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 研作展 展覧会場案内写真−X 技法・画材解説コーナー


             
制作初期の見本    油彩画素材の調査  各種乾性油の   各種樹脂・松脂   各種処方による   天然顔料と近代   制作工程資料
                             堅牢度実験    処方と堅牢度実験 絵具結合材比較   顔料の変質実験     
           
 工程見本     工程見本    [親指のマリア]長博蔵      作品解説        原資色見本など     使用絵具と道具
                       制作資料・記録
          
    試作色見本      下絵(試作原資)   制作工程報告書    顔料や樹脂      会場出口
                                              (素材棚)

                


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@麻布(生キャン)にA糊引き(サイジング)+B白亜地塗り(吸収性水性地)+C油性着色下地
下絵は揮発油のみで二層。この後の本制作は二〜三層の塗り重ねで仕上げる予定






油彩画の原材料検査

世界中から集めた様々な素材の中から
良質かつ良好なものを選び抜いた上で、
最も理想的な加工方法〜処方を見出すための
門外不出の実験サンプルとデータ






未加工〜各種加工方法による植物性乾性油の品質調査

各社製品ならびに様々な加工・処方による品質比較を通じて
科学的成分からなる常識的特長、あるいは一般的認識とは、
異なった実験結果が多く確認できた

例えば、加熱すべき油と加熱してはいけない油がある
塗膜の堅牢性を得るには、充分な乾燥時間が必要
過度な乾燥促進は作品の堅牢性の低下させる場合もあり

高橋メソッドの描画溶液の主成分である亜麻仁油は、
[画用液用に育てられた亜麻の種子を低温圧搾法で絞った亜麻仁油を
@白土濾過(精製)してから、A十ヶ月から一年半ほど太陽と水と空気の作用で
漂白したら、Bある温度を保ちながら数時間加熱したもの]
いわゆる精製・漂白・加熱の三段仕込みの亜麻仁油を使用






天然樹脂・松脂(バルサム)類の原料〜加工方法〜処方別・品質検査

溶解し易いが弱い・溶解しにくいが強い・
強いが粘性も強くてそのままでは使えない・・
各素材には用途における一長一短がある。
その中から、最も理想的な素材と処方を見つけ出さなければならない

十年程前に偶然出合った幻のバルサム
「ストラスブルグ・ターペンタイン」
その後の絵具練りと描画溶液の処方には
自家製加工亜麻仁油と共に欠かせない存在となっている






三種類の白色顔料による乾性油の黄変作用と
各素材と処方による堅牢性〜戻り(絵具の軟化〜溶解)比較実験

化学的に漂白された透明に近い乾性油であっても、
塗布後の強い黄変作用が確認できる

技法書やカタログに「リノレン酸が含まれないので変色の心配はない」
と書かれていても実際はどの乾性油も大なり小なり黄変する
個体(単体)ごとの化学的組成だけで、
画材素材(各種用途別)としての優劣はつけられない

通常、絵具や描画溶液は、様々な加工が加えられた
複数の素材によって作られる
このことから個体の組成上の特長(良し悪し)も
複数の素材が組み合わされた処方後には
大きく変化する場合が少なくない

例えば、なかなか乾かないヒマシ油の
加工前と加工後の違いのように





@数種の顔料と結合材との組み合わせによる下層反応実験
ジンクホワイトのチョーキング現象が目立つ
下層ではレーキ系〜アンバー(天然)系
A天然〜古い時代からの顔料による堅牢性〜耐光性調査
スマルトやラピスは技法上、いくつかの下準備が必要
B組み合わせによっては化学変化(変色)を起こすとされてきた顔料であっても、
実際は何ら問題ないことが確認できる








講習会用に準備したファン・エイクの[受胎告知]の制作工程見本(左)
同じく研究所に常設しているラファエルの制作見本(右)

床に設置した資料ケースは長崎歴史文化博物館蔵
[親指のマリア]の制作に関する記録と使用材料








右下の下絵から左上方の仕上げ層に至る各層の状態見本
(板に布+水性白亜地塗り+油彩絵具+ワニス)


独学での模写の失敗要因は、仕上げ層(最表面)の状態を、
一度に得ようとすることにある。ゴルフで400ヤード・パー4をホールインワンで
決めようとするようなもので結果、取り返しのつかない状態に陥いる
通常は下絵が1−2層、本制作から仕上げ層までが2−4層、
いわばパー3〜パー5であり、作業を分割(刻む)することで、
各層で要求される技術のみならずリスクをも軽減する

「まるで手品のような描き方」「マジシャンのような・・」と言われるが、
手品にタネも仕掛けもあるように絵にも同じことが言える
それを指導(学習)できるのが高橋メソッドである






前項のファンエイク同様の制作工程見本
(板に寒冷紗布+白亜地塗り+油性着色下地+油彩絵具+ワニス)

下絵層から仕上り層に使用した肌色の主成分は白・黄土・赤
まったく同じ色であっても層を重ねるごとに「いっそう美しい色調」を呈する
仕上げ層に近くなれば宝石のように輝き始める
私達はこれを絵具のパフォーマンスと呼んでいる

それぞれの工程は時間と労力を要するが
「下絵は本制作の為、本制作は仕上げの為、
仕上げ層は数ヵ月後のニス塗布から額装の為に・・」
作業が進展するごとに制作意欲は自然と高揚していく








[親指のマリア]様の制作資料
手前左は高橋亮馬著[裏側から見た絵画の世界]







[親指のマリア]様に関する説明

上方右は、長崎歴史文化博物館開設後の入場者数が「四十万人を越えた」お知らせと
本展覧会へのご祝辞、ならびに河合文化庁長官に[マリア像]をご案内されたとの書状

上方左は、長崎奉行所の復元〜新設された長崎歴史文化博物館の全景








本制作に使用する銅板と同じ材質での色〜状態見本









絵具はすべてこの作品の為に処方された手練り絵具
後光部分には純金を使用
描画溶液はRT・Pメデュウム04にスタンドオイルを増量した処方
筆はアナグマ・セーブル・コリンスキーを使用
銅板は板絵より筆を磨耗させる
数点の試作を含めれば実際に使用した筆の本数は写真の約三倍量







銅板画に関する確かな資料は手元にない
金属という非吸収地に絵具を塗り重ねるには強力な接着力が要求される
しかし、接着力を重視すれば銅板による絵具層への化学作用は絶縁されるだけでなく
ピカピカの油っぽい画面は、上塗り(塗り重ね)をも不可能にする
双方の要求と条件を満たすには、様々な処方実験を繰り返して
理想的な融点(バランス)を短期間に見つけなければならなかった

制作見本の上部は、手彩色による剥離箇所の変質状態見本







本制作時の下絵初期の状態

この時点では化学反応による変色は殆ど生じないが
本制作時は化学反応による色層変化を読みながらの彩色となる








制作記録と報告書

複製画は先ず最初に原資が仕上げられた当時の画面
当然、傷も亀裂も剥離も汚れもない宝石のような画肌から再現された
約三ヶ月間乾燥後(絵具層は化学反応によって銅板とほぼ一体化した)
画面の傷・剥離・錆・変色・白濁と剥離したニス等の経年変化が加えられた
数百年間に起こった損傷〜変質の状態を僅か数週間で再現するには
それまでの経験を通じて、その時点でできるすべてのことが試みられた
必要以上に作品が痛んだり、修正が効かない状態に陥るなど
常に高いリスクと隣り合わせの作業であった
(写真中央のページ)

再現模写は銅板(基底材)の変形(しなり)にも及んだ
この作業は「仕上り画面を金鎚などで叩いて変形させる」
この無謀かつ必要性を疑う危険な行為には、
当然、工房のスタッフからの反対だけに留まらず怒りの声まで出た
しかし「工房の手練り絵具の高い堅牢性」はすでに確認されていた
基底材の両面に強い衝撃を何度も加えても
直接、手で変形させても絵具層は悲鳴をあげることはなかった
(写真右ページの中間)

複製画では通常では見えない筆跡ならびに
下層の修正〜変更の痕跡箇所等も再現時の対象項目とした
各行程(色層)ごとに斜光線による筆跡検査〜確認が行われた
(写真右ページの下)

原資の所蔵元の国立博物館ならびに乃村工藝社では、
完全手彩色による油彩画の複製は過去に前例がなかった
同社は今回の事例を機に油彩画部門を新設し
俵屋工房は初代登録工房となった

この再現模写は絵画表現における更なる可能性を教えてくれた
そして「絵筆は宝石以上のものを創造し得る」と言うことも







油彩画の[材料三宝]といえば[支持体・絵具・筆]

色の粉・油・樹脂・松脂・板・布・・・、人々を魅了する名画は、
このようにシンプルな原材料から生み出されてきた

名曲が複数の音符で構成されているように、
名画もまた顔料と結合材で作られた材料を
まるで音符のように一筆(タッチ/ワンストローク)々々を
組み立てていくように構成されている

「材料の扱い方と組み立て方が優れている」のが、
名画であり巨匠と呼ばれる所以でもある

絵画表現の何とも不思議な世界
そして計り知れぬ魅力・・・






本展覧会に関するご案内はここまでです

この度はご来場、誠にありがとうございました

高橋メソッドは来年(2007年)、発足20周年を迎えます
記念展等の開催が決まり次第お知らせします
またのご来場をお待ちしております




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