競バカたちが集まって 2007『スターゲイザー編』
おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

吉田
『羊を象徴に持つゴールドクラスの表ビデオファイター』
20代の『女性かと思うような美青年』
吉田の師匠である先代の羊のファイターには、かつて表ビデオファイター時代のダイも師事していた。修行時代は重なっていないが、ダイとは兄弟弟子の関係にあたり、ダイを慕っている。
もともと裏ビデオファイターに対してリベラルな先代の羊のファイターの影響もあり、また表ビデオファイター界を激震させた『武戦派ゴールドクラスの乱』を、ダイたち裏ビデオファイターが解決したので、裏ビデオファイターに理解と好意をもち、『表と裏のビデオファイター界の二重構造』に心を痛めている。
そのきゃしゃな容姿とは裏腹に、いざとなれば、裏ビデオファイターに理解をしめさない表ビデオファイター協会に命がけの進言をするほどの熱い魂の持ち主。

裏家老
ダイたち『F沢南口裏ビデオファイター』に対抗していた『F沢北口裏ビデオファイター』の幹部。
ダイが現役の裏ビデオファイターだった頃、『F沢南口裏ビデオファイター陣営』は、裏王であったダイが突出したエロ戦闘力で統治していた。一方、『F沢北口裏ビデオファイター陣営』は、トップの裏将軍、No.2の裏家老、そして役職はないが「影のNo.3」であった影太郎がいた。まさにこの3人は、誰がトップになってもおかしくないという程の黄金時代をむかえていた。
裏ビデオファイターたちは、立場・役職の違いはあれ、基本的に仲が良い。裏王ダイと裏将軍も、お互いを認める盟友である。
裏家老も裏将軍と戦ったことがある。それは「ともに修行した仲間が、ただひたすらに高みを求めて戦った名勝負」あるいは「その戦いを見たものが涙するほどの戦い」として、F沢北口裏ビデオファイターに伝えられている。

影太郎
前述の『F沢北口裏ビデオファイター』の重鎮。裏将軍、裏家老に匹敵する力を持ちながら、名も無く、ただひたすら裏ビデオファイターのためにトラブルバスターとして奔走する。秘伝最終奥義『鏡写し』は「F沢北口裏ビデオファイター」の中でも、歴代の影太郎だけが持つ必殺の奥義である。

 

 

このコントは、DVDファイター編その2『雨』のサイドストーリーです。ご覧になっていない方は、先にこちらをご覧ください。

話はまた9月11日(火)の『三角公園』に戻る。
ダイは、マサヤの誤解を解くために、ビデオファイトの奥義を見せた。
そして2人の絆はゆるぎのないものになった。

実はその時、ダイとマサヤの近くにあった木の陰に、表ビデオファイターの吉田が潜んでいた。
吉田は、2人が去るまで気配を消したまま微動だにしなかった。ダイとマサヤが建物の角をまがり、完全に視界から消えてから、一息ついた。
「吉田さん。」後ろから声がかかる。
吉田がびくっとして振り返ると、男が2人いた。F沢北口の裏ビデオファイター、裏家老と影太郎だ。
裏家老「これだけ近づいて、杉崎さんに気づかせないとは。いい腕だ、さすがゴールドクラス。」
吉田、ほっと一息ついて「脅かさないでくださいよ。そちらこそ、こんなに近くにいて、まったく気がつかなかった。」
影太郎「裏ファイトはノールール。夜襲、不意打ち、何でもありだから、気配を消すのは得意中の得意なんですよ。」
裏家老「ところで、あなたはさっき杉崎さんが奥義を出した時もまったく動かなかった。でも、あなたが杉崎さんを監視していたのは…」
吉田、悲しそうにため息をついて「ご想像のとおりです。協会(表ビデオファイター協会のこと)の頭の固い幹部たちは、先輩(ダイのこと)がDVDファイターにビデオファイトの奥義を公開することを恐れたんです。バカみたいですよね。ビデオファイトとDVDファイトはまったく違うものなのに。もし先輩があえて奥義を見せるとしたら、そこには大切な理由があるからに決まっているし、実際そうだった。まあ誰が監視役になっても、先輩を倒せるはずがないんです。でも頭の固いバカが監視役になると、先輩をわずらわせるかもしれないから、ボクが監視役をやることにしたんです。」
影太郎「いろいろ大変なんだな。」
吉田「ボクは先輩を信じているから、ただ見ていただけなんです。ちょっとDVDファイトにも興味あったし。それに、もしボクがあの時ほんの少しでも攻撃的な気を出したりしたら、今頃お2人にやられていたでしょう?
裏家老「ははは、まあな。」
吉田、くすっと笑って「『頭の固い表ビデオファイターが、先輩の邪魔しに来るかも知れない』ってガードしていたんでしょ。」
影太郎、苦笑して「まあ、そんなにいじめるな。」
吉田、人なつっこい笑顔で「別に意地悪言ってませんよ。それより、飲みに行きませんか?」

15分後、3人は南口の居酒屋『S屋』にいた。
吉田「とりあえず、生中3つお願いしまーす。」
生ビールが届く。
裏家老、急に真面目な顔で「オレたちも好きな方だから、出来上がっちまう前に言っておく。『表のこと』(表ビデオファイターのこと)はあんたが全部面倒を見てくれたから、これで終わりだ。だが、どうもDVDファイター協会の方でも、なんか、きな臭い話があるようなんだ。」
吉田も、背筋を伸ばして「そんな話は、ボクもちらほらとは聞いています。」
注:DVDファイター協会が『きしめんキッズ』優勝を画策していることだ。
影太郎「オレたちは、これからも杉崎さんたちを守っていくつもりだ。もしよかったら…」
吉田「もちろんですよ。協力します。一緒に先輩を守りましょう。」
裏家老&影太郎「ありがとう。」
吉田「やだな、そんな杓子行儀に。かたい話はこれでおしまい。楽しく飲みましょう。乾杯!」
それからは、なごやかな飲み会だ。お互いの好きなエロビデオ談義と協会(表ビデオの)へのグチが酒の肴だ。
吉田、酔って気がゆるんで「…でね、あのバカ(表ビデオファイター協会の幹部)が言うんですよ。『我々の奥義がDVDファイターに漏れることは許されない』って。ここまでエロ媒体がDVDやネットに移行しているのに。若い奴ら(若いDVDファイター)にはビデオファイターなんて実在したのかどうかも分からない『伝説の存在』なんですよ。ビデオファイトとDVDファイトは全然違うものだけど、もし彼らが、ボクたちが必死になって守ってきたことを、多少形は変わっていくとしても、継承してくれれば、うれしいのになあ。」
影太郎「確かに、そうだな。」
吉田、生レモンサワーを飲み干して「そうでしょ。ああ、今夜は楽しいな。こんな話出来る人は、協会(表ビデオファイター)にはいないんですよ。」
裏家老「あっち(表ビデオファイター)はお堅いからなあ。」
吉田「あーあ、ボクもDVDファイターになればよかったな。そうしたらアイツ(マサヤのこと)じゃなくて、ボクが先輩とコンビ組めたのに。」
影太郎「杉崎さんが、大好きなんだな。」
吉田「そうですよ。ずっと先輩の後姿を追って頑張ってきたんですから。あ〜(あくびして)、まだ早いのに、気が緩んだら眠くなっちゃった。」
裏家老、とても優しい声で「大丈夫だ。寝たら送っていく。安心してちょっと休め。」
影太郎も「ああ。」
吉田、ちょっと酔って、ふにゃふにゃしながら「だめですよ、帰っちゃ。まだこんなに早いんですから。ちょっとだけ、ちょっとだけ寝るけど、ほら(携帯で)アラーム入れましたから。このあといいショットバー行きましょう、チルチルっていうんです。絶対ですよ。」テーブルに突っ伏して眠る。
その寝顔は、小さな子供のようだ。
裏家老、寝顔を見ながら「若いのに、裏と表、ビデオファイターとDVDファイター、すべてのしがらみを一身に背負って。酷いな。」
影太郎「ああ。」それでも影太郎の顔は希望を捨てていない。「でも、表と裏の壁も、ビデオとDVDの壁も、『軽やかに口笛を吹きながら、その壁に向かっていく奴』(ダイのこと)がいるじゃないか。」
裏家老、うなずいて「そうだな。」
影太郎「杉崎さんはいつも、明るく楽しく、壁に向かっていく。確かにその壁は、すぐには崩せない。彼は『種をまく者』なんだ。そして必ず『彼のまいた種を引き継ぐ者』がいる。彼(吉田)や、あのチャンプ(マサヤ)たちだ。彼らは、杉崎さんのまいた種を受け継ぎ、いつか壁を壊すだろう。」
裏家老「うん。そして革命の旗の下に、すべてのエロファイトが平等になる日がくる。」
影太郎「その日は、きっと近い。その時には、我らの命いくらでも投げ出そう。」
裏家老「ああ。すべてのエロファイターのために。」

エロおやじたちは、居酒屋の片隅で、静かに熱く、決意をかためていた。

DVDファイター編・外伝(完)

 

 

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