「競バカたちが集まって 2002」おバカどもの馬券奮戦記です!
登場人物
500円のタク
この話の主人公。1レース500円玉1個で勝負するせこいサラリーマン。G1レースだけは1万円買う。マスター
「鉄馬」のマスター。500円のタクとは同級生。
ダイ
最も激しい馬券を買う男。昨年はヘア・ヌード写真集「競馬場から、愛」を出版して、周囲をパニックにさせた。4月12日(金)、開店直後の鉄馬。客はタクとダイ。2人とも競馬専門紙をにらみつけている。先週の桜花賞では人気薄のアローキャリーが優勝して、馬券はかすりもしなかったのだ。
タク「皐月賞は、チアズシュタルクとヤマノブリザードの単勝だな。そして中山グランドジャンプは文句無し、ランドの単、1点だ。今年こそ勝って欲しい。」
外国の障害競争馬ランドは昨年も来日し、中山グランドジャンプの前哨戦を快勝した。タクは、「あんなに美しく障害を飛ぶ馬は見たことない。」と惚れ込んだ。しかし、残念ながら昨年は他の馬の落馬の影響を受けて、自身も落馬してしまったのだ。騎手は再騎乗して完走したが7着だった。そしてタクは一晩泣き明かしたのだった。
マスター「しかし、何が起きるか分からないのが障害競争だからなあ。」
ダイ「オレはランドを外して買うぜ、来たらでかいぜ。」
タク「それでもオレはランドの単勝を買うんだよ。メシ食っても、酒飲んでも、何をしても金はかかるんだ。損得なんて二の次だ、惚れた馬の馬券買わないでどうする。」「メジロアルダンは本当に美しい馬だった。」
タク「そう、オレの競馬の先生もメジロアルダンに惚れ込んで…、って、リュウ!」
そこには先週深夜にやってきて、タクの買う馬を当てた男がいた。
マスター「友達?」
タク「オレの学生時代の麻雀友達で、オレの競馬の先生だよ。(リュウに)今、埼玉に転勤してんじゃないの?」
リュウ「F市に関連工場があって、この1週間は出張なんだ。で、工場の人に競馬好きの集まる店があると聞いたから、タクがいると思ってきたんだよ。」
マスター「タクの競馬の先生なんだ。」
タク「オレはアイネスフウジンのダービーの年(約10年前)から始めたけど、リュウはミスターシービー(約20年前)の時代からやってるからね。キャリアは倍だよ。」
リュウ「タクとは香港競馬に遠征したこともある。(タクに)お前まだ、単勝のちらし買い(単勝を複数買うこと)やっているのか。」
タク「いいじゃないか。オレの金でどんな馬券買おうと、オレの勝手じゃないか。」
リュウ「馬券の極意は単勝1点買いだ。いいか3点買いして当たっても、同時に2個はずれているんだぞ。桜花賞だって展開予想に自信がないから、逃げ残りのパターンと追い込みのパターンと両方買ってるんだろ。」
タク「じゃあ、リュウは桜花賞とったのかよ?」
リュウ「うるさい、結果の問題じゃない。買い方のポリシーの問題だ。単勝1点、崖っぷちで背水の陣で、予想するんだ。」
ダイ「兄さん、良い事言うねえ。オレの馬券は総流しが基本だが、軸馬が外れれば終わりという意味では、1点勝負と同じだぜ。オレはグランドジャンプはオールゴング(かなり人気薄)から総流しだ。」
リュウ「いや、オレが言っているのは崖っぷちに踏みとどまって勝負する事で、崖から飛び降りる事じゃない。」
ダイ「この危険な馬券を買う瞬間が、燃えるぜ、ファイヤー!」
リュウ「この人、どういう人なの?」
マスター「こういう人なんです。」
ダイ「馬券は危険でも、グランドジャンプだけは無事に全馬完走してもらいたいぜ。」
リュウ「それは言えるな。」
ダイ「馬が命がけで走るんだから、オレも命がけでカミさんのサイフから2万円抜いてきたぜ。」
リュウ「それはちっとも共感できないぞ。」
ダイ「グランドジャンプで儲けたら、キャバクラ三昧だ。」
リュウ「それは共感できるぞ。」
こけるタクとマスター。
ダイ「オレたちは馬券のスタイルは違うが共存できる。大切な事は、全馬完走とキャバクラ三昧だ。」
タク「どういう結論なんだ。」
マスター「訳分かんねーよ!」みんなそろって、崖から谷底へ転がり落ちている競バカなのであった。
はたして中山グランドジャンプ、皐月賞の勝ち馬は?
どうか全馬完走してちょうだい!