よもやま日記

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文責/市立小樽文学館・玉川薫
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■9月29日
ウチで一年間バイトをしながら数学の教員資格をとるべく励んでいたウルシハラ君ですが、突然、「警察官になることになった」と言い、リンジの期間更新をせず残念ながら昨日をもって退職しました。月曜日から警察学校に通うため、マコマナイの学校寮に入るそうな。
「6人相部屋。いわゆるカイコ棚です。電気製品で持ち込んで良いのはヘアドライヤーとシェイバーだけ」。マジかい!

で、警察官になっても数学教師免許取得の志は捨てぬそうな。
「生活安全課を希望してます。少年犯罪を未然に防ぐような指導をやっていきたいんですよ。塾での教師体験、ちゃんとした教師免許、必ず役に立つはずです」。熱血だねえ。

几帳面な性格と見受けるのですが、肝心なことがスッポリ抜ける場面もままあり、スタッフのお姉様方に時折きびしい「指導」を受けておりました。でも全体としては「愛されていた」かな。
そのお姉様方からは餞別として「ブランドパンツ」を贈られておりました。その前に未納の「親睦会費」をしっかり徴収されてたけれど。

お姉様方もお帰りになり、事務室にトオダさんとオオスダ事務長、そしてJJ's Cafe のカウンターに私。
先日さるところからいただいたばかりのグランドピアノが響き始める。
いや弾けるのは知ってたけどね。きょうは本格的じゃん。
何の曲だろう。クラシックじゃないようだけど、憂いあるメロディーに時折ビッグベンの鐘の音?が混じるような。

ピアノって何時からやってたの?「高校にはいってから」。!。「独学です。右手と左手と別々に練習した」。後でチバさんに聞いたんだけど、家にはピアノもなかったからキーボード(電池で鳴るヤツ?)にフセン貼って、みたいな練習してたんだって。

すごいね、のめり込むタイプかな?「テニスでは全道で優勝したんですよ」。ああ、それは知ってる。全国行ったんだっけ。「いや、そこで負けました」。そう。

画才があるのもね、正直驚いた。意外な側面を終盤で発揮するタイプ?遅いんだよね、そんな演奏初老のオヤジ達に聞かせてもさ。

ただ不思議だ。誰かが去るとき、ここのピアノが鳴る。コウジ君が小樽を出るときは「W田さんのガキ」がピアノ弾き始めたのではなかったか。

ウルシハラ君は、センチメンタルとはう〜んと遠いところにいる青年と見受けるのだが、だいたい半年早すぎるし、いきなり警察官、って、やや呆れるばかりなのだが。

なぜだ、このピアノ。やっぱり胸に沁みるぜ。いつかは見当もつかないけれどオオモノになると思うよ。健闘を祈る。

■9月25日
きのうは有給休暇を取ったのですが、けっきょく午前中は仕事してしまった。
午後から札幌で「めがね」という映画を観ました。
メルシー体操、最高ですね〜。さっそくサントラ注文したので、JJ's Cafe でも定時(午後3時?)にメルシー体操かけようかなあ。ラジオ体操みたいにね。
ラジオ体操も私は好きなのですけれど。とりわけ「新しい朝が来た、希望の朝だ」というあの歌。「新しい朝が来た」だけでも十分幸せと思わなければ。

全国の文学館のなかでは、ウチがいちばん「めがね」の民宿ハマダに近いとは思いますが、それが昨今のミュージアムの「焦り」に逆行しているのも否めない。

でもね、これで良いのだ。ほんとにウチのリピーターさんには「たそがれ上手」(「めがね」をご覧になってください)が大勢いらっしゃる。最近ときどきやってくる坊主頭の中学生、半日古本に読みふける若い女性、二日を空けずに古本の棚をのぞきにくるおジイさん。自分のノートパソコン持っていらしてJJ's Cafe のイーサケーブルにつなぎ、熱心にメールチェックしてる男性(ジャズマンらしい)も、忙しそうではありますが、ここでそれをやってる、ってのがもう十分にたそがれております。
私も休み返上しながら、ベクトルはたそがれているのでね、うっかりそれを忘れなければいい。

ひすいこたろうさんの「名言集」というのを本屋で立ち読みしたのですが、そのなかにあった保健室の先生のお言葉、何をこころがけておられますか、という質問に「暇そうにみえること」。「だって忙しそうにしてたら、誰も話しかけてこないでしょう」。

なるほど、名言。

■9月21日
小樽のきょうの最高気温は29度だったらしい。確かに昼近く、むせ返るような湿気と熱気。そして正確に予報通り、午後3時30分過ぎから強い雨。
でもその予報士のお姉さん、きっぱりおっしゃった。「きょうは北海道の最後の夏でしょう」って。

暑いのは嫌だ。汗かくのも鬱陶しい。
でもね。「最後の夏」か。

北海道の秋は短いからな。私はね、北海道というか小樽が嫌いではない。でも30年住んでどうしても馴染めない、物足りないことがひとつある。春と秋が短すぎる、というより、無いに等しいことね。とりわけ秋。なんだかなあ、あっというまに冬じゃんか。
いやいやネガティブ。束の間の秋を愛おしまなきゃ。

けれど、「去りゆく夏」か。

当たり前のようなことに最近気がついたのですが、はやり歌って9割近くは失恋歌?「夏がゆけば恋も終わると、あの人はいつも言ってた」舟木一夫は古すぎるけど、「こんな夜は涙見せずに、また逢えると言って欲しい」サザンもすでに古いか。「悲しくて悲しくて君の名を呼んでも、めぐり来ぬあの夏の日」ユーミンもね。54歳のオヤジにはこれが限界か。

■9月20日
小樽文學舎会員限定(非会員の方もだいじょうぶ。旅行の先でもあとでも会員になってくだされば良し)「鎌倉文学散歩(旧称『鎌倉・横浜文学散歩』)」の正式お知らせが遅くなり、ほんとうに申しわけありません。
ようやくご案内ができそうです。

毎年恒例、どうやらこうやら続けているこの文学散歩、大きな前提がそびえ立っております。一に中味充実させる。二に安い。
前提の一と二は、まったくの並列。どちらが欠けても成立しません。
中味の充実は、私どもの30年間の蓄積(知識よりむしろ人的広がりかな)をフルに生かし、なお細部へのこだわりをおざなりにしなければ無問題ですが、安く上げる、これは難しい。

こんなことを書き始めたのは、ビンボーで有名な(それは自他ともに認めておられる)古本屋さん、スガヤさんが何年前かにお書きになったネット「日記」を、さっき偶然にみつけたからです。スガヤさんは、その年行った塩谷・忍路・蘭島・余市方面伊藤整文学散歩にぜひ参加したかった、と書いてくださり、大盛りニシン定食から始まりアユ料理、苺狩り、温泉旅館に宿泊、内外の伊藤整研究家多数同行、これで1万5千円という参加費にたいそう感激してくださった。
スガヤさんは残念なことに古本の売り上げ思うように伸びず断念、ということだったようですが、今度は「鎌倉」。さすがに1万5千円は無理。

でも、何とか2泊3日。朝食夕食付き5万円台に抑えたいんだな。

その無理をしばしばムリヤリおしつけるJTBのマツモトさんにちらっと言ったら、さすがに言葉失っておられた。
ならば独力で。

最少催行人数、というのがありますね。あれに達せず、「残念ながら参加人員不足のため、中止となりました」に陥らないためには、「予約」に縛られなければよい。極端な話、参加者1名(私と館長は同行するから3名だけど)でも実施可能。

ということは往復の飛行機はS社しかないなあ。これで3万円。バスのチャーターなんてできないなあ。それじゃこれ。現地のご案内、我々だけでは限界あるか。でも満足なご謝礼用意できない。となれば、何といっても亀の甲より年の功(失礼!)。

最後はお宿。あの……、鎌倉近辺で二食付き一泊1万円以下、なんてあり得ます?

あった!江ノ島目の前。「新江ノ島水族館」至近距離!国家公務員のための保養施設?今どき、こんなのあるの?
電話を受けたオジサンのそっけなさが、ちょいと気になりますが、「おたく会員?」。いえ、地方公務員……。「なら2食一泊8000円」。!!。うそ!それに申し込む私は地方公務員でも参加者みなさんがそうだ、とは一言も言っていないんだけど……。そのあたりが公務員保養施設たる由縁?いやヒニクなど口が裂けても口に出来ない。

というわけで、何とかなりそうです。「新水族館」見まくり、お寺お参りしまくり、歴史・文学、ついでに美術も味覚も堪能しまくりの3日間。実施日は11月半ばに繰り延べになると思いますが。

詳細、間もなく発表いたしますね。

■9月16日
こんな私でもムシの居所が悪いことが、たまにある。といえば、その居所とはいったいどこ?ということですが、そういえばムシの知らせ、のムシが運んでくる「知らせ」って、ちっちゃなお手紙?

今どき素朴な女子大生。聞けば私の後輩ですが、「あの」。はい。「この文学館の使命は何ですか」。?。ええと、君は?「学芸員の養成課程で、文学館のことを調べようと思いました」。あの……、ここもう見たの?「いえ」。

コーヒー入れながら、私少々おカンムリ。「そういうことなら、そのパンフレットにだいたい書いてある。あのね。そういう用事で、こういうところにくるとき、どういうふうにする、って先生に教わらなかった?「いえ」。そりゃそうか。大学4年生、もう21歳?先生もそういうジョーシキから手取り足取り教えてはくださらない。
あのね。もしオレがよその館にお願い事をしに初めて行くならね。人に会う前にお金払ってなかを見ておくよ。「はい」。

女子学生ほっぽっておいて外出、しながらも気になるんだな。21歳か、ウチの頼りない娘だって、あんなもんか。

そういや啄木が小樽に来たときと同じ21歳。もっとも啄木の非常識はも少しけた外れ。
高山美香さんが届けてくださった紙粘土細工の啄木人形、期待どおりの大傑作なのですが、高山さんがそえる文章が、人形にまけず傑作なのね。両親に溺愛された啄木のバカ王子っぷり、もう笑わずにいられない。タイトルが「それでも愛される石川啄木」。たしかにねー、この天才、歌の天才以外に「もういいや、騙されたって」というオーラを発していたに違いなし。
高山さんの啄木パネル。「最後に王子様ぶりがよく出ている歌をひとつ 一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねといのりてしこと。わはは。

今頃の学生は、と腹立ちながら、かえりみていかがだったか、我が身は。もう帰ったろうな。あの学生。と思ったら、古本コーナーを熱心に。あら、まだいたの?展示のほうも、ひととおりは見たの?「はい、とっても面白かった」。そう、そりゃよかった。私なら、私が学生だったら、イジの悪そうなオヤジに小言いわれたら、逆ギレむかっ腹立ててたな。オヤジの言ってることがマトモだって、わかってもね。

今頃の学生は……、私よりマシだったか。

■9月12日
忙しい、忙しい、などとこぼすのはカッコよくない。暇を持てあましております、と微笑むのがカッコいい。

それでも、忙しくない、と言えばウソになります。10月13日まで、イベントだけでも9月14日「名作の時間」、15日「啄木と小樽札幌文学散歩」、16日「HFCコンサート」、18日「グランドピアノ運び」(こりゃイベントじゃないか)、29日「製本教室」、10月3日「山中恒さん講演会」、10日「加藤真一ジャズコンサート」、12日から企画展「町旅のすすめ―小樽探検日和」オープン、12日「李浩麗コンサート」、13日「啄木講演会と朗読とコンサート」。これでようやく一息、いや間もなく「鎌倉文学散歩」か。すんだらすぐに大古本市ですね。

忙しくしたくなければ、やらなきゃよろしい。やるかどうか決めるのは私だから。

愛読してやまない中川いさみさんのマンガに出てくる男、テンテコテンテコ舞いながら、のんきに寝そべるクマのプー太郎にこぼす。「君は暇そうでいいなあ、僕なんか忙しくててんてこ舞いだよ」。クマプーが答えます。「テンテコ舞うのをやめてみ」。男「あ、ほんとうだ。ウソみたいに暇になった」。
ということですが、最近はどっちかというと巻きこまれパターンかな。体力、気力日々薄らいでいっても、持ちかけられれば受けてしまう。私が、というよりこの文学館がね、街に巻きこまれて、その一部に同化して、ようやくナンボ、って分かっているから。

といいながら息切れ、溜め息。アタマも時折ぼうっとします。

そんなとき現れる100円ショップボックスみたい箱にびっしりマッチ箱を詰めた方。
ああ先日の。
「ええ、エンゼルの日替わり色変わりマッチ箱」。
今は無き喫茶店「エンゼル」では一週間日替わり色変わりのマッチを添えていたんですね。(一部ファンのあいだでは)有名な話だ。「水曜日、土曜日のマッチ箱がどうしても手に入りませんでした」。
マッチにあわせて制服の色も変えておられた。「それは気がつかなかったな」。(一部マニアのあいだでは)有名な話ですよ(私はまったく知らなかったけど)。
「僕は一日だけエンゼルで仕事したんですよ」。へえ、一日だけのアルバイト?「いえ、厨房の仕事きつくて一日でやめました」。?。
それでも、懐かしいエンゼル。このマッチ箱の裏には花園銀座店とか、五番館とか、一番街店とか書いてますね。このマッチに書いてあるのは5店舗だけど、こっちには6店舗書いてある。6つのお店作られたのは知ってたけれど、同時期に存在したのは最大5店舗だと思い込んでた。「これを見ると、一番街店ができて、ほとんど間もなく花園銀座店が閉店したようですね。6店舗時代は極めて短かったと思われます」。なんてことを実証してみても、誰も感心してくれないんだけど。何ともいえず和みます。こうした「調査研究」。

この方がエンゼルマッチの他にどっさり持ってきてくださったのは、過去およそ20年のあいだに出来て、それと気がつかぬ間に消えていった喫茶店。私も気がつかなかったようなお店が大半だけど。「遠い昔の話は、正直ピンと来ないけど、ちょっと前のことは」。そうですね、実感ともない、しみじみします。「小樽喫茶店物語外伝パート2」決まりましたね。「ちょっと前まであったはずの喫茶店物語」。

何だかね。忙しいんだか、暇なんだか、やっぱり分かりません。

■9月3日
先日、函館市中央図書館を訪ねたのですが、五稜郭公園のそば、という漠然とした情報のまま行ってしまったのですね。
方向オンチは十二分に自覚しておりますのですが、評判の新図書館。広大で大勢の市民で賑わって(図書館だから賑わって、は変ですが)いるらしいから、近所まで行けば分かりましょう。
公園の近くまで行き、五稜郭とは聞いていたが、界隈は広範囲だ、公園のそばとは限らないな、と、何となく不安になり図書館に電話しました。
「今どちらですか」。公園のそばまで来ております。「それなら公園の前に中央署があります。その隣の大きな建物です」。ありがとうございます!やっぱり間違ってなかったんだね。えーと、警察署は、と……。あの、この巨大な星形の公園の、どのあたりがいったい「前」?
しょうがありませんので、公園一周開始。行けども行けども警察署らしきもの見えず。
立ち話なさっているおばさまに尋ねてみる。「警察署?この道まっすぐ歩いてね、ずっと向こうに見えるでしょ、あの信号を右に曲がるの」。公園から離れるのね。
警察署はさすがに遠目でもすぐわかる。やれ着いた。隣は、と。図書館らしきものが、見えないのですが。
警察署を一周してみましたが、一周しないとわからないような小さい図書館のはずがない。近くに人も見当たらず、駐車場のようなところにいらしたガタイの良いお兄さんに恐る恐る尋ねます(図書館という存在自体に関心ない方少なくないですからね)。
「警察署の正面通ってもわからないよ。裏手の道を行くんだ。隣っちゃとなりだけど、ちょっと離れてるよ」。お兄さん、親切だった。人を外見で判断してはいけない。私がおぼつかないニンゲンであることを見抜かれたようで、道筋はっきり分かるところまで案内してくれました。

かくして無事に用は済んだのですが、私は前に函館に来たときにも思ったことを思い出した(健忘症が進行してるからね)。函館には地図看板が少ない(と思う)。これをもってハコダテ人は、よそ者に冷たい、などと決めつけるのは間違っておりますが、公園のなかに立っている地図らしきものに嬉々として駆け寄ったら、渡島半島全体の観光地の案内板だった、なんてのはあんまりな(泣)。

強引な連想で、朝青龍騒ぎ。
昨夜たまたまテレビつけたら、ニュースショーみたい番組で、モンゴルで横綱待ち受けてたマスコミ100人(もちろんみんなニッポン人です)!
「横綱を乗せた車が猛スピードで走って(逃げて)行きます!」と記者が叫ぶ。つまり猛スピードで追跡したのですね、おそらく何台もの車が。
自宅マンションの管理人に写真撮影断られたのも理不尽、といわんばかりでしたが、普通、断るんじゃないかな?
横綱の車が着いたホテルの裏門から通せ、と押し問答したらしく、門番のオヤジに浴びせられた罵声に字幕をつけておりましたが、罵声はともかく、裏門あけろ、って、普通、怒られません?
スタジオではゲストの俳優さん。読書家であることを何につけても自分で口にされる方。「僕は彼(朝青龍)には策略がある、と感じるな」。
それを受けたキャスター。自他共に認める(と思っていらっしゃるらしい)知的硬派辛口の方。「モンゴルはね、大国中国、ロシアに挟まれ何百年もしのいできた小国なの。そういう民族性をね、日本人は理解しなくてはいけないと思いますよ」と微笑み湛え。俳優氏、大きくうなづき、「彼らは狩猟民族だからね」。

……。あのね、例えば(という論法もいけないとは思うのですが)、イチローが不行跡をしでかしたとします。それも言い訳できないようなね(朝青龍の場合はそれすら少し疑問なのだけど)。しばらく帰国、休養して出直してこい、と帰されたとする。
アメリカのキャスターが(したり顔で)トークする。「ニッポンはね、数百年もひきこもって、外の世界に目をつぶって自分達のことだけ考えてきた小国なの。そういう民族性をね、アメリカ人は理解しなくてはいけないと思いますよ」。「農耕民族だからね。何を考えているか分からない」。

やめた。自分で書いててユーウツになってきました。