「競バカたちが集まって 2001」
この物語は、鉄馬というスナックに集まってくる馬券ベタたちのバカ模様です。
登場人物
500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。単勝で中穴を狙うのが好き。今年は年間収支プラス。マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓が北で、愛称がけいちゃん。予想は馬連ボックス買いが多い。ダイ
競バカ3人組の中で最も激しい馬券を買う男。ほとんど金をドブに捨てている様なものだが、たまに当たるとデカイ。姓が杉崎。最近ヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を作って、周囲をパニックにさせた。カミさん
ダイのカミさん。家の金をちょろまかすダイといつも闘っている。得意技は飛び膝蹴り。ロジータちゃん
ダイの一人娘。公営競馬の名牝ロジータの名前をダイが命名。けなげな良い子。
23日(日)、開店直後の鉄馬。客はタクとダイとカミさん。
マスターが線香立てに線香を立てる。「大障害で散ったマキハタコンコルドと今年の競馬で亡くなったすべての馬に、合掌。」
一同、黙とう。タク「さてと、もーかった、もーかった。マンハッタンカフェ偉い!」スキップするタク。
「アメリカンボスなんて買えないよー。」頭かかえるマスター。フロアでにらみあうダイとカミさん。
カミさん「テイエムオペラオーが複勝をはずすなんて・・・」
ダイ「競馬の恐ろしさが身にしみたか。安全を求めて、勝負から逃げた瞬間から、おまえの敗北は決まっていたのだ。」
タク「ダイワテキサスから流した人の言うセリフじゃないね。」
ダイ「5着だろうが、11着だろうが負けは負けだ。オレとお前の勝負は引き分けだぜ。さあ、どうする。」
カミさん「しかたがない、明日はクリスマスだし、ロジータが悲しがるから、家に入れてあげるわ。」
ダイ「あたりまえだ。」
その瞬間、カミさんの飛び膝蹴りが炸裂した。鼻血を吹き出すダイ。
カミさん「あたしのへそくり10万円を使っちゃったくせに、何を言うか。これからも1日500円で暮らすのよ。ロジータのお金もちゃんと返すのよ。」
マスター「あの、ひとつ質問があるんですけど。」
カミさん「何?」
マスター「奥さんは、どうしてダイと結婚したんですか?」
カミさん「一時の気の迷いよ。あの時は、この人はあたしがついていなくちゃダメな人だと思ったんだけど、結婚してみたら、あたしがついていてもダメな人だったのよ。」
タク「情けなさに泣ける話だなー。」
カミさん「さあ、帰るわよ。」ダイのえりくびを引っ張る。
ダイ「オレは、必ず帰ってくる。来年こそオレのファイヤー馬券が…。」
カミさん「うるさい、黙れ。」
ダイとカミさん退場。マスター「よかったー、ぼったくり、じゃない、かきいれ時のクリスマス・イブにダイが床にダンボールに寝ていたら雰囲気ぶち壊しだからな。」
タク「そらそうだ。」
マスター「タク、お前も明日来るなよ。明日は男1人でカウンターで飲んでると、浮くぞ。」
タク「うるさいわい。いいよ、明日は家で1人、G1レースのビデオ見ながらビール飲んで寝ちゃうもん。」
マスター「寂しいねえ。」
タク「黙れ。それ以上言うと、グレちゃうぞ。」
マスター「さて、今年の競バカもこれで終わりだねえ。」
タク「いやまだ大井の東京大章典が残っている。」
マスター「大井に行くの?」
タク「土曜日だからね。公営三冠のトーシンブリザードを生で見に行くんだ。馬券もJRAの馬が人気になるだろうから、トーシンの単にする。」29日、大井競馬場。東京大章典を勝ったのは、岩手のトーホウエンペラー。2着はJRAのリージェントブラフ。トーシンブリザードは3着。
ゴール後の歓声の中、タクはつぶやいた。
「今年はこのくらいにしといたらあ。」「みなさま、よいお年を。」(タク&マスター)