「競バカたちが集まって 2001」

この物語は、鉄馬というスナックに集まってくる馬券ベタたちのバカ模様です。

登場人物

500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。単勝で中穴を狙うのが好き。今年は年間収支プラス。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓が北で、愛称がけいちゃん。予想は馬連ボックス買いが多い。

ダイ
競バカ3人組の中で最も激しい馬券を買う男。ほとんど金をドブに捨てている様なものだが、たまに当たるとデカイ。姓が杉崎。最近ヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を作って、周囲をパニックにさせた。

ダイのカミさん
金をくすねるダイといつも闘っている。得意技は飛び膝蹴り。

 

  

11月15日、午後6時半。鉄馬のあるF駅南口商店街の。雨、どしゃ降り。

少し前が見えないくらいのどしゃ降り。そこにうごめく2つの人影。それは、びしょ濡れのダイとダイのカミさんだ。ばしゃっと雨をはじいてカミさんの体が空を切る。飛び膝蹴り。ダイが倒れる、鼻血が雨に溶ける。
ダイ「てめえ、マイルチャンピオンのために、たかが5千円サイフから抜いただけで、ここまですることねえだろうが。
カミさん「黙れ、5千円が1万円に、1万円が2万円になって、その内にまた20万円馬券で使っちゃうのよ。2度とそんな気を起こさないように、徹底的にぶっつぶす!

「杉崎さんとこの夫婦は、いつも元気だねえ。」と近くの八百屋がその光景を見ながらつぶやく。ダイ夫婦の派手なバトルは商店街の名物となってる。

カミさん「とどめ。」助走の距離をとるために後ずさりする。
ダイ「ここまでか・・・。」ずぶ濡れのアスファルトに突っ伏して、つぶやく。
その時、カミさんに向かって何かが飛んできた。カミさんが片手でびしっと受け止める。飛んできたのはパチンコの玉だ。2発、3発と飛んでくる。次々と受け止めるカミさん。「何者だ?」玉の飛んで来た方向を見るが、どしゃ降りでよく見えない。ダイの方に向き直ると、ダイがいない。一瞬のスキに逃げたのだ。
カミさん「ちくしょう、逃した。」

数分後、商店街の裏通りにある駐車場。逃げてきたダイと男がもう1人。ダイはびしょ濡れ、もう1人の男は黒い傘をさしている。
ダイ「助けてもらって、礼を言うぜ。オレは杉崎っていうんだが、あんたの名前は?」
男「通りすがりの同好の士だ。名乗るほどの者じゃない。」
ダイ「せめて、ビール1杯おごらせてくれ。」
男「気にするな、縁があったらまた会おう。」男は去っていった。
ダイ、びしょ濡れのまま男を見送る。「粋な男じゃねえか。」

その男は、曲がり角を曲がって立ち止まった。
「決まった。今のオレって完璧に決まった。しぶい。」自分に酔っている。格好良く登場したが、こいつもやはりバカのようだ。「さてと、じゃあ鉄馬に行かなきゃ。」とまた歩き出す。

一方、こちらは鉄馬。カウンターにはタク。
タク「トゥザビクトリーは買えないよなあ。武豊はすごいよ。」
マスター「確かに先行したらいつものパターンでちょい足らずだったろうね。」
タク「マイルチャンピオンは、ビハインドザマスクとダイワルージュの単、それとこの2頭の馬連。」
マスター「ダイワルージュまだ追うの?」

またまた、こちらは鉄馬の前の道。先ほどの男が歩いてくる。
「ええと、この通りの左側でコンビニの2階と・・・、あっあれだ。」
階段を上って、店の外から中を見る。テーブル席には客が3組。カウンターの中にはマスター。そしてカウンターには客が1人。男はカランと戸を開けて、入る。
マスター「よう、久しぶり。元気だったかイサム。」
タク「おっ、来たか、2年ぶりだな。」
男「もっと早く連絡してくれればいいのに。」
タク「ごめんごめん、名古屋転勤から戻ってくる時に、住所録無くしちゃってさ。なかなか連絡できなかったんだよ。」
マスターがハイネケンを出す。
タク「再会を祝して・・・」
「よお、さっきの兄さん。」トイレから着替えて出てきたダイがいた。
*注:ダイは先ほどの雨の中の死闘でびしょ濡れだったので、着替えていました。ダイは鉄馬によく寝泊まりしているので、着替えや洗面用具などを置いてあるのです。かわいそうなマスター。
イサム「あれま、この人も、ここのお客さんなの?」
マスター「ダイっていうんだ。体がでかいから。こいつも常連の競バカだよ。」
タク「こいつはイサム。オレの高校からの仲間。北とも、昔から飲み仲間なんだよ。こいつはパチンコと競輪が大好きなんだ。」
ダイ「よろしく、今日の礼は、馬券で儲けたら必ずするぜ。」
マスター「いつになるか、分からないけどね。」
イサム、苦笑する。
タク「あ、それからね。君はレギュラーじゃないから。
イサム、こける「レギュラーじゃないの?せっかくあんなに手の込んだ登場したのに。
タク「君は準レギュラー。まあ大体暗い女と同じくらいに出てくる予定だから。」
イサム「レギュラーにしてよ。」
マスター「悪いけど、だめ。4人レギュラーはものすごい危険だから。」
イサム「何が?」
ダイ「もう1人出てくると5人組になって、あのギャンブレンジャーと同じになっちゃうんだよ。」
タク「それだけは恥ずかしいからな。」

再会を祝して、みんなでそこそこ飲んだ。最初にタクが帰った。(最近、タクは早寝早起きなのだ。)イサムもそろそろ帰るという。帰り際、階段を降りるイサムにダイが声を掛けた。
ダイ「馬券で儲けたら、きちんと礼はするが、今日はこれで勘弁してくれ。」と封筒をイサムに渡す。
イサム「何、これ?」
ダイ「家で読んでくれ、オレの自己紹介だよ。」
イサム「なんだか分からないけど、ありがとう。」

1時間後、イサムの住むT駅近くの住宅街で絶叫が聞こえた。
ダイの渡したものは、ダイのヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」だった。

マイルチャインピオンは、どの馬が勝つんでしょうか?  

 

 

前回のレース

第26回エリザベス女王杯(G1)

1着:トゥザヴィクトリー(武豊) 2.11.2
2着:ローズバド(横山典)
3着:ティコティコタック(武幸)
4着:ダイワカーリアン(柴田善)

タクの予想:はずれ

 

 

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