「競バカたちが集まって 2002」おバカどもの馬券奮戦記です!
登場人物
500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。ダイ
最も激しい馬券を買う男。昨年はヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を出版して、周囲をパニックにさせた。裏ビデオコレクターとしては裏王の称号を持つ。
この物語は、もっとばか22「裏王」の続編です。先にこちらをお読みください。
この物語は、F駅周辺のスケベオヤジ…じゃない、裏ビデオファイター(裏ビデオコレクションを比べて戦うバカども)達の苦悩と友情の物語である。
9月6日(土)、開店直後の鉄馬。客はタク1人だ。
タク「京王杯オータムハンデはブレイクタイムとトレジャーがかなりの人気になると思うんだけど。ここは大穴狙いでサンライズタイガーとインターサクセスの単。」
マスター「えらい大穴狙いだな。」
タク「それなりに根拠はあるんだ。最近1000〜1200mで成績が良くないけど、1400〜1600mでは過去に勝つか2着があるんだ。左回りの成績もそこそこ良いしね。そしてハンデが軽い事と、調教状態が良い事。」
マスター「なるほどね。」
そこにダイがやって来た。ネクタイ姿になぜか白の長いハチマキをしている。
タク「どうしたんだ、そのハチマキ?バカがとうとう頭に来ちゃったか?」
ダイ「オレは、裏王としてとんでもない事をしてしまったんだ。」
マスター「また裏ビデオの話か。」(ため息)
ダイ「この前オレにつっかかってきた裏若丸って奴がいたろう。」
タク「ああ。」
ダイ「あのバカがとんでもないことをしちまったんだ。」
マスター「どうしたの?」
ダイ「F駅周辺の裏ビデオファイター達は北口と南口のエリアに分かれているんだ。それぞれエリアは、そのエリアの頂点に立つ者、南口の裏王と北口の裏将軍によって治められているんだ。」
タク「なんだか北斗の拳か、三国志みたいになってきたな。」
ダイ「北の者と南の者の戦いは厳しく禁じられている。唯一戦うことが出来るのは裏王と裏将軍だけなんだ。だが、実際には裏王と裏将軍の戦いは過去に2回しかない。昭和61年の4代裏王と3代裏将軍の「連絡地下通路の戦い」と平成6年の8代裏王と6代裏将軍の「JR改札前の千日戦争」だけなんだ。この2回はともに引き分けに終わっている。歴代の裏王と裏将軍が戦うことが少なかった理由は、「共にベストの状態の時に限る。」という暗黙の了解があったからだ。お前達も見たように裏王も裏将軍もいつでも挑戦者の挑戦を受けねばならない立場にいる。2人そろってベストの状態にいることは、めったにないんだ。」
タク&マスター「………。」
ダイ「昨日、北の裏将軍に、その配下の裏家老が戦いを挑んだんだ。2人は親友であり、お互いを認め合ったライバルでもあった。噂では見ていたものが涙するほど素晴らしい戦いだったらしいよ。」
タク「おい…。」
ダイ「結果は、ぎりぎりのところで裏将軍が裏家老に勝ったんだ。だが、裏将軍も激しく傷ついたんだ。そして…そして…その傷ついた裏将軍にあの裏若丸が卑怯にも奇襲をかけて倒してしまったんだ。そして奴は、北と南の両方の頂点に立つ裏皇帝だと名のりやがったんだ。」
タク&マスター「………。」
ダイ「手負いでなければ、裏将軍があんな若造にやられる訳がないんだ。2年前、オレが先代の裏王と戦って倒した時、オレはぼろぼろだった。だが北の者が動くことはなかった。それは裏将軍が、北の功を急ぐ若造達をきちんと仕切ってくれたからなんだぜ。なのに、なのに…オレは裏若丸をおさえることが出来なかった!」ドンとカウンターを叩く。
タク&マスター「………。」
ダイ「オレはこれから裏若丸を倒しに行く。そして北のすべてを裏将軍に返した後、裏王を返上して、しかるべき後継者に渡すつもりだ。それが、オレに出来るせめてもの償いだ。」
ダイは金を払って帰ろうとして、ドアのところで振り返った。
ダイ「今度、ここに来たときは、オレはもう裏王じゃない。ただの裏ビデオコレクターだぜ。」
ダイは帰って行った。呆然とするタクとマスター。
タク「えーと、これは感動的な話なのかな?」
マスター「んな訳ないだろー。ただの裏ビデオの比べっこだろうがー!」やれやれ。