競バカたちが集まって 2007『スターゲイザー編』
おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

500円のタク
この話の主人公。会社員。1レース500円、G1レースは1万円で勝負する天才馬券師。
2005年は圧倒的勝利。2006年もディープインパクトをけり続けたがわずかなマイナス。座右の銘は『本命は切り』ハード&クール、そしてセクシーな42歳。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓は北。愛称はけいちゃん。趣味は競馬と自動車競技ジムカーナ。

ダイ
全レース万馬券狙いのような激しい馬券を買う男。カミさんのサイフから金をちょろまかして、いつもカミさんと戦っている。

カミさん
ダイのカミさん。金をちょろまかすダイといつも戦っている。スピード、スタミナ、テクニックに秀でた優れたファイター。

ジータちゃん
ダイの愛娘。けなげな良い子

 

 

このコントは前回の続きです。

4月8日(日)、桜花賞当日。午前11時。ダイはウインズ横浜(場外馬券売場)にいた。
ダイ、昨日盗んだカミさんのサイフを開ける「2万2千円か、来週も中山グランドジャンプ、皐月賞があるから、桜花賞は1万円だけという考えもある。しかし、しかし3歳牝馬ニシノチャーミーが、不利を承知で、それこそ命がけで出てくると言うなら、ケチくさいことはするまい。全額ニシノチャーミーの単と馬単総流しを買うぜ。」
このゴーイング・マイウェイ男のダイですら「来たらデカイぜ。」といえないくらい勝算は少ないだろう。だが競馬には、損得だけではない時があるのだ。

ダイが馬券を買い終わって京浜急行日ノ出町駅に向かった。いつも土日の日中は競馬おやじでごったがえしている駅前に円形の空間が出来ている。そこには真っ黒のハーレーダビッドソン『鋼竜号』にまたがり、真っ黒の革ジャン、フルフェイスのヘルメットを身につけたカミさんがいた。
ダイ「来たか。」構えにはいる。
カミさん、アクセルをふかす。轟音。「参る。」
2人をとりまく競馬おやじ達。
競馬おやじ@「なんでぇ、はでな夫婦ゲンカだな。」
競馬おやじA「さては、カミさんの金をつまんだな。」
おやじB「カミさん、怒っているぞー。」
ダイ「はっ!」5mを超えるジャンプ。
ガオン!バイクもジャンプ。
競馬おやじ達「おおお!!!」
注1:この競馬おやじ達は、常人を超えたというか、常識を超えたダイたちの戦いを始めて見るのだ。

(地上5mの空中)
「どらっ!」カミさん、右ストレート。ダイの頭をかする。髪の毛が鋭利な刃物で切ったように吹き飛ぶ。
ダイ「車上の不利を知れ!ファイヤー拳、3連脚車上斬!」激しい蹴りがカミさんの頭、腹、左脚を直撃。
カミさん「がはっ!」

ダイ、2回転して着地。
カミさんも、バランスを立て直してバイクごときれいに着地。

すでに周囲の競馬おやじ達は腰が抜けています。

ダイ「オレはバイクに乗ったまま倒せるようなヤワじゃないぜ。降りろ!」
カミさん、ヘルメットを外して、バイクから降りる。ぺっと切れた口の中の血を吐き捨て、「確かに、お遊びで倒せる相手ではないな。だが、貴様はこれで後悔するようになる。」構え。
カミさんから激しい闘気が湧き上がる。空気がうねりはじめる。
ぴしっ!と、とりまきの競馬おやじCのほほが、カマイタチで切れる。「ひー、ひー!」
ダイも、嵐のような闘気をまといながら「確かに見事な闘気だ。しかし貴様はしょせん、金のためだけに戦う金の亡者。オレは、ニシノチャーミーのハンデを背負っても戦おうとするけなげな勇気、厩舎関係者の愛情と努力、そしてそれを応援する名もなき競馬ファン達、そのすべてを背負っているのだ。貴様には百にひとつの勝機もない。」
カミさん「そういうごたくは、自分の金で馬券を勝手から言え。」
競馬おやじ達「そりゃそうだ。」
ダイ「いくぞ!」走り出す。
カミさん「おおおお!」
ダイ「はっ!」飛ぶ。
カミさん「だっ!」飛ぶ。
激しく空中で交差。カミさん、着地。ダイは空中で1回転して鋼竜号にまたがった。
カミさん「しまった!」
ダイ「わはは!こいつはいただいたぜ。」
ガオンとエンジンをかけて、走り去る。
注2:えー、原付免許ももっていないダイが、なぜハーレーダビッドソンを運転できるのかは気にしないでください。コントですから。
カミさん「この次は…、この次は必ず倒す。」

ダイ、カミさんをふりきってハーレーをとめる。ポケットから馬券をだす。「無事に走れよ、ニシノチャーミー。この後、最も過酷な中山グランドジャンプ、皐月賞と続く。やはりこの命、捨てねばならぬか。」
左手で押さえた左側の腹からは、押さえきれぬ血がつーとあふれていた。
注3:先ほど空中でカミさんと交差したときに、カミさんの手刀で皮下脂肪を切られたのだ。脂肪だけだどね。

正午の鉄馬。今日は「桜花賞観戦パーティー」だ。お客さんが三々五々と集まってくる。
タク「桜花賞は、ウオッカが圧倒的1番人気なので、エミーズスマイルとダイワスカーレットとアストンマーチャンの単で勝負。そしてニシノチャーミーの単を100円」
マスター「オレもニシノチャーミーの単勝を買うよ。なあ、調教シーン見たか?」
タク「ああ、右に右にとよれていたな。左の眼が見えないから、左側が怖いのかな。」
マスター「それとも見えるほうにまっすぐに走ろうとして、右に向いてしまうのかもね。」
タク「どっちにしても、競走馬としては、すごいハンデだよね。」
マスター「ビリでもいいから、無事に完走してほしいよね。」
タク「うん。考えてみると、同じように片方の眼が見えないのに、右回りでも左回りでもちゃんと走って重賞を買っているルーベンスメモリーとか、本当にエライよな。」
マスター「お前、東京の11レース見てないのか?ルーベンスメモリーいるぞ。」
タク、あわててダービーニュースをひっくり返す。「本当だ。」偶然のめぐり合わせに驚き、感動する。
タク、ハイネケンを飲みながら、想いをはせる(「競馬の神様が、ニシノチャーミーに『片方の眼が見えなくなっても、大丈夫だよ。ちゃんと走っている馬がたくさんいるんだよ。』って教えてくれているのかな。ここでルーベンスメモリーが勝てないまでも、無事に走れば、ニシノチャーミーも心強くなるかな…。なんだオレ?哺乳類相手に、なに甘い事考えているんだ?」)
いきなり、マスターが、にやにやしながらタクの顔をのぞき込む。
タク、のけぞって「何だよ?」
マスター「お前、今、ものすごーく甘い事考えてなかった?」
タク、目をそさして「んな事ねーよ。」
マスター「そうかー?」
タク「うるさい!」

午後3時、ダイが来た。
ダイ「何とか、あの金の亡者をまいてきたぜ。今回は、勝負はなしだ。この金はまあ、きっとなくなっちまうと思うけど、ニシノチャーミーから買ってきた。」

みんなで大型モニターで競馬中継を見る。
パドックを終えて、本馬場入場。
各馬が、ターフに登場する。ニシノチャーミーが登場。
アナウンサー「去年の函館チャンピオン、苦難を乗り越えて、隻眼の少女。ニシノチャーミー。」
「無理するなよ。」「無事に走れよ。」声がかかる。
マスター、(「オレは良いお客さんに恵まれている。」

桜花賞、発走。
ニシノチャーミーは、大きく出遅れ。
お客さん「よし、それでいい!」
タクたちが不安だったのは、ニシノチャーミーが馬群にもまれて、パニックになってしまうことだった。(見えない左側から馬が来てしまうから。)
出遅れは偶然なのか、藤岡騎手の心づかいなのか、ニシノチャーミーは終始馬群の後方を走り、最下位で終了した。勝ったのはダイワスカーレット。

競馬中継では、もちろん上位入線馬の順位と配当が一番気になるところであるが、
アナウンサー「ニシノチャーミーも無事に完走したようです。」
井崎★五郎「よかったねー。」

ダイ「おおおー!」男泣き。
マスター「よかったじゃん。」
タク、レンコンのカレー味ピクルスをつつきながら「馬券もとったし、ニシノチャーミーも完走したし、めでたし、めでたし。」

来週は、中山グランドジャンプ&皐月賞の大勝負連発です。

 

   

戻る