・水槽の中の酸化還元電位の調整



 高酸化還元電位の水槽中の生体への影響を明確には定義できない。どのくらいの高さの酸化還元電位の水がどのくらいの悪影響を持つのかはっきりと評価できないのが現状である。しかし、水道の水の酸化還元電位は400から800mVくらいと聞く。800mVではディスカス飼育には明らかに高すぎる。

 先述のようにROなどを使っても酸化還元電位が高い水の酸化還元電位をあまり落とせない。そんな場合はハイポやコントラコロラインで酸化還元電位を少し下げてやることが好ましい。400から500mV程度の水を水槽に給水するのが良いだろう。酸化還元電位があまり高い水(=過度に好気的な水)は塩素と同様、ディスカスの鰓や肌を痛めてしまう。前項で述べたように、鰓などのミクロな立体構造の破壊の集積が鰓などの組織自体の構造を壊してしまうからである。

 最近、ディスカスショップでなにやら青い液体の入ったプラボトルをよくお目にするのではないかと思う。ショップの方がそれをなにやらチョコチョコっと水槽に添加しているようである。このボトル中身はコントラコロラインと思われる。ショップの方がそれをご存じであるかは別として、これを添加するのにはそれなりの意味がある。コントラコロラインなどの塩素中和剤を加えることで酸化還元電位を少し下げているのである。それによって水換え時の高い酸化還元電位の換え水による鰓への負担を押さえることが出来る。

 さらに、このコントラコロライン注入にはもう一つ意味が有るように思える。濾過細菌は或一定の範囲の酸化還元電位を好む。飼育水よりかなり酸化還元電位の高い水を水槽にいきなり注入するのは水槽内の濾過細菌に対しても酸化還元環境を壊すことになる。従って、ハイポやコントラコロラインで酸化還元電位を下げることによって水槽内の濾過細菌の生育できる環境を保護しているわけである(もちろん濾過細菌の好む好気的雰囲気以下に酸化還元電位を下げすぎてもいけない)。

 もっとも、ハイポなどでは極端に酸化還元電位を落とすことは出来ない。コントラコロライン原液の酸化還元電位が+290mV、ハイポの飽和溶液が+90mVだ からである(いずれも私の行った測定値。ホルマリン原液は−35mV)。酸化還元電位が過度に高く、下りにくい場合には、これらの塩素中和剤を入れすぎないように注意が必要であろう。規定量くらいまでで止めておくのが無難であろう。過度な塩素中和剤の影響は確定できていないようである。

 以上のような酸化還元電位の調整は、浄水器の使用の有無に関わらず、水換えをする時に換え水の酸化還元電位が高過ぎれば必ず行う必要がある。活性炭を使って塩素を取っているからと言って安心してはいけない。

 酸化還元電位を上げるという意味でオゾナイザーを使用することがある。これは病原菌発生時にを短期的に殺菌するという意味ではメリットが有るが、酸化還元電位を測定しない長期的な使用は避けたほうが良い。繰り返しになるが、高酸化還元電位は微生物だけでなく、より大きな生物にも無害では無い。

 いわゆるエアレーションについても少なからず酸化還元電位の変動をもたらす可能性は有る。が、私自身が今一つ把握しきれていないので今回は言及しない。