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・日本の事情と海外の事情 以前にも述べたが日本国内外の事情の差として一番大きいのは観賞魚に対して使用できる薬剤の範囲である。 本当のことを言えば日本国内でも海外では当たり前のように使われている抗生物質、駆虫剤を使うことは不可能ではない。但し、それらの薬には観賞魚は対象外であるので、獣医師がやむを得ないと判断しかつ獣医師の責任のもとに使用が可能であるはずである。詳しくはもよりの獣医師、若しくは監督官庁である農林水産省まで問い合わせされたい。 だが、一般に観賞魚店などで売られる観賞魚用薬しか気楽には使えない状況にはかなり問題がある、というか、この差はやはり大きい。海外産でいろんな薬剤を使われて、その健康を保ってきたディスカスが日本国内で同じ病気を再発しても治療できるような薬が気軽に使えないのである。だから、輸入されたディスカスのトラブルは多いし、おまけに国内のディスカス飼育家のレベルは向上するはずもない。トラブルが起きるとやたら塩と高温を駆使して対処するということになってしまう。貧弱な選択肢しか無いが故に、正しい薬を正しい方法で使うといった類の方法論が成長しないのである。 極端な話、こんなことも考えられる。海外では無菌かつ良好な状態で飼育されたディスカスを国内の水槽、特に様々な場所から魚を寄せ集めて来て、雑多な病原菌がもちこまれている可能性があるいわゆるショップや卸売業者の水槽に持ち込んでしまえば、抵抗力を持ち合わせていない分、一発で病気になってしまう。このような話は養殖の世界では散見されることで、以前に書いたかも知れないが、ヨーロッパ産のシラスウナギを国内に持ち込んだ当初は全滅することも希では無かったのである。当初は病原菌の持ち込みが原因と考えられたが、実はそうではなく、日本の土着的な細菌に対する抵抗力をヨーロッパ産シラスウナギが持ち合わせいないがために起こった罹病だったのである。ディスカスを趣味とする人、若しくは飯の種としている人のなかに、魚の病気に関してその原因はこのような原因があろうことを思い巡らせることが出来る人が少ないのは悲しい限りである。 次に大きく異なるのは水事情である。日本の水は海外に比べて河川が短い分、水質が一般的に良い。だが、これも先の薬の話と同じようなデメリットを生じている。つまり、水質がどうのという議論をする以前にディスカスが簡単に飼えてしまうので水質を考える機会が少なくなり、それに伴う理論的な発展にも乏しい。これから先、水事情が良くなると言うことはまずあり得ない。転ばぬ先の杖である、浄水器の使い方や水処理の方法論くらいマスターしておいて欲しい。 かつて日本でNO.1と言われたブリーダー件ショップが店舗の移転を機にスランプになりそのまま廃業してしまった。それだけが原因では無かったのかもしれないが、水に対する造詣が浅かったのが大きな原因ではなかっただろうか。 同じ家でも蛇口が異なれば水質が変わる可能性すら有る。それ故に水質に関しての議論の統一性を取るのが難しくは有るのだが、何が魚にとって必要なのか、逆に有害なのかを考える必要がある。それを考えるに際しては、いったんすべてを除去してしまい、それから必要なものを加えていくという「ウォーター・デザイン」という手法が一番有効、かつわかりやすいのである。ROとDIの比較をした章で述べさせて戴いたが、中途半端に浄水し、中途半端に不純物を除こうとするよりも、いいものも、悪いものもいったんすべてのを取り除き、新たに(どういうものを添加するか)デザインし直し、作成したほうがはるかに物事簡単である。だが、一般の飼育家レベルではコストが掛かることもあり賛同される方が少ない。まことに残念である。 近年、各種雑誌、文献に加え、インターネット等で海外から直接情報を入手される機会も多くなってきた。一般的に海外では、飼育論や水作りの議論が比較的進んだ地域(欧米)と逆にほとんど無いに等しい地域(東南アジア)があると言える。これは温帯と熱帯、さらに先進国と開発途上国といった違いや水事情が反映されるのであろう。だが、前者の場合、見かけ倒れの飼育論も多いので、一概に欧米は進んでいると言った先入観をもたずによく注意して彼らの高説を聞くようにされたい。ほとんどの場合が見かけ倒しだと疑ってかかってよい。ディスカスという、いままでの展開が浅い趣味の中でディスカスのことを本当にすみからすみまで知り尽くしている人など一人もいない。自分よりもある意味ではるかに知識が豊富と思しきはドイツの魚病学者のDieter Untergasserただ一人である。邦訳書が出ていないからかもしれないが日本では彼の名前はほぼ無名である。だが、彼の「Discus Health」はディスカス飼育、特に病気についてのバイブルである(実際400ページもある書籍なのである)。彼の名前すらしらない業者から魚を購入することがないことを祈る。デーゲン、シュルツ、ワットレーの本を読んでも魚をちゃんと飼えるようになるとは思えない。 こんなことを言われると憤慨される方もおられるかも知れないが、日本の飼育家がもつデバイスは先進国のそれであるが、技術論が伴わないことが多い。早い話、宝の持ち腐れなのである。電気伝導度、硬度、pH・・・皆さん、立派なテスターや試薬など計る術はお持ちです、だけどそんな尺度はあまり関係ないことが多いですよって言われてピンと来る人はほとんどいないでしょう。まっ、欧米でもこの辺の事情は変わらないのですが。 |
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