「進行協議」ってなに?
弁護士 齊藤園生
1月29日、高尾山天狗裁判の第1回口頭弁論が行われました。原告側は約50分間を使って意見陳述を行いました。意見陳述を行った各原告はそれぞれの立場から、自然や住環境、文化遺産というものがどれほど貴重なものか、なぜこのような裁判を提起したのか等を、裁判所に訴えました。それぞれ特色のある大変意味ある意見陳述でした。
さて、第1回の裁判を終えて、裁判長は第2回目の期日を指定せず、「進行協議期日」として、3月19日午後4時からと、4月23日午後4時からという2つの期日を指定しました。さて、この耳慣れない進行協議期日とは何なのでしょう。
これは法律上は民事訴訟規則95条以下に根拠があります。簡単に言えば口頭弁論(いわゆる法廷での普通の裁判)以外で、事件の争点整理、争点と証拠の関係など、裁判上必要な問題について当事者双方を呼んで、事前に整理するという手続きです。今度の天狗裁判のように、争点がたくさんあり、証拠もたくさんある裁判では、法廷での裁判だけではなかなか整理ができないので、このような進行協議というのは最近使われているようです。
このように言うと、一見裁判を効率的に進めるために、大変良い制度のようにも聞こえます。しかし、私は進行協議というのは注意が必要であると思います。つまり「争点の整理」という名目で、重大な争点についての処理まで実質的に行われる可能性があると思うからです。
たとえば、今回の裁判でも、高尾山やオオタカなど自然物が原告となっている裁判部分は、人間、自然保護団体が原告となっている裁判部分と分離されました。自然物が原告となった裁判については、アマミノクロウサギ訴訟以来、自然権訴訟という形で裁判所で争われている大きな争点です。この大きな争点について、法廷ではなく進行協議期日で決めてしまおう、という危険性があると思うのです。
つまり裁判所としてはたくさんの原告があつまる法廷で、裁判を行い、大きな争点について決断することは抵抗があるので、できるだけこのような進行協議という名目の、「密室」で争点をトントンと整理したいという気持ちが働いていると思うのです。
しかし、天狗裁判のような1000人を超える原告がいる裁判なのですから、裁判所にはきちんと公開の法廷で、争点についての判断を求めるのは当たり前の話です。ですから進行協議の期日にもできるだけたくさん原告に参加していただき、裁判所に「密室で判断しないで」というアピールをしましょう。
おそらく進行協議に使われる場所は、先日第1回裁判の行われた部屋の隣の402号法廷になると思います。ここは真ん中に丸いテーブルがあり、裁判官と弁護士十数人が座れます。後ろに長椅子があり、原告達も詰めれば20人くらいは座れます。たとえ法廷内に入れなくても、外の廊下で待っていてください。たくさんの原告がきていて、みんな注目しているのだ、というアピールをすることがとても重要なことだと思います。
以上。