「競バカたちが集まって 2003」おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。

ダイ
全レース万馬券狙いのような激しい馬券を買う男。カミさんのサイフから金をちょろまかして、いつもカミさんと戦っている。(ほぼ全敗)「男の悲しみ」を表現するためヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を出版。全裸正面仁王立ちのどこが男の哀愁なのか周りの人たちはさっぱり分からない。

イサム
タクとマスターの旧友。競バカのレギュラーになりたいと思っている。前回までの疾風怒涛編では主人公として活躍し、馬券で大損した。

 

 

3月1日(土)、午前10時。鉄馬への階段をのぼるマスター。
マスター「さて、掃除して鉄馬再開だ。」

午後5時、さっそくタクがやって来る。
タク「やほー、北。久しぶり。」
マスター「元気だったか?これ、ハワイのお土産。」
タク「サンキュー。」
ビールで乾杯。あっと言う間に、いつもの雰囲気だ。
そこにダイがやって来た。
ダイ「2人とも元気そうじゃないか。」
マスター「疾風怒涛編お疲れ様。」
ダイ「イサムさんは立派だったよ。最後にはフェブラリーステークスで9万円の大勝負にでたんだぜ。残念ながら当たらなかったが。」
疾風怒涛編でのイサムの総出費は20万円近いのだ。
タク「当分、金欠だな。かわいそうに。」
マスター「疾風怒涛編が5回限りでよかったな。」
タク「さて、また予想だ。中山記念はトイカイポイントとテレグノシスあたりが人気かな、テレグノシスは左回りの方が得意のようだから、ずばりトウカイポイントの単。」
マスター「本命サイドで当てに行ったな。」
そのうち、テーブル席にも客が入りだした。鉄馬の常連客が店に明かりがともったのを見てさっそくやって来たのだ。カウンターの右端と左端にも1人のお客さんがそれぞれ座った。
右端の男がビールを飲んで、ダイに話しかけた。「杉崎さんですね。」
ダイ「ああ、そうだが、あんたどこかで会ったっけ?」
男、にやりと笑ってシャツの襟を広げて、着けていた金のネックレスを出した。ネックレスにはネズミの飾りがついていた。
ダイ「黄金のネズミ、まさかあんたは?」
男、立ち上がって「ネズミを象徴にもつ黄金級(ゴールドクラス)のビデオファイターです。
左端の男も立ち上がった「そして私は馬を象徴に持つゴールドクラスです。
タク「おい、再開早々、また裏ビデオファイター編やるのかよ。
マスター「どこまで続くんだよ。

裏ビデオファイターとは?
裏ビデオのコレクションを比べて戦うバカたちの事である。F駅北口と南口の2大勢力があり、それぞれ北口の裏将軍と南口の裏王が頂点に立っている。ダイは先代の裏王だったが、ある出来事をきっかけに引退し、ファイターのライセンス(そういう物があるらしい)を返上した。北口勢には裏家老と影太郎という強者がいる。南口勢の詳細は不明。

タク「まだ裏ビデオファイターがいるのかよ?」
ダイ「いや、彼らは表ビデオのファイター、それも最上級の黄金級(ゴールドクラス)のファイターだ。」
マスター「表ビデオのゴールドクラスって?」
ダイ「表ビデオのファイターは十二支の動物を象徴に持つ12人のゴールドクラスのファイターによって治められているんだ。」
タク「やると思ったんだ、この聖闘士星矢(セイントせいや)のパロディ。」
マスター「また長い話になりそうだ。」ため息。
ダイ、ネズミの男に向かって「ゴールドクラスのファイターがオレに何の用ですか。」
ネズミのファイター「それは、杉崎さん、いや先代の裏王。あんたを倒しに来たんだよ。」
ダイ「何だって?」
馬のファイター「オレたち表ビデオファイターは、目障りな裏ビデオファイター達を排除することに決めたのだ。先代裏王、裏ビデオファイターの実力を測るのにちょうどいい、勝負だ。」
ダイ「なぜ、表ビデオファイターが裏ビデオファイターを倒さなきゃいけないんだ。裏ビデオは非合法、影の存在だ。オレたちは闇の世界でひっそりと暮らしているだけなんだぜ。表ビデオファイターはみんなのあこがれじゃないか。」
タク「あこがれなの?」
マスター「どこかにあこがれている人がいるの?」
馬のファイター「オレたちが血のにじむような努力の末にゴールドクラスのファイターになっても、世間からは「ただのスケベオヤジ」としか見られない。みんな口には出さないが、表ビデオファイターより裏ビデオファイターの方が強いと思っているからだ。」
タク「違うんじゃないかなー。」
マスター「そういう問題じゃないだろー。」
ネズミのファイター「裏ビデオファイターがいなくなれば、オレたちは世界中から祝福される存在になれる。
タク「この恐ろしいまでの世界観のズレ方は何なんだろう。
マスター「人間同士って、決して理解し合えないもんなんだなー。」
ダイ「確かに以前からゴールドクラスの中には裏を倒そうとする意見があったと聞いていた。しかし12人の中には龍のファイターや羊のファイターなど、平和を愛する穏健派がいてバランスがとられていたはずだが。」
ネズミのファイター「確かに半数の6人は、戦いを恐れるふぬけどもだった。」
馬のファイター「戦いを恐れるものなどファイターとして認めぬ。オレ達が倒した。」
ダイ「お前達、羊のファイターを倒したと言ったのか?」
ネズミのファイター「そうだ。奴はオレたち2人が倒した。」
ダイ「きさま達、2対1で戦ったのか?ファイターは常に1対1で戦うんじゃなかったのか?」
ネズミのファイター「オレたちは手段は選ばぬ。」
ダイの目から涙があふれる「あの人は、オレのあこがれだった。
タク「おい、回想話まで行くのかよ。
マスター「どこまで行っちゃうんだよー。」
ダイ「オレが学生の頃、ずっとゴールドクラスのファイターにあこがれていた。ある日、レンタルビデオ屋のアダルトビデオコーナーで、偶然あの羊のファイターにあったんだ。おれは思わずあの人に声をかけて、ファイターになりたいという夢を熱く語ったんだ。あの人は微笑んで「ファイターへの道は長く険しい、しかし目の前に長い道があるということが、生きる希望なのだ。」と教えてくれたんだ。
タク「これはいい話なのか?
マスター「違うぞー。」
ダイ「オレもそれから色々な出来事があって、裏の道に入っちまった。でもあの時の思い出は、今でもオレの宝物なんだ。」
馬のファイター「だからどうした?」
ダイ「お前達、オレは今までこんなに戦いたいと思った事はなかったぜ。ファイターのライセンスなしでもかまわん。今すぐ勝負しろ!」
ネズミ&馬のファイター「望むところだ!」
「お待ちなさい。」入り口に見知らぬ男がいた。
タク「また変なのが出てきちゃったよー。」
マスター「どうすんだよー。」
ネズミのファイター「なんだお前は。」
男「北口の裏家老です。」
馬のファイター「北口の裏ファイターがなぜここに?」
裏家老「杉崎さん、ライセンスなしで戦えば、その責めは重いですよ。でも大丈夫です。」と運転免許証みたいなものを出した。
ダイ「それは?」
裏家老「あなたのライセンスです。再発行してもらいました。」
ダイ「そんな、ライセンスの再発行が出来るなんて。」
裏家老「世論が、世論がF沢市長と市役所を動かしたんです。
マスター「どこにそんな世論があるんだー。
タク「ビデオファイターの世界って奥深いなー。」
裏家老「これで2対2、正々堂々と勝負しましょう。」
馬のファイター「ふっ、ゴールドクラスと互角の力を持つお前達と同数で戦うほどバカじゃないぜ。そっちは北口の裏将軍、影太郎、現裏王を入れても5人、こっちは6人。総力戦ならこっちが圧倒的に有利だぜ。」
裏家老、にやりと笑ってポケットから虎のネックレスを出した。「お土産です。1人倒してきました。これで5対5ですね。」
ネズミのファイター「くっ、一時退却だ。」
ネズミ&馬のファイターは帰っていった。
裏家老「杉崎さん、今、影太郎が裏王様のところへ行っています。裏将軍と合流して、今夜中に奴らを倒しましょう。」
ダイ「分かりました。倒された穏健派のゴールドクラスの無念、必ずはらす。タク、マスター、今夜だけだ、今夜だけオレはまた裏ビデオファイターだぜ、ファイヤー!」
ダイと裏家老も出て行った。
呆然と見送るタクとマスター。
タク「今夜、F駅商店街のどこかで、エロオヤジたちが、他の人たちには全く理解できない何かのために、戦うんだね。」
マスター「人間って理解しあえないもんなんだなー。」

さて、中山記念は?

 

 

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