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旅行貯金 (Top Page) Last Updated: 2004/04/08
旅行貯金訪問局数
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“旅行貯金”って何だろう?!

貯金が趣味?!
たぐちの旅行貯金スタイル
本末転倒
貯金貧乏?
“入力”の楽しみ

■ 貯金が趣味?!

 私の趣味は貯金です──。

 これは紛れもない事実なのですが,口に出して言うのにはなかなか勇気がいるので,人前ではほとんど話したことがありません。このページを見てくれている私の知り合いの方にも,「そんなこと初耳だ」と思われる方がいるでしょう。

 倹約家のことをよく「貯金が趣味のしみったれたヤツ」などといいます。コツコツとお金を貯めることは悪いことではありませんが,世間的にはあまり芳しい評判ではないようです。昨今の不景気では,貯蓄をするのではなく,いかにして消費を拡大するかが大きな問題になっていますが,ここでも貯金は目の敵です。肩身が狭いですね。

 コツコツとお金を貯めていくだけなら,何と言われようと胸を張っていられそうなものです。旅行に行くために貯金をしている人は数多くいて,旅行積立という金融商品は結構人気があります。しかし,旅行に行って貯金している人はあまりいないでしょう。私が肩身が狭い理由は,ここにあるのです。

 旅行先で貯金する,だから“旅行貯金”。そのために郵便局を渡り歩くのを“局巡り”などと言ったりもします。世の中には,こんな奇妙な趣味もあるのです。

 切手や消印印影を収集する,いわゆる“郵趣”の人は世界中にいて,しかも長い歴史があります。“旅行貯金”も郵趣の一部だとは思われますが,郵趣という狭い世界の中ですら王道から外れています。だいたい,日本以外にこんな趣味が存在するのかどうかもあやしいところで,私の経験では,海外では郵便局で貯金業務を取り扱っていない国もあるようです。

 “旅行貯金”というのは,何も私が考え出したものではありません。草創期のことはよくわかりませんが,元々はアマチュア無線(ハム)仲間が始めたものだと聞いたことがあります。それが,旅行好きの鉄道ファンの間に広まり,私のところにまで伝播してきました。日本全国にどのぐらいの“旅行貯金”愛好者がいるのかわかりませんが,郵便局巡りをしていると,期せずして同じようなことをやっている人に出会ったりします。私が目撃しただけで恐らく数百の人がいましたから,愛好者は意外と多いのかも知れません。最近は中高年の女性(いわゆるオバサン)をよく見かけますし,観光地でバスガイドさんが“旅行貯金”しているのを目撃したこともあります。みんながそれぞれのやり方で“旅行貯金”を楽しんでいるようです。

 最近では,訪問局数を競う「郵貯ラリー」というような遊びも,全国規模で展開されているようです。私は人並み以上ぐらいの訪問局数がありますが,別に数を競うつもりはないので,興味ありませんが。

■ たぐちの旅行貯金スタイル

 私が友人から“旅行貯金”の存在を教えられたときにはまだ中学生でした。その当時は自分で自由に使えるお金がほとんどなく,また自分の通帳を作ることにも抵抗があって,手をこまねいていました。ただし,旅先の郵便局で“風景印”という絵柄入りの赤色の消印を押してもらうことを覚えたので,私の郵趣としてはこちらの方が少しだけ歴史が長かったりします。今でも,貯金のついでに郵便窓口に寄って“風景印”を押してもらい,記念にしています。

 “旅行貯金”を始めたのは,まだ高校2年生だった1987年の夏休みに,部活の夏合宿で出かけた栃木県の足尾郵便局で“旅行貯金”専用の通帳を作ったのがきっかけでした。以来14年間,私は,自分で郵便局に行き,貯金窓口で預入(入金)するというスタイルを続けています。基本的には10円ずつ預入し,通算局数の 100局ごとに訪問局数と同じ金額を入金します。そして,通帳の印字面の支払額欄(預入したときには空欄になっている)に郵便局名の入ったゴム印を押してもらい,通帳の上下の枠内に主務者印という朱印を押してもらいます。これで一丁上がり。10円ごときの入金のために郵便局員に手間をかけさせるのですから,正直なところ心苦しくも思いますが,いつもありがたくお世話になっています。

 この14年間,常にコツコツと局巡りを続けてきたかというと,必ずしもそうではありません。高校時代は1年間にせいぜい20局ぐらいで,没頭していたとはとても言えません。私の中で何回かブームがあって,浪人時代には欲求不満の捌け口として精を出し,大学2年生からの5年間はまさに没頭しました。それに触発されたのか,わたしが引きずり込んだのかは定かではありませんが,大学時代の友人の数人が“旅行貯金仲間”になり,今でもときどき一緒に局巡りしています。

■ 本末転倒

 “旅行貯金”というのは,「旅行に行ったついでに旅先の郵便局で貯金をする」というところから付いた名前です。メインはあくまでも旅行であって,貯金はオマケです。

 ところが,“旅行貯金”に没頭してくると,この関係がおかしくなってきたりします。例えば,用もないのに東京の都心に出かけていき,朝から晩まで歩き回って郵便局で貯金をしてみたりします。都心は郵便局の密度が濃いので,徒歩でも1日に30〜40局も回れてしまいますから,訪問局を一気に増やすことができます。都心までは定期券を持っていたりして特段の出費もありません。しかし,都心のビルの中を1日中,自分の足で歩き回っているだけではおもしろくなくなってきますから,そのうち,クルマを駆使して郊外を回り始めます。「自分の家の近所にこんなところがあったのか」という新鮮な発見があったりして,けっこう楽しいものです。それがどんどんエスカレートして,というより,近所に未訪の郵便局がなくなって,だんだんと遠出し始めます。朝早く家を出て,9時には郵便局前に乗り付け,そこから夕方4時までの7時間,移動を繰り返していきます。

 クルマでの郊外行軍にのめり込み始めたら要注意で,次なる野望は「全国の郵便局に行ってみたい!」という方向に発展しがちです。ヒマを見つけては夜行列車に乗り,朝一番から郵便局を目当てに列車を乗り降りし,街を歩き,ときにはレンタカーを借りて走り回ったりもします。そして,それでも飽き足らなくなってくると,飛行機に乗ってさらに遠出したり,遠出したら日帰りではもったいなくなって1泊,2泊と日程が延びていきます。こうなると,もはや“旅行貯金”ではなく「貯金旅行」で,本末転倒です。

 このような例は極端かも知れませんが,少なくとも私と,私の友人の数人は,このような道程を歩いてきました。その結果,私の東京都内の訪問局は 1,300局以上になり,私が住んでいるところから近い茨城県と栃木県内の郵便局はすべて行き尽くし,そして1997年には1年間で全国47都道府県のすべてに出向くというアホらしい偉業(?)を達成するまでに至りました。私はクルマの免許を取ったことがないので,郊外行軍はもっぱら友人のクルマに便乗でしたが,それでもこの有様です。もしクルマの免許を持っていたらどんなことになっていたのかと,末恐ろしくもなります。

■ 貯金貧乏?

 貯金はそもそもお金を貯めておくことですから,“旅行貯金”といえどもお金は貯まります。しかし,私の場合は1局10円ずつですから, 100局回っても 1,000円にしかなりません。1局あたりの金額を 100円や 1,000円にすればもっと貯まるでしょうが,それでは財布が干上がってしまいます。

 そして何よりも財布を干上がらせているのが,“旅行貯金”のための旅行費用です。友人のクルマに便乗して1日回ると,ガソリン代や高速道路料金で1万円ぐらいは出費します。仲間4人で出かければワリカンになりますが,それでも3千円近くかかります。本格的な遠征になると新幹線やら飛行機に乗り,宿に泊まり,レンタカーも借りるので,大変な出費です。1局10円を貯金するのにかかる費用は,ときに 1,000円では済まなかったりします。コストパフォーマンスが悪いのです。

 私は,“旅行貯金”を始めてから10年間は,一度も払い戻さずに貯金し続けてきました。本当に困ったときのための貯蓄にするつもりでした。しかし,学生生活が長くなるとそうそう悠長なことも言っていられなくなり,1997年に一部を払い戻してしまいました。10円玉でコツコツと貯めてすでに20万円以上になっていたので,自分のカラダの一部を切り売りするようで,かなり悲しかった思い出があります。一度,払い戻し始めてしまうと抑えが効かないもので,今ではすっかりもぬけの殻です。

 このターニングポイントとなった1997年こそが,1年間で全国47都道府県のすべてに出向いた年です。「貯金のしすぎでカネがない!」という,まさに貯金貧乏という感じになっています。

■ “入力”の楽しみ

 このように“旅行貯金”は基本的にお金のかかる趣味ですが,ひとつだけ,あまりお金がかからなくて楽しい部分もあります。それは“入力”です。

 訪問局が少ないうちは,通帳だけ見ていればどこの郵便局に行ったのか一目瞭然です。しかし,訪問局が 100を越えて通帳が2冊以上になってくると,記録を整理する必要性に迫られてきます。手書きのカード目録を作るのがいちばん原始的ですが,パソコンを使って訪問局のデータベースを作っている人が多いようです。私も1993年から MS-DOS 用の dbaseIIIplus でデータベースを作り始め,その後は Windows 用の Access でデータ管理をしています。パソコンのデータベースは検索が容易で,訪問局を市区町村別により分けて検索できるのが便利なところです。

 この,データベースへの入力作業が,実はかなり楽しいものなのです。それは,数が増えていく楽しみだけでなく,入力したデータを加工したり,データベースを友人と交換して,さまざまな角度から傾向を探ったりする楽しみも兼ね備えているからです。コレクターや研究者肌の人には打ってつけかも知れません。

 ただし,入力をしばらくサボっていると,積み残しがどんどん増えていき,楽しいはずの入力が地獄になることもあります。今の私はまさにこの状態です。

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 このページを読んでいて「こんな遊びもあるんだなー」と感心された方,あなたも一緒に“旅行貯金”しませんか? 郵便局は,平日なら毎日,あなたを待っていてくれます。本末転倒しない程度にたしなめば,全国あちこちに出かける原動力になること請け合いですよ。

公開 2000/02/10

The Platform Cafe #20 Released: 2001/02/10 Copyright(C) 2001-2004, TAGUCHI Jun.