「競バカたちが集まって 2001」

この物語は、鉄馬というスナックに集まってくる馬券ベタたちのバカ模様です。

登場人物

500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。単勝で中穴を狙うのが好き。今年は年間収支プラス。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓が北で、愛称がけいちゃん。予想は馬連ボックス買いが多い。

ダイ
競バカ3人組の中で最も激しい馬券を買う男。ほとんど金をドブに捨てている様なものだが、たまに当たるとデカイ。姓が杉崎。最近ヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を作って、周囲をパニックにさせた。

カミさん
ダイのカミさん。家の金をちょろまかすダイといつも闘っている。得意技は飛び膝蹴り。

ロジータちゃん
ダイの一人娘。公営競馬の名牝ロジータの名前をダイが命名。けなげな良い子。

 

  

17日(月)、7時ちょっと前、タクはF駅商店街を鉄馬へと急いでいた。
「この土日は、CBC賞、フェアリー・ステークス、阪神牝馬特別と全敗だったけど、いいや。ステイゴールドが香港で勝ったからな。今日のビールは美味しいぞ。」
鉄馬への階段を駆け上がると、入り口に張り紙。「祝、ステイゴールド号、ラストランでG1勝利!今夜は全員ビール1杯サービス!」
タク「北もやるじゃん。」中に入る。
マスター「よう、タク。遅いじゃないか?」いつもは仕事中飲まないマスターが、ビールを飲んでいる。ご機嫌だ。ダイはテーブル席のお客に、「オレのおごりだ。」と紙コップで焼酎(紙パック)をふるまっている。「いただきます。」お客もみんな喜んでいる。なんだか忘年会の様な盛り上がりだ。

タク「さてと、いよいよ年末の大勝負、もっとも危険な中山大障害だ。オレは、マキハタコンコルドの単。」
マスター「全馬、無事に完走して欲しいね。」
タク「ああ。」
ダイ「馬が命懸けで走るんだ。オレも大勝負だ。」
マスター「お前、金あんのか?」
ダイ「1日500円のこずかいだから、(ダイはジャパン・カップ以来、家に入れてもらえなくて鉄馬でダンボールで寝ている。そして1日500円しかカミさんからもらえない。)昼飯は平日半額のマックとか牛丼280円とかで食いつないで、貯めた金が3千円だ。これをコバノスコッチにぶっこむぜ。」
そこにダイの娘のロジータちゃんが入ってきた。
ロジータ「お父さん、早くお家に帰ってきて。もうすぐクリスマスだから、一緒にごちそう食べようよ。」
ダイ「ロジータ、お前って奴は・・・。お前の優しい気持ちが、何よりのクリスマスプレゼントだぜ。
タク「お前なー。お前が、ロジータちゃんからクリスマスプレゼントもらって喜んでちゃダメだろうが。
ダイ「お前の気持ちは、父さん涙が出るほどうれしいぜ。だがな、オレはあの鬼のような女が「どうか家に帰ってきて下さい。」と手をついて謝るまで、帰るわけにはいかないんだ。」
「誰が手をついて謝るですって?」とカミさん登場。
マスター「ダイ、謝って家に入れてもらえ。」
タク「早く手をついて謝っちゃえ。」
ダイ「オレも男だ。何があっても白いものを黒とは言えないぜ。
「ああ・・・。」タク、マスターため息。
カミさん「だったら競馬で勝負よ。日曜日の有馬記念であんたが勝ったら、家に入れてあげるわ。私が勝ったら、正月もここでダンボールで寝てなさい。そしてこれから3ヶ月間、1日500円のこづかいよ。」
ダイ「上等だ。オレたちの競馬人生の全てを賭けて勝負だ。タク、マスター、気合い入れて行くぜ!
タク「ちょっと待て、なんだその「オレたち」ってのは。
マスター「オレたちじゃないよ。お前が、カミさんと勝負すんだよ。」
ダイ「まあ、そういう意見もあるかもしれない。」
タク「そういう意見しかないぞ。」
カミさん「有馬記念で1万円馬券を買って、儲けた方が勝ちよ。」
ダイ「いいだろう。正義は必ず勝つ事を分からせてやるぜ。」
マスター「ダイ、お前3千円しか持ってないじゃん、圧倒的に不利だぞ。」
ダイ「大丈夫だ。土曜日の中山大障害で3千円は何倍にもなる計算だ。同じ1万円の馬券勝負になれば、こっちのもんだぜ。」
どっちのもんだか分からないけど、22日(土)更新予定の有馬記念編に続きます。

 

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