よもやま日記

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文責/市立小樽文学館・玉川薫
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■12月28日
どこかの新聞が選んだ2006年北海道内の十大ニュース。の1がファイターズ優勝。2が佐呂間町の竜巻。3が夕張市財政破綻。4が……、以下記憶してませんが、あの、1と3は逆でしょう。どう考えても。

「試される大地」とは、北海道各地に貼ってあるポスターのキャッチコピー。誰が考えたのか知らぬが、これは長い間空虚なるコピーでありました。ところがここに来て、一気に実体化した。空虚なかけ声が実体化するとどんなに苛酷なことになるのか。底意地の悪い嘲笑が仄見えるような。

文化行政など砂の塔、と私は多少自覚しているつもりでしたが、それでも、端的に言えば図書館がこんなにあっさり閉館決めるとは思ってもみなかった。じゃあどこへ行く。何をしたらいい。

今、私の手元に一枚のコピーあり。これは2007年1月発行の札幌の某美術館の友の会会報に寄稿された夕張市美術館館長さんの一文。

タイトルは「存続を求めながら代替え案を模索」とあります。できれば全文引用したいくらい、激しい感銘を受けた。文章末尾のほうだけ少し。
「……開館以来27年間、郷土に密着し、夕張ゆかりの作家展や炭鉱の歴史を見据える企画展を開催してきた当館には、千点を超える所蔵品がある。産炭地ならではの歴史と風土にはぐくまれ鍛えられた画家や書家の、日々の研さんから生み出された作品群だ。閉館後どうなるか? どうするか? 現建物に保管(電気ストップで空調なし)、市分庁舎に展示室を設ける(職員大削減でスペースできる)、寄贈者への作品返却、オークション等々。美術団体の自主運営でギャラリー使用を可能にするため、最低料金設定の電気配線に替える。暖房は無理だから5〜10月の半年間。市の経費ゼロでもできるアイディアを模索中である」

閉館決定、のニュースが報じられたのが確か10月。館長さんの原稿は、その後に書かれたものでしょう(そう信じたい)。だとすると、まだ「模索中である」。

この現状から「模索中である」の一言。凡百、凡万の「文化行政論」を吹き飛ばす切実、真剣があります。
実はもう確信しているのですが、新しい「美術館」(美術館なんて呼べるの、などと言う冷笑は放置して)、前人未踏の「図書館」が彼の地で必ず再生する。〈試そう〉としている冷え切ったもの、黒々とした巨大なもの、それらを唖然とさせ、まさか、と狼狽えさせるような。

■12月21日
いま小樽市緑1丁目にある青少年科学技術館は、12月28日をもって(とりあえず)閉館し、来年新博物館として生まれ変わります。
そこで小樽の科学少年少女、あるいは科学オジサン・オバサンにはおなじみ、そして懐かしい展示を改めてみてまいりました。

楽しい。

私はいわゆる文科系の人間、といえば聞こえがいいだけで、要するに数学・物理的思考が困難な人間。それでも小学生のころは学研の『学習』より『科学』。家はビンボーでしたが、これだけは両方買ってくれていたのね。それでも『学習』より『科学』。もちろん「付録」が決め手、だったのですが、中味もおもしろかった。

本日の見学。金属のボールがスパイラルレールを走り回るヤツなど、何時間眺めていてもあきない。科学館の展示物はひんぱんに更新しなければ無意味、と断言される方もおられるのだが、おもしろいものはいつまで経っても面白い。プラネタリウムだって最新の機能が絶対なければならないわけじゃあない(と思う)。

きょう私が面白く思ったのは、「ボディーソニック」という展示物。ちょっと大きめのモニターの動画に連動して足もとのパネルが振動する、という、ささやかといえばささやか。今どき、ン10万円で揃えられるご家庭用ミニシアターの装置でも、ずっと迫力ありますよ、って量販店のお兄さんのツッコミには耳も貸さないのね。
プログラムのなかに「新宿副都心」なんていうのがあります。演出も何もない都会の雑踏。そそくさと歩く人々。車の列。歩道橋。侵入してくる地下鉄。それに反応して足下が揺れる。
私、妙に感動しました。ささやかなヴァーチャル・リアリティ。でも心の深い部分に感応する。さまざまなことを喚びおこす。「陸橋にて」なんて詩が書けないか(私は書けませんが)。

あと、これも初めてやってみました。「遅れてくる声」。ヘッドホンにマイクロフォンがついておりまして、それで喋るとね、自分の声がワンテンポ遅れて聞こえてくる。「普段、人は自分の声を聴きながら無意識に訂正しつつしゃべっているので、このように遅れて自分の声が聞こえると、非常にしゃべりづらいのです」というような説明があります。なるほど!新鮮な驚き。
「遅れてくる声」。もうそのまま詩の、あるいは短編ミステリのタイトルね。

うーん、こっから先は「正論」じゃない。それは分かっておりますが、敢えて。人が(私が、と限定してもいいのですが)科学館だけじゃない、ミュージアム全般に求めるのは、最新の、正確な情報ではない、いえ、少なくとも情報だけではないのね。漠然と流されていた日常を、ちょっと違った角度から揺すぶられる、あるいは輪郭のピントを合わせてくれる、そのことから生じる驚き、感動であります。その出会いは、何度繰り返してもあきることがない。
数学的物理的(ついでに歴史的)頭脳持たぬもの幸いなるかな、ミュージアムの感動なべて汝のものなり、なんてね。

ほんとは(もう遅いけど)、ちょっとやりたかったのですよ。ポエム・イン・青少年科学技術館。

■12月13日
小樽文學舎サイトのホームページのデザイン、6年ぶりにリニューアルです。

もともと、このサイトをデザイン、設計してくださったのはprotoさん(コピーライター)とre-puinさん(ゲーム作家・小説家)。お二人ともプロ中のプロですが、一面識もないお二人にいきなり、サイトを作っていただきたい、とメール差し上げたのは私。当時ネット上の日記など拝見し、凄い読書家である、センスが素晴らしい、Mac使いである、札幌にお住まいらしい、ゲームもプロのお仕事してるらしい(最後はあまり関係ないけど)、というだけの無謀、乱暴。
それでもお二人とも快く引き受けてくださった。お礼は段ボール二箱分の海外ミステリの古本(大汗……)。あの、当時を上回る超多忙になられているお二人、今は絶対に受けてくださらないですよ、念のため(大汗汗)。
でも、このお二人に頼んで大正解だと思っております。上品、シンプル。軽やか。
だったのを、ページ増やしまくり、入り口にもごちゃごちゃアイコン貼りまくったのはこの私。

どうやら久しぶりにサイトご覧になったらしいprotoさん、なんじゃ、こりゃあ、と驚かれた(恐らく……)。
「ちょこっと入り口、作り直してみました。よかったら、どうぞ」という、どこまでもさり気ないメールと添付データをいただいた。それを使ったのがリニューアルホームページであります。
でもさすがによく分かっておられる。見やすい、軽い、シンプル。しかもデザインモチーフがPost-it(R)風付箋紙と、RHODIA風メモパッド。実用文具の最たるものね。

というわけで、気分も一新。張り切って更新してまいりましょう(滝汗)。