競バカたちが集まって 2008『南の楽園編』
おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

500円のタク
この話の主人公。会社員。1レース500円、G1レースは1万円で勝負する天才馬券師。
2005年は圧倒的勝利。2006年もディープインパクトをけり続けたがわずかなマイナス。座右の銘は『本命は切り』ハード&クール、そしてセクシーな43歳。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓は北。愛称はけいちゃん。趣味は競馬と自動車競技ジムカーナ。

ダイ
全レース万馬券狙いのような激しい馬券を買う男。カミさんのサイフから金をちょろまかして、いつもカミさんと戦っている。

カミさん
ダイのカミさん。いつもサイフからお金をちょろまかすダイと戦っている。スピード、スタミナ&テクニックに秀でたファイター。ダイの永遠のライバル。

 

 

2月23日(土)、開店直後の鉄馬。カウンターにはタクとダイ。明日は今年初めてのG1『フェブラリーステークス』なので競馬新聞をにらんでいる。
タク「最終的にはパドック見てからだけど、メイショウバトラーとドラゴンファイヤーの単かな。」
ダイ「リミッドレスビットから馬連総流しだぜ。来たらデカイぜ、ファイヤー!」
そこに男と女が入ってきた。カウンターに座ってハイネケンを頼んだ。
男「はあ。」うかない顔でため息。
女「もうすぐ来るわよ。しっかりしなさいよ。あなたのせいなのよ。」
男の浮気がばれての3者面談だろうか。
マスターはこういうときはバーテンダーに徹する。タクも『他人の問題には立ち入らない主義』だ。だが、ダイは鋼の無神経だから本能のままに行動する。
ダイ「どうした姉ちゃん、もめ事かい。」
タク(小声で)「バカ、ダイ。やめとけ…」
ダイ、聞いちゃいない「よかったらオレが相談にのるぜ。オレはこのあたりじゃあな『かませ犬』と呼ばれてるんだぜ。」
マスター「はあ?」
女「私たちつきあってるんですけど、正月に彼が風邪引いて寝込んだんです。彼は一人暮らしだから大変だと思って、アパートに行って看病してあげたんです。」
ダイ「優しいな。」
女「この前、今度は私が風邪で寝込んじゃったんです。そしたら彼がお礼に看病するっていいだしたんです。でも私は実家に住んでいるし、両親にもまだ彼のことちゃんと紹介していないから、突然来られても困るって断ったんです。」
ダイ「いろいろ都合もあるわな。」
「なのに彼、女装して家に来ちゃったんです。」
どだだだがらがらがっしゃーん
(鉄馬中の人たちがこけます)
男「女の子になれば、彼女のご両親も安心だと思ったんです。」
タク「あと…、えと…、なかなか立派な発想力と実行力なんじゃないかい。なあ北。」
マスター「あ…、そうか、そうだね。」
「そうしたら、うちのお兄ちゃんが女装した彼に一目ぼれしちゃったんです。」
「…。」タク&マスター&ダイ。男はどちらかというと、ごついタイプで女装してもかわくなりそうにはないのだ。
タク「しかし、好みのタイプはひとそれぞれだからね。」
マスター「そうですね。」
女「お兄ちゃんが、彼女、つまり彼のメールアドレスをどうしても教えてくれって言うから教えたんです。メールで直接話をすれば、こいつが男だってすぐ分かると思って。」
ダイ「そりゃ、話が早いな。」
「そしたらこいつ、女のふりしてずっとメール交換続けちゃったんです。」
どだだだがらがらがっしゃーん
(また鉄馬中の人たちがこけます)
マスター「お客さん、そりゃまずいよ。」
タク「そのお兄さんはまじめに女のあんたにほれてるんだよ。」
男「すみません。でも、あんまりお兄さんが熱心で…。それにお兄さんはとても誠実で優しい良い人なんで、ボクは本当は男なんですって、言えなくなっちゃたんです。」
マスター「それ逆だよ。ずっと引っぱられて、後から実は男でしたなんて言われたら、最初にすぐ言われるよりずっと傷つくよ。」
タク「うん。」
女「でしょ。私の言った通りでしょ。」
男、泣きそうな顔で「すいません。ごめんなさい。今日こそお兄さんに土下座して謝ります。」
ダイ「そうだな。」

しばらくして、お兄さんが入ってきた。
男、深呼吸してお兄さんに向かい合う「お兄さん、ごめんなさい!わたし、アキコは本当はアキコじゃなくてアキラ、男なんです!今までずっと言えなくて、本当にすいませんでした!」土下座。

緊迫の鉄馬。

お兄さん「知ってたよ。」
「えっ?!」
鉄馬中の人たち。
男、顔をあげて「お兄さん…」
お兄さん「君がアキコでもアキラでも、男でも女でもかまわない。オレはお前が好きなんだ!」
男、潤んだ目で「お兄さん。」
お兄さん、両手を広げて「オレの胸に飛び込んで来い!」
「アタイも好きだ!」
どだだだがらがらがっしゃーん
(またまた鉄馬中の人たちがこけます)
お兄さんの胸に飛び込む。熱い抱擁&キス。
男「誰に何を言われてもかまわない!アタイ、アンタについて行く!」
お兄さんと男、みんなを見て。
お兄さん「と、言うことで。」
男「若菜、ごめん。」
お兄さんと男、店を出て行く。
女、涙がだーっと流れる。
タク「『彼氏を女友達に紹介したらとられた』という歌があったけど…」
マスター「『彼氏をお兄さんにとられた』というケースはかなりレアだな…」
女、涙がナイアガラの滝。
ダイ「姉ちゃん。こんな事しか言えないが、『二階から目薬』と」
「なんじゃそりゃー!」

第25回 フェブラリーS(GI)
1着 ヴァーミリアン


 

   

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