「競バカたちが集まって 2002」おバカどもの馬券奮戦記です!
登場人物
500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。ミエちゃん
マスターのカミさん。マスターに惚れちゃった暗い女とマスターの仲を疑っている。
ダイ
最も激しい馬券を買う男。昨年はヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を出版して、周囲をパニックにさせた。カミさん
ダイのカミさん。お金をちょろまかすダイといつも闘っている。得意技は飛び膝蹴り。暗い女
男運が悪く、いつも男に逃げられている。マスターに惚れている。
5月27日(月)、開店直後の鉄馬。客はタク1人。ダイはいつものようにダンボールで寝ている。
タク「タニノギムレットじゃ、しょうがないや。」競バカ3人組みは全滅である。
マスター「また新しい1年がはじまったぜ。頑張ろうや。」競馬ファンの1年はダービーの翌日から始まって、次の年のダービーで終わるのだ。
タク「年が変っても、ダイはここで寝てるのね。」
マスター「先週またカミさんのサイフから金をちょろまかしちゃったから、まだ当分帰れないだろうなあ。」ため息。
ダイ「気にするな。男一匹、立って半畳、寝て一畳。そんなに邪魔はしないよ。」
タク「お前、通算すると1年の半分くらい、ここで寝泊まりしてないか?」
ダイ「住めば都よ。」
マスター「住むなよー。」
タク「住民票をここに移すという手もあるな。」
マスター「移すなー。」そこにまたまた暗い女登場。カウンターに座って「マスター、あたしダービーをタニノとシンボリの1点でとったの。結構儲かったから、お寿司でも食べに行きましょうよ。」
「だめよ。」とまたまたミエちゃん登場。「なんで、ウチのだんながあんたと食事しにいかなきゃならないのよ。タクさんかダイさんと行けばいいでしょ。」
暗い女「だめよ、あたしはマスターだけのものなんだから。」
ミエちゃん「なんですって、この泥棒猫!」
マスター「やめてよー。お願いだからもめないでよー。」
タク「まあまあ、ここはクライマックスのダービーを終えて、みんなで楽しく回顧しようではないか。」ダービーは競馬の最大のお祭りだから、終わった後もあーでもない、こーでもないと話がつきない。馬券を当てた人は自慢をするし、外した人は、「私はいかにして、この外れ馬券を買ってしまったか。」と「私の軸馬はどこにいっちゃたのか。」を語るのだ。(この外れ話も楽しいんだよね。)また来週も通好みの安田記念が控えている。月曜日で他の客も少ないのでマスターまで飲み出しちゃって、競馬談義に花が咲いた。
マスターもビールをしこたま飲んで、おしっこに行った。(当然、おしっこの近いタクはその前に何度も行っている。)男用のトイレから出てきたマスターは、偶然女用のトイレから出てきた暗い女と出会い頭にぶつかって唇と唇が触れてしまった、つまりキスしちゃったのだ。
マスター「わーっ!」
暗い女「そんな、いきなりキスするなんて。前もって言ってくれれば心の準備をしておくのに。」
マスター「違うの、違うの。今のは…」
暗い女「キスじゃない。」
マスター「違うよー。ただぶつかっただけじゃないか。いいかい、この事はミエには絶対に言わないでよ。」
暗い女「言うわけないじゃない。2人だけの秘密を。」
マスター「だからそうじゃなくて…。いかん、ここで君と話をしているだけで危険だ。頼むよ、絶対変なこと言わないでよ。」カウンターの中に戻ったマスター。そして暗い女はいつもはマスターの近くに座っているのに、カウンターの一番端に座った。ミエちゃんはそういう変化を見逃さない。
ミエちゃん「あんた、なんでそんな端に座っているのよ。」
暗い女「いいの、私は遠くからマスターを見ているだけで。」
ミエちゃん「なんなの、その勝ちほこったような余裕は?あなた、あの女に何したの?」
マスター「何もしてないよー。」
暗い女「うふっ。」そっと顔を赤らめる。
ミエちゃん「あたしは、この人の子供を3人も産んだのよ!」
暗い女「どんなに激しいプレイより、心のこもったキスひとつの方が、女はうれしいものなのよ。」
マスター「あんたは、どうしてそういう事を…」(涙目)
ミエちゃん「あんたを殺してあたしも死ぬー!」
マスター「助けてー!」
タク「ちょっと待った。」
マスター「タク!」(やっぱり最後は助けてくれるんだな。)
タク「お勘定。」
マスター「お前はー!」タクは修羅場のマスターを残して鉄馬の階段を降りている。ダイはいても役に立たない。(かわいそうなマスター。)
タク「安田記念はまた外国馬の単で責めよう。香港のジューンキングプローンとレッドペッパーの単。」さてさて安田記念は?