平成13年3月26日言渡 同日原本領収 裁判所書記官 加藤智也

平成12年(ワ)第2767号 圏央道工事差止請求事件

判  決

当事者     別紙当事者目録記載のとおり

主  文

1 本件の訴えをいずれも却下する。

2 訴訟費用は原告ら訴訟代理人の負担とする。

事実及び理由


 本件の各訴えは、原告らが、被告らが工事を予定している東京都八王子市下恩方町北浅川橋橋梁工事部分から同市南浅川町内インターチェンジ工事部分までの一般国道468号線新設工事(一般有料道路「首都圏中央連絡自動車道」新設工事)及びこれに伴う付帯工事(八王子ジャンクションおよび八王子南インターチェンジを含む)について、それが原告らの生存や繁殖、生態系の維持について有する権利を害する等という理由のもとに工事の差止めを求めた事案である。


 当事者欄記載の高尾山、ムササビ、ブナ、八王子城跡及びオオタカがいずれも自然物であることは、訴状中のその旨の記載から明らかである。
 そして、訴状中には、人類が生物多様性を保全すべき義務ないし責任の根拠は、人類が自然に付与した文化的な価値には限定されず、自然物の存在自体の尊厳にもある、訴訟はそこから派生する自然物の生存に向けられた権利の究極の救済手段であり、特定の人が自然物のために訴訟を提起しようとしても当事者として認められないことがあるから自然物自体の訴訟主体性を認めるべきである、等の記述が認められる。
 しかしながら、民事訴訟の当事者となる一般的能力である当事者能力は、民事訴訟法、民法その他の法令に従って定められることころ、上記の自然物の類に当事者能力を認めたと解すべき法令の規定はない。


 そうであれば、本件各訴えは、当事者能力を欠く者によってなされた不適法な訴えというほかなく、これを補正する余地もないことは明らかである。
 よって、口頭弁論を経ないで本件の各訴えを却下することとする。

 

東京地方裁判所八王子支部民事第2部

 

裁判長裁判官 曽我 大三郎

裁判官 中山 節子

裁判官 佐藤 英彦

 

 

当事者目録

東京都八王子市高尾町2176         
                            原  告
高 尾 山
東京都八王子市高尾町2177番地周辺山林
                            原  告
ムササビ
東京都八王子市高尾町2181附近      
                            原  告
ブ  ナ
東京都八王子市元八王子町三丁目2715番地の6他
                            原  告
八王子城跡
東京都八王子市下恩方町2549番地周辺山林
                            原  告
オオタカ

 

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