声  明   高裁判決

2001年(平成13年)6月25日

高尾山天狗裁判原告団
高尾山天狗裁判弁護団


 東京高等裁判所第15民事部は、2001年(平成13年)5月30日、高尾山天狗裁判の自然物を原告とする訴えに関して、東京地裁八王子支部が2001年(平成13年)3月26日言渡した訴え却下の判決に対する控訴について、控訴を棄却する判決を言渡しました。


 控訴棄却の理由は、第1審判決と同様に、「自然物には、わが国の法令上、権利義務の主体たりうる事を認める根拠を見出すことが出来ないし、当事者能力を認めたとと解する規定もないことから、当事者能力を欠く当事者として控訴されたものである」として、口頭弁論を経ることなく控訴を棄却したものです。
 私たちは控訴提起後も、自然物に対しても当事者能力を認めているアメリカの判例を分析し、日本においても裁判所が自然物に当事者能力を認めるべきであるとの主張を展開する準備をしていました。
 ところが東京高等裁判所第15民事部は、控訴提起後わずか1ヶ月余りで、何の審理もしないまま、口頭弁論を経ることなく控訴棄却の判決を言い渡したのです。


 高尾山天狗裁判原告団及び弁護団は、この控訴審判決に対し、上告すべきか否か検討した結果、上告しない道を選択しました。
 現在の最高裁判所が、自然物の当事者能力を認める可能性は低く、このまま上告して最高裁判所で自然物の当事者能力を否定する判決を確定させることは、全国の多くの自然保護運動及び自然物を原告として提訴し、又は提訴しようとしている方々に影響を与える可能性があると判断し上告を諦めました。
 私たちは、高尾山、八王子城跡、オオタカ、ブナ、ムササビの5名の自然物も原告に加えて、高尾山天狗裁判を提訴しました。
 この自然物を原告とする裁判は、何もマスコミ受けをねらって奇をてらった訴訟を提起したものではありません。
 今日、地球規模の環境破壊の深刻さの認識の前には、自然環境の破壊は単に人間の利益だけの問題ではなく、人間も含めた自然界全体の環境保護に向かっています。
 自然物そのものが原告として自らの生存を求めて訴訟を提起することは、アメリカでは既に1970年代から認められ、自然物の原告を認める判決が多数出ています。
 アメリカでも自然物を原告とする明文の法律規定があるわけではありませんが、裁判所は自然物の当事者能力を認めたのです。
 日本でも裁判所が勇気を持てば、自然物に当事者能力を認めることは可能です。私たちの高尾山天狗裁判では、自然物の当事者能力を認めさせるという目的の点では、裁判所の堅い門を開かせることは出来ませんでしたが、全国の自然保護運動や自然物を原告にする提訴を検討されておられる皆様には、この結果に諦めることなく、これからも大いに何回でも裁判所の門を叩き続けるよう呼びかけたいと思います。


 高尾山天狗裁判はまだ始まったばかりです。
 本日、第2回口頭弁論が開かれました。被告国及び日本道路公団は、私たちの訴訟に対する答弁をまともにしようとせず、裁判の引き延ばし策ばかりしています。
 私たちはこの裁判で圏央道工事による、高尾山及び八王子城跡の自然破壊による、自然保護団体や自然人の人格権、環境権、自然享有権、景観権など多くの権利侵害の危険性の実態を明らかにして、圏央道工事を中止させるまでたたかうことを決意します。

 

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