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11月。止まるところを知らぬよ。 市立小樽文学館学芸員・玉川薫 |
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11月23日(土) スピリッツ・オブ レトロスペース坂会館展、展示作業開始だ。うーむ、どうやってもあの毒気には、ほど遠いなー。それなりにおもしろいけれどね。もっともウチなどが、足もとに及ぶようだったら、本家の存在意義なくなりますが。ともかくも、わけがわからないほどにいや増すモノそのものの魅惑。これが博物館の原点ですよ、ってことさえ伝わればね、ウチの意図は果たせます。 いろんな人からメールいただいて、何よりもの励み。さすがに驚いたさっきのメールの人。福井の老人ホームにいる、85歳のお袋からだ。日記、見てますよ、って。うーん。まいったな……。 11月19日(火) この革の下着ですけどね。坂会館のスピリッツと称するからには絶対はずせないでしょ。懐かし、妖し、ほの暗し(だったっけ)がコンセプトのミュージアムなんだから。 坂館長「タマガワさん、ほどけないように包んでくださいよ。脱げたら着せられる人いませんから。この結び方、フツウの女性にできると思います?」ムリだろなー。「これができるのはウチのスタッフの○○だけなの。彼女以外にはぜったいムリなの」え?坂さんのスタッフだったんですか。すごい才能のヒトがいるんですねー、奥深いなー。 ビスケット工場のほうから、白い作業着きた小柄なオバサンが、ボディーもって小走りに会館のほうに。オバサン、ご苦労さんです。お仕事中、館長さんの妙ないいつけ入ってご迷惑さまですねー。そこに置いて、それからくだんのアーチストの登場だな。あれ、オバサン下着脱がし始めちゃったよ。だいじょうぶかしら。一般人が手つけていいのかしら。 坂館長「タマガワさん、ヒトは見かけによらない、って、ほんとにそう思ってるでしょ、ウフフ」。うーん、いや、た、たしかにそういう経験繰り返してきましたけどね。けどなー。こりゃ驚いた。だって、何で工場の作業着きておられるんです? うーん。私ね、この「レトロ・スペース坂会館」でいちばん驚いたこと。展示とかコレクションじゃないの。ヒトなの。何で集まる、こういう人たち。ってか、普通に坂館長の周辺にいる人たちが、フワッと浮き上がってくるのね。レトロ・スペース坂会館の空間にこれ以上ないほど嵌り込んだ「ニンゲン」としてさ。 ねッ、深いでしょ。ザ・スピリッツ・オブ「レトロ・スペース坂会館展」。 話かわりますが、「お茶して」で、もりやゆきこさんのご提案、おもしろいと思いません?だってさ、ワタシもそれなりにあちこちのミュージアム拝見しましたが、圧倒的におもしろいのは個人経営のミュージアムだ。館主の個性マルダシでさ。で、その極みが「坂会館」でしょ。 博覧会展、どうなってんだ、って。それ聞かないで……。 11月14日(木) 黒雲峡を亂れ飛び こういう賢治を胸の中に畳んでさ、なお賢治は魅力的だ。確かに「癒し」の文学かも知らんが、ほんとの「癒し」ってヌルくはないぜ。北極星に向かって歯を食いしばりながら真っ直ぐに立つ詩人であるところの賢治や一穂を脳裏に描くことだよ。 「苦渋のあとを残さないつきぬけたその晴朗さは、涼やかな透明感をもって私たちに『永遠』のありかを示唆する。 未知から白鳥は来る。 代表作『白鳥』を頂点とする厳しい風貌の作品群は、いままで難解として少数の熱烈な読者をもつのみであった。しかし、時間に腐蝕されないその硬質の抒情性は、磨かれた瑞々しさで、現代の混迷に疲れた私達の感性に、深い癒しとなるものである」(吉田美和子「水晶の思索」小樽文学館吉田一穂展リーフレット) 一気に寒くなる11月はダウンする季節だけどさ、テンション高めるよ。攻めてゆく。守りに入ると萎縮する。ウチの戦術はただ一つ。「共有」あるのみ。誰も自らの一部になったものを潰すことはできんだろー。 |