「競バカたちが集まって 2001」おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。姓が北で、愛称がけいちゃん。

ダイ
競バカ3人組の中で最も激しい馬券を買う男。

団長さん
スペシャルゲストです。


開店直後の鉄馬。客はいつものようにタクとダイの2人。

「もーかった、もーかった。」スキップするタク。
「ノボトゥルー来ちゃうとはなあ。」とマスター。
そしてアローセプテンバーは10着。ダイは先週カミさんから金を抜いてきたが、全額取り返されてしまった。そこで、なけなしの金を全部かき集めてアローセプテンバー総流しにぶっこんじゃったのだ。給料日まで残っている金は、背広の尻ポケットから発見したくちゃくちゃの千円札が二枚。これでは鉄馬でも飲めないので、マスターに泣きついて、安い焼酎を持ち込ませてもらって、水で割って飲んでいる。

「ここが競馬ファンの集まる店ですか。」と、入り口に男が立っている。背が高くて、ひょろりとした男だ。見るからに高そうな背広でびしっときめて、時計は金のロレックス、靴の先までぴかぴかだ。
「いらっしゃいませ。」とマスター。男はタクの横に座って、高いウイスキーを注文した。
男「ども、はじめまして。」
タク「あ、どうも。」
男「私、愛知県の一宮に住んでいるんですが、仕事でこちらに来ておりまして。この店が競馬ファン御用達の店だと聞いて、飛んできたんですよ。私も競馬が大の大のそのまた大がつくほど好きなんですよ、こんど馬主になろうかと思っているんです。」
タク「馬主に?そりゃすごい。」
マスター「お金持ちなんですねえ。」
男「私こういう者です。」
タク「***株式会社、すごい、社長さんなんですね。」
男「パチンコ屋とレンタルビデオをやっとります。社員には私のことを団長って呼ばせているんですよ。なんか石原軍団みたいでかっこいいでしょう。
マスター「はあ。」なんか、ちょっと変わった男のようだ。
男「競馬は楽しい。男のロマンです。私はテイエムオペラオーを買って、今年のダービーに出したいと思っているんです。
マスター「それは、ちょっと無理だと思いますよ。いろんな意味で。」この男、実はまだ初心者で、競馬のことがよく分かってないらしい。

男「それで、今週のレースはどうなんでしょう?」
タク「西の阪急杯は、ダイタクヤマトとブラックホークが人気になるんだろうけど、オレは両方きって、トキオパーフェクトの単勝を買おうと思ってます。ダイタクヤマトは人気背負って勝つタイプじゃないと思うんですよね。なんたってあのクセ馬ダイタクヘリオスの子供ですから。で、ブラックホークもそろそろ世代交代だと。」
男「なるほど。」
マスター「オレは素直にブラックホークが軸でいいと思う。ダイタクヤマトとタイキトレジャーとダンツキャストへ流すよ。」
男「ふむふむ。」
ダイ「オレもダイタクとブラックホークは切りだ。ついでにタイキトレジャーとダンツキャストとトキオパーフェクトも切っちゃう。」
男「ふむふむ。」
ダイ「それで、エリモセントラルとゲイリーイグリットとゲイリーフラッシュとシンボリスウォードも切って…」
マスター「お前、買う馬なくなっちゃうぞ。」
ダイ「ある。ワシントンカラーだ。ここから残った他の馬にながす。きたらでかいぞ。」
タク「そりゃ、きたらすごくでかいけど。まず来ないぞ。」
マスター「残り少ない金を、そんな危険な馬券買っちゃだめだ。」
ダイ「危険な掛けだから燃えるのよ。男は倒れる時には前向きに倒れるもんだぜ。ファイヤー!
男「素晴らしい!素晴らしい!燃えてこそ男、燃えてこそロマンですね。私も新しいロレックス買おうと思っていた50万円で、その馬券で勝負します。」
マスター「だめですよ。お客さん。そんなことしちゃ。」
タク「やめてください。」
男「男です、ロマンです、ファイヤーです!」そしてダイと握手して1万円置いて、つりはいらないと帰っていった。
マスター「ああ、行っちゃった。」
タク「社長さんだから、50万円くらいなら、大丈夫か。」
マスター「まあ、ダイがなけなしの千円を失うよりは、痛まないだろうな。」
ダイ「身を削って、血の出る馬券を買う、これが男よ。」
タク「カミさんのサイフから金を抜くのがロマンか?」
ダイ「細かいことは気にするな。」


今夜もバカな鉄馬でありました。


先週のレース

第18回フェブラリーステークス(G1)

1着:ノボトゥルー(ペリエ) 1.35.6
2着:ウイングアロー(岡部)
3着:トゥザヴィクトリー(武豊)

タクの予想:あたり

マスターの予想:はずれ

ダイの予想:はずれ


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