学芸員のよもやま日記

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11月の日記です。寒くなりましたねー。

市立小樽文学館学芸員・玉川薫

2000年11月7日(火)
●すみません。日記の更新をさぼってしまいました。ほとんどいわゆる三日坊主ですね。10月分の日記を別のページに収めなければなどと偉そうなことを考え、RE-QUINさんにお願いしたところ、まず自分でやってみなさい、でないといつまでたっても成長しないよ、といわれてしまいました。痛いところを突かれたナリ。それはともかく考えてみればこれまで書いた分を別のページに、などというほど書いていなーい! で、「自分でやってみる」のをひとまず置いといて(っていう顔文字がありましたね)、もうしばらくこのまま書き続けることに。
「書物の神話学展」ここ二、三日たくさんの人に来てもらっております。
最後の「遺書」のコーナーね。あそこにあんなに「遺書」が入るとは思わなかったな。それらの「遺書」をどうするべきか、今少し考えております。展覧会を見た人、感想をメールでいただければ嬉しいです。では、また明日。

2000年11月8日(水)
●更新(というほどのことではないけれど)をするたびに表紙が古いデザインに戻ってしまったりしてましたが、fetchのホームページを読み直してどうにか納得。これからは、すくなくとも今のレイアウトを壊してしまうようなことはしないと思います……(自信なげ)。
館長が日を置かず韓国に行ってシンポジュウムに参加していたことを知りませんでしたが、向こうで風邪を引いて今日は休むとのことでした。韓国で、小樽文学館についてもいろいろ考えることがあったようです。「そんなふうに緊張を新たにして、帰って来ました」というようなメールが届いておりました。風邪など一日で直して明日は館に出てくる、という意気込みです。こちらが緊張する……(汗)。
館長からの新しいメッセージは明日にもアップいたします。「書物の神話学」展は、12日をもって終わりますが、最終日は展覧会に参加してくれた人たちに呼びかけて、「ボランティアの意味」について話しあってみたい、と考えています。「ボランティア」として手伝ってくれた人も、ただ展覧会をみにきた人も自由に参加してくれれば嬉しい。

2000年11月9日(木)
●やっぱり……、館長出勤。ほんとうに一日で直したようにみえる……。しかし、おそらくは「精神力」ですね。私のほうは、そうとうガタガタきておりまして、今、24時間心電計というものをかついでおります。
それはともかく、12日には今度の展覧会を手伝ってくださった方々も、たんにこれからの文学館にちょっぴり興味あり、という方もぜひ来てください。午後4時より何でも話してみてみよう、という会をおこないます。
私はこれから向かいのセブンイレブンで松本大洋の「GOGOモンスター」(eS!Bookで買いました)を受け取って帰ります。オトヨさんから又借りした「鮫肌男と桃尻女」も今晩中に見なければ。

2000年11月10日(金)
●ラスト土、日ですねー。たくさん来てください。今日ぐらいは早く帰ろうと思っていたのにな。半日かけても机の上も片づかない……。

2000年11月11日(土)
●たくさんのご来館、ありがとうございます。いつものことながら、きづいてもらったときは、あと一日、ですね……。
「遺書」は、ノート一冊使い切ってしまいました。正直、思わぬ事態です。何といってよいか、よくわからぬ。
この展覧会ではとくに強く意識しているのですが、この文学館の展覧会はいつも「あっち」を取り込んだ展覧会です。やっぱり今日、つらいお知らせを聞きました。

RE-QUINさん、段ボール箱にびっしり7つほどにもなってしまいましたよ。どうなさる?

「館長からのメッセージ」を更新いたしました。重要です。ぜひみてください。

2000年11月13日(月)
●「遺書」の始末をつけるために、ここにしばらくアップしておきます。1カ月もたったら消滅させましょう。事情を知らない方(ほとんどでしょう)のためにちょいと説明。「書物の神話学」展の半ばもすぎたころ、私は何だかちょいと淋しい気がいたしまして、展示の最後、あの「森」(これも知らない方が大半でしょう)のそばに「ひとりで何か書ける場所」を作りました。それが、「選挙の投票用紙に候補者の名前を書くコーナー」のようになってしまいましたので、秋空にすじ雲が流れている写真を壁に貼り、つぎのような文章をそこに掲示いたしました。

思いつきで、へんなことを申し上げますが、この世がきょうで終わるとします。あなたのまえに、白いノートとペンがあります。そこに何かをお書きになりますか。あなたの「遺書」を読む人は、だれもいません。それでもそこに何かをお書きになりますか。
お書きになった言葉は、ちぎりとって机の引き出しにお入れください。
それでは、さようなら。

これで、何かを書いて引き出しに入れていく方がいるとは、実は思っておりませんでした。けれども、展覧会が終わってみるとその引き出しのなかには、57通の「遺書」が……。何となく胸が痛くなった。こうして私が読むことで、あまつさえこのように「公開」することで、約束は破られたわけですが……。この展覧会の結語として、全編をしばらくの間、アップすることといたします。では。

しんだら まっしろ かなあ。

キーコ キーコ お前だけが真実の様に思える!(私の猫の名なのよ)

沈黙の中に一条の光と道が見えるのを望む。新世界がヤミであろうとも未来である時空は信じたい。信じたい時空は新世界に続くものと考えたい。ただ前進あるのみ……!

誰も読まないはずなのに誰かが読むことを想定して書くというのは不思議なことですね。

書くことは何もないのについ何かを書いてしまっているであろう。これ、このように。そして、私とかこれとかっていったいなに?

ほんとになくなるのかな? ほんとに?

何も後悔はない。今は、この上なく幸せだ。この気持ちを味わえたから。この世が終わるとしても、何も言わず、ただ静かに、目を閉じるだろう。精一杯生きた。それだけだ。

仕方ない?から尚子と一緒に手をつないでいてやろう!

今書こうとしている童話「マリーの星パイ」が第二稿目の途中で終わることになります。また、エッセイ集にしようと思って書いた文が、たまってきています。青いファイルに。いつも今日を精いっぱいに暮らそうと思っているので、この瞬間も楽しいです。これから、文集用のリボンと表紙を買いに行く予定。

あと、3秒……(玉川注;イラストがついています。部屋のなかに毛布をすっぽりとかむっている子が目を見開いていて、そばに犬が眠っています。あたたかい飲み物のカップがある。窓の外は一面の星月夜です)

やっとお家に帰れます。いろいろありがとう。また、いつかどこかでお逢いしましょう。

今日よりも明日がいい。でも、明日が明後日よりもいいものとは限らない。

なんだか、昼間の室はとても疲れた。イーストくさいパンが物に見えてくる。私が生んだかわいこちゃんなのに。でも、外に出て高い高い空を見上げると、気持ち良いヨ。でかいネ、大きいネ、雲におしつぶされそうだ。うわあー。ペチャンコにされてもイーストは生きてるからまたふくらむヨ。そうやって何度も発酵しているんだネ。また新しいイーストをたさなきゃ。さあ、うちに帰えろう。元気でネ!!

第一章 佐藤寿信の人生 完

天空と一体となれる そんな日を待っていた。

私はここに生まれここに生きそして還る。

毎日心の中の何んだかなアーが小いさくなったり大きくなったり でも、さいはてに来てしまうと不思議と不安のふんい気はないものですね。さようなら

たのしそうな企画なのでイッパツのらせていただきましょう。
せっかくサッカーおもしろくなってきたのにー!! J1のコンサドーレもW杯もそしてそして(ココが一番肝心)中村俊輔のこの先が見られないなんてもったいねー!!

空がきれいだなあ。死ぬ日が晴れた日でよかった。おいしいもの、いっぱい食べたし、楽しかった。では、さよなら。自由になれます。

S.O.くんへ。ちょっと苦くて、たくさんうれしい人生だった! ありがとう!

夏から秋への間に不思議な場所に行く 本の森 暗い通路の中に混っている言葉の渦 絵 音 何かを探すのではなくて何もなくても楽しい空間 今だけの時間 あなたも感じて下さい 当たり前だけどちょっと違う空気を

大樹さんに会いたい

今日でおわりでもあしたおわりでも何もかわらないさ。でも皆一緒でちょっとよかった。毎日楽しく暮らせました。

あたしのかお。みんな!みてー(イラスト)もっといっぱいあそびたかったよー。人生これからなのに。やりたいこといーっぱいなのに。保母さんになりたかったなあ。(泣いているイラスト)友だちとはつもうでにいってみたかった。クリスマスパーティーしたかったー!!

別の世界でまた生まれかわります。大好きな人々と再びどこかで逢えますように……

まずはじめに。"今日で終わってたまるものか。"(失礼)まだ何もしていないのに。まだ自分が何者なのかすら自分でわかってないのに。
私の「遺書」には、遺産相続についてなんか書かれないし、親に対する感謝も書かれない。まだ子供はいないから、子に遺すメッセージもない。周囲の人への謝意も。本当は、お礼の言葉も感謝の気持ちも表したいけれど、今は自分のことで精一杯。子のために言ってやれる確たる信念もコトバも持ち合わせない。ただ、自分に対して、反省のコトバを連ねるのみ。遺書であっても、その最大の読者は自分であると思うから。そうして、自分で満足して死ぬ。今日でこの世が終わらないことを願う

好きな女性に、取り合えず、伝えてみたが、やはりふられてしまった。しようがないので、「ペットサウンズ」「ヨルダンザカムバック」「スカイラーキング」「○○洋行」(注;一部不明)「リボルバー」「ゾンビーズシングル」「サムクックベスト」etc.でも聴いていようと思う。以上。

この世の終わりに「山口文庫」と政村さんのお庭を見れて、ヨカッタ……。1人で来たら何日も泊まりこんでしまいそうですが、幸か不幸か家族連れなのでした…… いいものを見せていただきました、アリガトウ!(おおきないきものが月星の印の旗をふっているイラスト)

「この世が終わる」なんて事は、ないのです。さようなら

今日 ここに来た自分で生きることの終りを迎えるのならば幸福だ。愛する夫、娘、息子に出会えた人生に感謝。本当はもっと生きて、もっと見たかったが。

ちょっとものたりなかったけど さいごにいっしょで よかった

きょうで全部終わり…… 目の前にあるお皿もコップもペンもまくらも 全部に執着します。

たくさんやりたいことあったのに。ちゃんとみんなに"ありがとう"言っとけば良かったな。あと手術代払ったのに、もとをとれなくて、お父さん、お母さんごめんなさい。たくさんたくさんありがとう(ドラエモンのイラスト)

いろいろな事がありましたがこんなもんでしょう。まあそれはそれで楽しかったから……まあ いいか? ね?

(仏さまのまわりに羊、キリン、犬 そのしたにピラミッド?のイラスト)サヨウナラ 天国で会いましょうね

あと、50年後位?は生きているつもり。あと、50年位は生きていたいので、これを読む人は、誰でしょう? カメの「モモちゃん」と私は、ずっと一緒です。50年位たったら、一緒に、天国へ行きたいです。神様、私とモモちゃんはずーっと一緒に。お願い!!

岡田允に逢いたいです。

Ken5,ILY!! 今すぐオークマKen5とケッコンしたい!! 山口先生を越える文化人類学者になったぞ!! MOM & DAD.TAKU & ATSUKO & Ben.Good- luck!!

好きでした。大好きでした

(キリンのイラスト)

人は皆空?無?私も無になる

バイバイ。またね。あ、もう会えないのだっけ?

今日でおわる!とすると…… 私はよくばりだから……思い出をたくさんつくっておきたい。やはり、夫との25年をふりかえる。若かった頃のこと…… 子育てのこと…… かたりあうかな。彼の好物を作って、ふつうの夕食をしてふつうに布団にもぐりこみ、目をとじる。いつもと同じようにすごして……明日はない……。一瞬一瞬をかみしめて、いとおしく思ってすごす。最後にやりたいことを考えてみると、彼に話すと「わがまま!」とまたいわれてしまいそうなことばかり思いうかべてしまう……
(なんだか、ここでボーっと考えていたらほっくりほっかり、ほんわかした気持ちになって、ちょっと、得した気分です)
さようなら…… みんな!!

この世は、楽しかった。ほんとにきょーで終わりけ?

(毛が三本でヘンな顔でオッパイを出していてデベソのイラスト)おとよ

それでも書く。こんな物語があったことを書いておく。

あなたはしあわせでしたか?しあわせでしたら……それでいいです。

すてきな人になろう 愛らしい女性になろう 優しい看護婦になろう いまのままでいい…… きっと、なれるはず 一日一日を大切に自分と人とを決して嫌いにならずに

人生そんなもん 死のリアリティーのない世代代表

本当は今日がさいごなんだからこんなこと書いてないで友ちゃんに会いたい。そんでいっぱいありがとうって言いたい。いっぱいごめんねってあやまりたい。いっぱいだきしめたい。いっぱいキスしたい。もういっしょにいられないんだよ?言いたかったこと、言えなかったこといっぱいあるよ。口べただしぶきっちょだからマイナス思考になっちゃってたけど今だけは今日だけはほんとにすなおな自分で接したい。まっさらな、はだかな自分をうけとめてほしい。パパとママにもありがとうっていいたい。ママなんかきっと泣くね。そしたらぎゅーってだきしめてあげたい。きっと私もないちゃうんだろうなあ。さいきんなみだもろいからねえ。妹共もだきしめたい。いや、まやはどーだろ。いやがるだろうね。はるかなんかかけわかってないんじゃないの?あとあさみとゆりに会いたいな。ほんとにかんしゃしてる。あさみなんてむっちゃムカついたり あー!? っておもうこととかこのごろ多かったけど だけどやっぱり大事なんだよね。大好きだよ。もっとなやんでることとかグチとか弱音とかこぼしてほしかったよ。あさみがそんなだから私はあまり弱い自分はあさみに出したくないっておもっちゃうんだよ。あさみねー あさみやっぱりむかつくわ。もっとたよってよ。たよりないけどさ、もっとあさみの心の近くに私の存在があってほしかったよ。ゆりにもね ものすごくかんしゃしてるんよ。ぐちきいてくれてはげましてくれて、ほんとにありがとう。もっと力になってあげたかったよ。ゆりは十分すぎるほどに私の力になってくれたよ。そんなおちこまないでよ。2人とも大好きだよ。すごく大切な2人なんだよ。ありがとう。あとごめんね。あ、スイートポテト激ウマ!! 私もゆり並におかしづくり上手だったらなー。てゆーかかわいかったらよかったな……。あはーやっぱしね、友ちゃん。私は「恋人が1ばん」って考え方はできないわ。ゆりっちょもあさみんもかけがえのない存在だもん。でもね、相しょう悪くたってしゅみがちがってたって好みもお互いなんか逆だったとしても、私はがんばるから、ムリしてでも友ちゃんにあわせてでも恋人としてトナリにいてほしいのね。なんでかっていったらわかんないけど好きなのね。あいしてるのね。今何してるんだろ。今から友ちゃんとこ行くわ。といいたいんだけどもーちょっと書いとく。あのね、やっちんこともすごくかんしゃしてるんよ。ほんとにありがとう。きのうね、やっちのハナシきかしてくれてうれしかったよ。あまりアドバイスとなること言ってあげれなくてごめんね。てゆーかまだ2ヶ月くらいのつきあいだよね。しかもセンパイだっちゅーの。(死語……)すごくやっちのまえだとフツウ……っていうか、しぜんな私だなーっておもう。気合うよね(笑)いっしょにマイカル行ってぼーとしてたかったな。でもそれはさすがに友ちゃんにわるいから行かなくてよかったかも。やっちにね、「そりゃ友だちがおちこんでたらはげましたくなるもんでしょ」って私に言ってくれたことあうれしかったよ。「あートモダチなんだー」っておもった。ありがとう。あーもーあと1日少ししかないよ。やっぱもう行こ。みんなにかんしゃしてる。あとめいわくかけたりやなおもいさせちゃったりしてごめんね。ほんとにごめんなさい。ありがとう。でもやっぱさいごはともちゃんのトコ行きたいな。言いたいこといっぱいあるけどたぶん目の前にしたら何も言えなくなるかもしんない。ってゆーかなんも言わないわ。わかってくれるよね。んーじゃ今から行くね。

童貞で死にたくない 最後の晩さんと言われれば、お腹をたくさん減らして白いゴハンと何か食べたかった……

ありがとう

明日でこの世が終わるという、なんとも絶望的な状況であるのに不思議と心は穏やかです。やりたかったこと、行きたかったとこ、それは色々あるけれど誰をうらむこともなく、人生の最後に考える時間が持てたことに感謝します。ありがとう。この言葉は誰に届くのか。僕を囲む空は、こんなに青いのに、明日からは、別の世界で生きることになるのか。

次の地球人へ 昔と同じ環境にして、おうちや車をつくってください。はいきガスをつかわない車をつくってください。木と花もつくってください。草も。びじゅつかんもつくってください。本もいっぱいかいてください。やさいもつくってください。テレビゲームやゲームボーイ、スーパーゲームボーイ2は 目がわるくなるのでつくらないでください。(代筆 父でした)子供のための星を……

(どうぶつのようなイラスト)す○○(不明……)

(白紙)

(白紙)

(白紙)

2000年11月14日(火)
●山口文庫の本の梱包。きのうは一日かけて100個のうち10個しかできなかったので絶望的(私の辞書には「冗談と同義」と出ております)になっておりましたが、それでもなお救う神あり、本日午後5時にはほぼ完了しました。本日の「救う神」は、帆加利さん、相楽さん、遠藤さん、川田さん、と職員だけれど富田さんです。みんな、おつかれ! みんな帰ったあとに片桐さんがあらわれました。ということは、(仮設)の撤収後、文学館のかたちが少し変わるということですね。明日は「森」の解体です。

2000年11月15日(水)
●きょうは、こんどの展覧会を見にきてくれた高校生の少女に出したメールを、少しだけ手をくわえて、日記のかわりといたします。ゴメンね。

……様。玉川です。「書物の神話学」展にきてくださってありがとう。
きょうは、「森」の解体をしたのですが、やはり感動しました。お母さんがいらしてましたが、よいときに立ち会われたと思います。

「立入禁止」ですが、あの「森」はじっさいのところ、とても危険だったのですよ。こんどの展覧会では、(仮設)という言葉が呪文のようになんどもでてきましたが、あの森は(仮設)の森です。あるはずのない場所に幻のようにあらわれた森です。もし……さんが、あの森ができあがるところをみていたら、やはり恐怖したろうと思います。ものすごいきわどいバランスの上にようやく立ちあがっているのですね。それをなしとげたのは、「政村造園」のスタッフの人たちの集中力です。

私は、あそこに「立入禁止」の表示はしませんでした。表示をしなくてもあの場所に入れるのは、限られた人だと思ったからです。……さんは、その資格があったんだろうと思います。(仮設)の森に入って、出てくることができたのですから。

もう、(仮設)の意味をくりかえさなくてもよいだろうと思いますが、それはこっちと「あっち」のあいだにきわどく、存在した場所です。そして、今日現在(西暦2000年11月15日午後6時3分)その場所は、もう存在していません。きょう、……さんのお母さんが目にしたものは、(仮設)の森が、ふたたびもとの枯れ木(あっち)の世界に帰っていく風景です。私は、巨大な切り株が政村さんの車にとりつけられたオンボロのクレーンで、空高く吊り上げられたとき、雲が高く流れる深い色の空に吊り上げられたとき、「森が飛んだ!」と思いました。胸がいっぱいになった。

「遺書」をサイトにのっけてしまったことは、みんなにあやまらなければならないかな。でも、誰に読まれるためでもない「遺書」は、誰に読まれてもかまわない「遺書」だろうと、勝手な理屈を一人でつけてしまいました。あの57通の「遺書」は、誰もいない空にむけて、放たれた言葉、それをからめとってディスプレイにうつしだしてしまったのはネットという(仮設)のしわざ。そして(仮設)の運命にしたがって、1カ月の後には、ほんとうにきれいさっぱりと「消滅」するのです。

また、いつでもおいでください。声はかけないかも知れませんが、僕はだいたい、います。

2000年11月16日(木)
●かごしま文学館の人と電話をしていたら、「日記」見てますよーとのこと。そろそろ検索エンジンでこのサイトもみつけられるようになったきたみたい。無責任なことは書けないな。書きますけどね。明日から(ちょびっとだけ変わって)常設再開だ。

2000年11月17日(金)
●「常設」の入り口、片桐さんのアドバイスをほぼ全面的に取り入れましたよ。コンセプトは「ニューヨークの古本屋」だそうですが、そんなカッコよくはありません。だっがー。こりゃ使えるな。本棚だけで小さい企画ができるな。というわけで、(仮設)は徐々に常設を浸潤しつつあります。そこでいきなり来年セカンドの特別展「小樽論」のコンセプトができたぞ。(仮設)常設展だ。なんかー、二言三言を延々とくりかえしてるみたいだけど、ようするに今まで私なりに遠慮しいしいやっていた「常設」を(仮設)の勢いでやってしまうわけね。帯広の時田則雄さんていう農業やりながら歌人やってる人が、「これがオレの北方論だ」って開いた手のひらに、芽を出しかけたトウキビか何かの種があったってゆう。うん、うん、カッコいいほうに流れようとするオノレをいましめよ。まだまだ、中味はないわけだからねー。

2000年11月18日(土)
●館長、木浦大学校へ送る本の再整理を開始。ソウルでなくてなぜ木浦なのか、ということ。マイノリティとして生きていく覚悟と戦術。見知らぬ人からかかってきた電話の、小林多喜二文学碑の「無惨」の意味。考えることが多すぎるぞ。家から電話あり。突然の大雪で入り口が埋まった、ママさんダンプ(北海道の人にしか通じんぞ)を買ってタクシーで帰ってこい、とのこと。ってやってるうちに店が閉まるよ。

2000年11月21日(火)
●自力で新しいページを作ったぞ。リンクも貼ったぞ。いばれーん……って一人つっこみをする元気もちょっとない。北海道は一年のうちで今がいちばん落ち込める季節だと思いませんか。さすがの私もちょっとね。

2000年11月27日(月)
●休みの日に、冷え切った文学館でススだらけのストーブ焚いて仕事をするのは、悲しいものがあるのですが、そろそろ「つぎにやること」を申し上げるべきころかと存じます。そのまえに「書物の神話学」展でやりそびれたことを一つ。あの展覧会で、私はビデオを二本作るつもりでおりました。一本は古い本の挿画から道化の連続する所作をコピーし、それをパラパラマンガの要領でアニメーションのようにカタカタ動かして、BGMには80年代のビデオゲームの音楽を流すのね。「ホッピングマッピー」なんかね。もうひとつは「究極の」エロビデオ。ルネッサンス期あたりの裸体画をスキャンしまくって細部をうんと拡大したやつをコラージュしたの。BGMは宗教音楽です。これをビデオ試写室みたいないかがわしいコーナーで、一人ずつ見るようにする。ただし、18禁にはしませんね。老若男女(含中性)少年少女まで観覧自由。
これは時間もなくなったのと、あと官能のせめぎあいみたいなのは山口さんに合わないような気がしてきてやめました。山口さんの「トリックスター」の中性性は、むしろ幼児的・天使的(悪霊的)なものですからね。でも、いつか機会があれば、思いっきり官能的なものをやってみたい。腰が砕けるような。
で、明日から連続で、「これからやること・やりたいこと」を掲示いたします。では。