競バカたちが集まって 2008『南の楽園編』
おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

500円のタク
この話の主人公。会社員。1レース500円、G1レースは1万円で勝負する天才馬券師。
2005年は圧倒的勝利。2006年もディープインパクトをけり続けたがわずかなマイナス。座右の銘は『本命は切り』ハード&クール、そしてセクシーな44歳。今年は競馬絶好調!

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓は北。愛称はけいちゃん。趣味は競馬と自動車競技ジムカーナ。

ダイ
全レース万馬券狙いのような激しい馬券を買う男。カミさんのサイフから金をちょろまかして、いつもカミさんと戦っている。

シェフの前田
鉄馬のシェフ。腕は抜群。悪い友達(タクやダイのことです)に感化されて、どんどんダメ人間になっていくマスターの代わりに鉄馬の屋台骨を支えている。

イサム
タクとマスターの旧友。競バカのレギュラーになりたがっている。

駅前のお姉さん
F沢駅南口Y浜銀行前で営業するインチキ占い師。男に対する煩悩が強い。

 

 

12月7日(日)、正午の鉄馬。今日は『ジャパンカップダート観戦パーティー』だ。

「G1!」
「G1!」
「待ちに待ったジャパンカップダートだー。」
ひさびさの『G1スキップ』でくるくるとまわるタクとマスター。
「G1!」
「G1!」
「犬は?」
「ウー、ワン!」

マスター「決まったぜ。」
タク、カウンターに戻って「さて、先週のジャパンカップで大穴スクリーンヒーローの単をとったこの『500円のタク』の予想を心して聞けよー。」
マスター「まあ、さすがに今週はないだろう。」
タク「うるさい、黙れ。てめー、ジャパンカップダートは、人気の盲点になりやすくオッズが高くなる外国馬ティンカップチャリスと地方馬フリオーソの単。そして秘中の秘、ダートで堅実にがんばるメショウバトラーの単。」
ダイ「オレはボンネビルレコードから馬単総流しだぜ。来たらでかいぜ、ファイヤー!」

これからジャパンカップダートの発走時間まで、イサムとギャンブレンジャーが乱入したりするのだが、そのあたりはスペースの都合で割愛する。(イサム「割愛しないでよー。」)

いよいよジャパンカップダートの発走だ。ファンファーレがなる。一同起立してレースをむかえる。

レースは、向こう上面をサクセスブロッケン、ティンカップチャリス、フリオーソが先団、ダート最強馬ヴァーミリアンが押し上げる、カネヒキリもついていくという展開で、ゴール前、インをついたカネヒキリが優勝。

ゴール前は「おおおー!!!」という歓声。今日の歓声は、暖かい感じがした。

「…カネヒキリか。」
「うん。」

<カネヒキリ>
2002年2月26日生まれ。父:フジキセキ、母:ライフゼアアウト、母の父:デピュティミニスター

2005年の3歳時、『3歳ダート三冠』を達成し、『砂のディープインパクト』と称された。
武蔵野ステークスはサンライズバッカスの2着に敗れたが、ジャパンカップダートでは、コースレコードで優勝。2005年年度JRA賞最優秀ダートホースを受賞。

2006年、フェブラリーステークス優勝。その後、ドバイワールドカップに出走し、エレクトロキューショニストの5着。
ドバイ後の初戦の帝王賞は、地方最強馬アジュディミツオーの逃げに1馬身差の2着。
その後、競走馬としては重大な疾病『屈腱炎』を発症。長期休養に入る。
一時回復に向かったようだが、『右前浅屈腱炎』を再発。臀部の脂肪組織にある幹細胞を右前脚の腱に移植する手術を受ける。

2008年、約2年4ヶ月ぶりに出走した武蔵野ステークスでは9着。
ジャパンカップダートは約2年10ヶ月ぶり勝利。

「カネヒキリ(に勝たれる)なら、しょうがないや。」「屈腱炎を克服してG1をまた勝つなんてすごい。」「馬もスタッフも偉いよ。」

そんな声が聞こえる。

テーブル席で、うれしそうに馬券を見直す男がいた。
駅前のお姉さん「おにいさん、獲ったの?」
男「はい。単勝を、少しだけですが。」
ダイ、拍手「すげえな。」まわりからも祝福の拍手がおきる。
マスター「おめでとうございます。」
タク「いい馬券ですね。ボクなんか一番最初に消しちゃいましたよ。カネヒキリが強かったことは十分知っていたけど、もう1度勝つなんて、思いませんでした。信じることが出来ませんでした。」
男、おおいにてれて「カネヒキリは好きだけど。『信じる』なんて立派なんじゃないんです。単勝が10倍つくならって、欲もあったし…」
ダイ「欲があっていいじゃないか。この前、競馬ブックのエッセイに書いてあったけど『欲には、きれいな欲とそうじゃない欲がある』ってよ。アンタの馬券は『きれいな欲』だと思うぜ。」
お姉さん「そうだよ。」

競馬は欲望の上になりたっている。でもたまに(本当に)自分の馬券の結果を別にしてうれしいレースがあるのだ。

 

 

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