆に分けてくださる方。お菓子やカンパの差し入れを下さる方など、皆様の温かい心配りを感じる。
『渡り川』は、韓国と日本の高校生の交流を通じて、近代の不幸な両国の歴史を理解し、乗り越えていこうというドキュメンタリーの名作だが、上映の際には韓国の金徳哲監督が訪れてティーチインをしてくださり、終映後に近くの居酒屋で皆で飲んだ。また、この映画の主題歌「朝露」を歌う在日のミューズ≠アと李政美さんが、上映後に会場でCD『オギヤディヤ』発売記念ライブを開いてくれたのも、懐かしくまた有り難い思い出である。
『はだしのゲン』は広島の原爆を描いた漫画の映画化で、昨年テレビドラマ化もされて話題となった。その映画上映の際に、参加者の一人である北川貞雄氏が皆にしてくれたお話も忘れ難い。氏は広島で被爆した際、勤労奉仕に出ていたために生き延びたが、中学の同級生たちは全滅した。その後、語り部として
講演会や紙芝居を通じて平和の尊さを語り伝えている。観客は皆、粛然として、重く貴重なその平和の証に聞き入っていた。
上映作品に深い思い入れを持って来てくださる方も多い。『赤錆び色の空』は、大阪の空襲を描いた映画だが、その監督の関係者の方が観にいらした。今は亡き監督はその映画を作ったために大きな負債を背負って苦労されたという。『想い出のアン』は、戦前に迫害された教会の牧師の息子と、カナダ人医師の娘アンの悲恋物語だが、この映画を中学2年の時に知って以来、観たい観たいと20年思い続けていたという方が先日いらした。
市民と映画≠ニいうと、まず映画制作とその支援という構図を思い浮かべるのではないか。しかし、こうした小さな個人による草の根の自主上映会も、意味があると思う。そこでは上映する側と見る側の顔と顔とが互いに見えて、お話ができるような近さがある。
社会問題のドキュメンタリーやマイナーな劇作品など、ビデオでは出ていないため、16ミリでしか観られない作品も多い。日比谷の上映記録を見ると、購入以来数十年経っているのに、一、二度しか利用されていないフィルムもあり、誠にもったいない。
映画というのは、どんなに良い作品でも、上映され鑑賞されなくては意味がない。少しでも上映の機会が増え、ひとりでも多くの市民の方がご覧になれるよう、今後とも活動を続けていきたい。