「競バカたちが集まって 2001」
この物語は、鉄馬というスナックに集まってくる馬券ベタたちのバカ模様です。
登場人物
500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。単勝で中穴を狙うのが好き。マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓が北で、愛称がけいちゃん。予想は馬連ボックス買いが多い。ダイ
競バカ3人組の中で最も激しい馬券を買う男。ほとんど金をドブに捨てている様なものだが、たまに当たるとデカイ。姓が杉崎。
5月21日(月)まさに開店直後の鉄馬。まだ客はいない。
マスター「さあ、ひまなうちにダービーの検討だ。」と競馬週刊誌を検討する。もう今週はダービーの方が仕事より重要なようだ。
BGMにかかっていた粋なジャズが突然、派手なファンファーレになった。
4人の男と1人の女が駆け込んできた。
マスター「なんだ?」「激馬券チェーンジ!」
「本命狙いのレッド!」
「中穴狙いのブルー!」
「万馬券のグルーン!」
「総流しのイエロー!」
「ワイドのピンク!」
レッド「ダービーはもらった!激馬券戦隊ギャンブレンジャー!」
去年の秋に登場した、よく分からない人達だ。反応無し。だって客が誰もいないのだから。
「ギャンブレンジャー!」
マスター「はいはい、分かったからさっさと帰ってね。」5人は帰っていった。
マスター「世の中には、色んな変な人がいるもんだ。」
5月22日(火)。いきなり暗い女が登場。暗いパワーが全開だ。
暗い女「オークスは女ばっかりのレースだから、当然あたしが登場する回のはずなのに、時間がないからって予想だけで終わっちゃったのよ。あたしの出番がなかったのよ。」
マスター「そんなこと知らないよ。文句はタクに言ってくれよ。」
暗い女「マスター、なぐさめてよ。昔のようにまた、熱く激しく、獣のようになぐさめてよ。」
マスター「あんたはどうしてそういうことを・・・・」
そこにミエちゃん登場。「聞いたわ。やっぱりあんたたちはデキてたのね。」
マスター「なんであんたたちは最近そろってでてくるんだよ。」(涙目)また修羅場。
5月23日(水)。ダイが来る。
ダイ「ことしのダービーは、有力馬の戦線離脱でいきなり混戦模様だろ。ここは勝負だぜ。ダービーの出走権の順位ぎりぎり18番目のスキャンボーイの馬連とワイド総流しで大勝負だ!」
マスター「おまえなー。当たればでかいけど、当たる確立は(スキャンボーイには悪いけど)そうとう低いぞ。」
ダイ「それならな、有馬記念のダイユウサクをどう説明する?どんな馬にも可能性はあるんだぜ、ファイヤー!」
マスター「ダイユウサクよ、このバカをなんとかしてくれ。だけどさ、お前っていうより俺達このところ外れっぱなしだろう。掛け金の少ないオレやタクはいいけど、おまえお金残っているのか?」
ダイ「最後の手段があるんだよ。命がけだがやらねばならん。」
マスター「なにを企んでいるんだか。」5月24日(木)。タクが来る。
タク「穴馬捜してるんだけど、クロフネかなあ。」
マスター「2000mまでか、という意見もあるが。というより中2週で1600mから2400mというのは、つらくないか?」
タク「それはよく分かるんだけど、ジャングルポケットも有力馬のリタイアで押し出された人気みたいな気がするんだよね。そういうパターンで意外に来ないと思うんだ。」
マスター「オレはダンツフレーム、ジャングルポケット、シンコウカリドにテンザンセイザのボックスにするよ。」
タク「オレは・・・やっぱりクロフネの単だな。」そこにダイのカミさん、怒りのオーラをまとって登場。「うちのバカはいる?」
マスター「今日は来てないよ。」
カミさん「あたしは子供の頃から、ミニクーパーを運転するのが夢だったのよ。この前やっと買ったのに今日の朝、駐車場をみたら、スズキアルトの中古に変わっていたのよ。あいつ・・・殺す!」
タクとマスター「ああ、あのバカ。」5月25日(金)。開店直後の鉄馬。客は枠順の乗ったスポーツ新聞を握りしめたタクが来ている。
タク「やっぱりクロフネの単だな。」
そこにダイの娘のロジータちゃんがやってきた。
マスター「どうしたのロジータちゃん。今日はお父さんは来てないよ。」
ロジータ「お父さんは、お母さんに怒られて動けないの。」
タク「ああ、やっぱり。」
ロジータ「お父さんが、これを渡してって。」と手紙を出す。
タク「なになに?」
手紙(ダイ)「男のロマンを理解しないカミさんのせいで、オレは動けない。せっかく苦労して作った金も(注:ミニクーパーを勝手にスズキアルトに買い換えようとした金のこと)も取り上げられた。こんなこともあるかと思って、鉄馬のホワイトホースのボトルの裏にわずかばかりの金を隠しておいた。これはオレがいざというときのために、毎日こつこつとカミさんのサイフから抜いた金だ。(注:いばる事か)これでスキャンボーイの総流しを買ってくれ。」
タク「どうする、北?」(北はマスターの名前)
マスター「買うしかないだろ。万が一来たら、すごい金額だぜ。買わない訳にはいかないだろう。」
タク「しかたがないか。」
ロジータ「わたしのお年玉で、お父さんの馬券を買ってあげて。」と小さな手でお金を出す。
タク「いいんだよ、ロジータちゃん。お父さんの馬券はたぶん当たらないんだよ。このお金は大切にとっておきな。」
ロジータ「わたしお父さんの買いたかった馬券を買ってあげたいの。」
タク「・・・どうしよう。」
マスター「じゃあ、それもいただいて買ってあげよう、ね。」
ロジータ「うん!」
マスター(目線でタクに)「あとで返してやるよ。」ロジータちゃんは帰っていった。
タク「粋なおやじじゃん。」
マスター「まあな。」
タク「ま、それはそれとして、ダービーで儲かったら。」
マスター「寿司屋行くか?」
タク「ダービーだからな!」はたしてタクとマスターは寿司屋に行けるでしょうか?