「競バカたちが集まって 2002」おバカどもの馬券奮戦記です!
登場人物
500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。ダイ
最も激しい馬券を買う男。カミさんのサイフから金を抜いてはボコボコにされている。現在、1日300円のお小遣いで謹慎中。カミさん
ダイのカミさん。お金をちょろまかすダイといつも戦っている。得意技は飛び膝蹴り。杉良太郎の大ファン。ロジータちゃん
ダイの娘。けなげな良い娘。暗い女
鉄馬の常連。男運が悪い。マスターに惚れている。ミエちゃん
マスターのカミさん。暗い女とマスターの仲を疑っている。
11月20日(水)、開店直後の鉄馬。客は暗い女1人だ。暗い女がいるときは、当然ミエちゃんもいる。
暗い女「ダーリン、ビールちょうだい。」
マスター「はいはい。」(頼むから、早く帰ってくれよー。)
ミエちゃん「きーっ!」
マスター、ため息。
暗い女「ダーリン、ビールおかわり。」
マスター「はいはい。」
暗い女「ダーリン、アンチョビのピザちょうだい。」
マスター「はいはい。」
暗い女「ダーリン、今度抱いてね。」
マスター「はいはい…えっ?」
暗い女「やった!」
マスター「ちょっと待ってよ!何だよそれ。」
暗い女「今、言ったもん、はっきりと抱いてくれるって。」
マスター「違うよ、そんなの…」
ミエちゃん「あんたを殺して私も死ぬー!」
マスター「助けてー!」
かわいそうなマスター。その頃、ダイの家。ダイはロジータちゃんと遊んでいた。ダイは「金がないから、競馬はやめだ。」と天皇賞で宣言してから、競馬はやっていない。もちろんカミさんは、そんなダイの事を信じている訳ではない。
カミさん「あんた、そろそろあんたの好きなジャパンなんとかって言うレースがあるんじゃないの?」
きっと、カミさんをにらみつけるダイ。その目からは涙がぼろぼろとこぼれた「お前は、大好きな競馬をやめたオレに競馬のことを聞くのか?お前には人情というものがないのか?鬼!」
カミさんの右ストレートが飛んだことは言うまでもない。翌、21日(木)、午後2時。カミさんは北口のスポーツクラブでダンベルトレーニングをしていた。カミさんはダイとの戦いのために毎日トレーニングをしているのだ。
黙々とトレーニングしながら考えている。「あのバカは本当に競馬をやめたのか?いや…そんなはずがない。きたえあげた私の体が…、わたしの闘争本能が告げている、奴は私と戦わずにはいられない!」
困った夫婦である。22日(金)、朝。いつものように300円のおこづかいをもらって会社へ出かけたダイ。しかしその日は会社へ行かなかった。「今週はジャパンカップウィークだから。」という無茶な理由で有給休暇をとったのだ。駅前のマクドナルドで時間をつぶしてから、そっと家に帰ったダイ。カミさんが洗濯をしているすきにカミさんのサイフから2万円を抜いて家を出た。「ロジータ、すまない。またしばらく会えないな。だがオレは、いつでもお前の幸せを願っているよ。」
救いようのないバカである。その夜、開店直後の鉄馬。カウンターにはタク。テーブル席はかなりお客さんが入っている。
タク「北、なんか、やつれたね。」
マスター「あたり前だろー。あの女(暗い女のこと)何とかしてくれよー。」
タク「まあ、それは置いといて、ジャパンカップダートの予想だ。」
マスター「置いとくなー。」
タク「今年は大きくマイナスしてんだよ。去年の今頃は年間収支プラスを決めていたのにな。ここも一気に挽回をめざして大勝負だ。ずばり先行のゴールドアリュールにアメリカのリーバズゴールドとアブリーズが競りかけて超ハイペースと読んだ。先行勢はつぶれるだろう。そこで差してくるアドマイヤドンのさらに後ろから来るトーホウエンペラーとプリエミネンスの単、そして万が一のリーバズゴールドの行った行った(先行粘りこみ)の単を少々。」
そこにダイがやって来た。なぜかサングラスをしている。「マスター、ハイネケンくれ。」
タク「いつも金なくて紙パックの焼酎持ち込んでいるお前が注文する、と言う事は…。」
ダイ「おうよ、カミさんのサイフからまんまと2万円ぶっこ抜いてきたぜ。」
マスター「やっぱり。」ため息。
ダイ「まず明日(ジャパンカップダート)は香港のレッドサン(かなりの人気薄)から馬連総流しだ。」
タク「ところでさ、そのサングラスは何なの?」
ダイ「これが対カミさん用の最終兵器だぜ。」
タク&マスター「???」
そこにカミさんが登場。いつもの戦闘用の皮のつなぎ姿だ。
ダイとカミさんはフロアでにらみ合う。(BGM:仮面ライダークウガの戦闘の曲)
ダイ「そろそろ来る頃だと思っていたぜ。」
カミさん「もはや語ることはない。お前をぶっつぶす!」
ダイ「ちょっと待ちな、お前に質問がある。」
カミさん「何だよ?」
ダイ「お前の1番大切な人は誰だ?」
カミさん「ロジータに決まっているでしょ。」
ダイ「じゃあ、2番目に大切な人は?」
カミさん「何なの?あんただとでも思っているの?あんたなんか、お隣の猫のオレンジちゃん以下よ。あたしの世界で2番目に大切な人は良サマ(杉良太郎)に決まっているでしょ。」
ダイ「だろうな、じゃあ、その良サマには手を出せないよな。」
カミさん「何言ってるの?」
ダイ「これを見ろ。」と、サングラスを外した。
ぎゃーはっはっは!!!
笑いころげる、カミさん、タク、マスター。
ダイは杉良太郎のマネをして濃いアイラインをいれて、ブルーのアイシャドウをつけていた。一重で細目のダイは、(だいぶ無理があるが)目だけを言えば杉良太郎さんの切れ長の目と似てなくもない、かもしれない。(切れ長の目と細目はすいぶん違うが…)しかしダイの顔は下ぶくれで、全体としては杉良太郎さんとは激しくかけ離れている。つまり簡単にいうと化粧したダイの顔は、限りなく「たいした、たまげた。」の故淡谷のり子さんにそっくりなのだ。(天国の淡谷のり子先生、こんな書き方してすいません、コントなので許してください。)
タクたちだけではない。いつもダイとカミさんのバトルにも平然なテーブル席の常連客も笑いころげている。
ダイ「どうだ!杉良太郎そっくりのこのオレには手が出せまい!」
どこをどうカン違いすれば、杉良太郎そっくりと思えるのか、自信満々のダイ。
カミさん「はひー、はひー、ち…近づかないで。」フロアにころがって、もだえ苦しむカミさん。
ダイ「タク、マスター、見たか?最後に勝つのはオレだぜ。」
マスター「やめろ…、こっちを…、向くな。」
タク「はひー、はひー、痛い!」笑いすぎて、腹筋がケイレンするタク。
ダイ「完全勝利だ。ろくでなし(居酒屋)で飲み直しだ。」さっそうと出て行くダイ。
本人の思いとは全く別の効果で圧勝したダイ、続きます。次回は明日。