「競バカたちが集まって 2002」おバカどもの馬券奮戦記です!

登場人物

500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。

マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。

ダイ
最も激しい馬券を買う男。昨年はヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を出版して、周囲をパニックにさせた。

 

  

12月21日(土)午前11時半、タクはスポーツクラブで朝一番のトレーニングを終えて治療院で整体を受けていた。いつもの土曜日は午後からトレーニングするのだが、今日は午後から鉄馬でマスターとダイと競馬中継を見ることになっているのだ。
タク「先生、(整体の先生のこと)すごい雨ですね。」
先生「馬場が悪くなりそうですね。」先生も大の競馬好きなのだ。
タク「大障害だけはいい馬場でやらせてあげたいのに。」
タクはため息をついた。

春の中山グランドジャンプと秋の中山大障害は、この2レースの時だけ使用される8の字形の専用コースを使用して行われる。巨大な大竹柵障害と大土塁障害を飛ばなければいけない、日本で最も過酷な障害レースである。

同じ頃、鉄馬ではマスターが準備をしていた。いつもは厨房にあるテレビをカウンターの方に移動していた。
マスター「夕方には雪になってしまうかもしれないな。」不安そうに窓から外を見た。

またまた同じ頃、ダイは自宅の前で気絶していた。現在、カミさんのお金をちょろまかして家から追い出されて鉄馬に寝泊りしているが、朝ごはんだけ自宅で食べさせてもらえるのだ。ダイは、今日の朝、家に入っていきなりカミさんのサイフから札を抜いて口の中に入れた。
カミさんは激怒して「この野郎、吐き出しやがれ!」と殴る蹴るの袋叩きにした。(当然である。)殴られる蹴られるのやられ放題のダイだったが決して口は開けなかった。薄れていく意識の中でダイは思っていた、「
馬たちがこの雨の中で命がけで大障害を飛ぶんだぜ、参加せずにいられるか!こんな痛み、大障害に散っていった馬達の痛みに比べれば屁でもないぜファイヤー!」そして気絶して、家の外に捨てられたのだ。
「うう…」意識をとりもどしたダイ、「早く横浜(場外馬券売り場の事)に行かねば。」ずぶ濡れの痛む体を起こしてよろよろと歩き出した。

午後2時、鉄馬。タクは12時半から来て、マスターといっしょにテレビ神奈川の競馬中継を見ていた。1時半の第8レースではソウルスピリッツ号が故障を発生してレースを中止した。おそらく助からないだろう。
タク「なあ、北、競馬って残酷な遊びだなあ。」
マスター「ああ、熱くて、楽しくて、優しくて、美しくて、そして残酷な遊びだよ。」
タク「オレたちはその残酷な遊びに参加しているんだよな。」
マスター「それを忘れちゃいけないね。」
そこにずぶ濡れのダイが横浜から馬券を買って帰ってきた。「ユーワブレイヴから総流しだ、来たらでかいぜ。でもな…」
タク「オレはマイネルユニバースとロングランニングの単だけど。それより…」
マスター「みんな無事に帰って来いよ。」

もしも、ちょっと早くクリスマスプレゼントがもらえるなら、「全馬完走」というプレゼントをこの競バカたちにあげてください。
 

  

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