since 2006.7.3

(本日の連載分を抜粋して掲載しています。連載分全文はこちらへ)
フロレスは、轟々と逆巻く焔にかき消されまいと渾身の力を振り絞って叫んだ。
「皆、海に飛び込め!撤退するぞ――!!」
さすがの勇兵たちも激炎の中で限界に達していたのであろう、皆、殆ど落下するかの如く海に飛び込んでいく。
一方、フロレスは、負傷兵や彼らを助けようとしている数名の水兵たちの元へと走り寄った。
そして、己自身も負傷兵の一人をズシリと肩に抱える。
彼はその姿のまま、炎の広がる甲板の一隅に跪くと、高熱を帯びた艦の板張りに傷だらけの指先をそっと触れた。
(あとは頼んだぞ……!)
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侵略者の圧政を打ち崩すべく立ち上がるインカの末裔たち。
その中心に立つのは、深き人間愛と麗しき風貌を備えたインカ皇帝末裔トゥパク・アマル。
そして、彼の意志を継ぐ若き将アンドレス。
そんなアンドレスを密かに慕い続ける農民の少女コイユール。
インカの復権を賭けた壮絶な反乱を縦軸に、悲恋、友情、主従愛、裏切り…――。
それら多彩な人間模様を横軸に織りなす、風と葦笛の運ぶ物語。
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⇒ 第一話〜第六話を約10分でまとめ読みする
⇒ 第一話 ビラコチャの神殿(1)へ

平和的な交渉手段ではスペイン植民地支配下で苦しむ民衆を救えないと判断したトゥパク・アマル(インカ皇帝末裔)は、ついに反乱の決行に踏み切った。
インカ軍(反乱軍)とスペイン軍(討伐軍)との最初の本格的な決戦は、極寒のサンガララの地にて行われ、インカ軍の圧勝に終わった。
しかし、両軍の命運を賭けたインカ帝国の旧都クスコでの決戦で、スペイン側の策謀により同族の傭兵(「リマの褐色兵」)を差し向けられたインカ軍は、同じインカ族である彼らを攻撃することができず、勝利を目前にしながらも苦渋の敗退を余儀なくされた。
トゥパク・アマルは、褐色兵の将と直談判するため、単身、敵陣に乗り込むが、その説得も失敗に終わる。
そのような戦況下、スペイン軍総指揮官アレッチェの陰謀により、トゥパク・アマルは敵の罠に落ち、囚われてしまう。
彼を襲う拷問づけの日々、そして、迫り来る処刑の日―――。
だが、トゥパク・アマルは、同様に囚われていた妻子を救い出し、命がけの脱獄を決行する。
敵の執拗な追跡の魔手を逃れ、天空城塞都市マチュピチュに陣を張るトゥパク・アマル。
新たなる大胆な戦略を推し進める彼だが、それはインカ側にとっても過大なリスクを伴うもので――。
インカ軍、スペイン軍、共にいよいよ後の無い状況下、トゥパク・アマルを、そして、インカの民を待つ運命は…――?!
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フォルクローレ『コンドルは飛んでいく』の歌詞は、当サイトで題材とさせて頂いている実在した人物、物語の主人公トゥパク・アマルを謳ったと言われています。

コンドルは飛んでいく
天空に今日もまた羽ばたく 一羽のコンドルが 何処からか現われて アンデスの山間を 飛んでいく
太陽の栄える国 豊かなこの地に 宝を求めて 白人が攻めてきた
殺された王は灰の中から コンドルとして甦った
天高く舞うコンドルは 国を守るであろう 永遠に
コンドル飛べよ 果てしなき空を アンデスの山に 影を落として
裏切られたインカの 笛の音悲し
自由のために死ねと パチャママ(大地の神)の教え
