二枚貝の繁殖
〜自宅で飼育する「日本の淡水二枚貝」〜

[繁殖した二枚貝]
 いままで淡水二枚貝を育てているのを見たこともなかったので、二枚貝を飼育し始めるにあたって、いろいろと勉強しました。 その結果、いくつかの基本的なポイントに気がついて自分なりに工夫して飼育を始めました。

 その結果、2000年5月にドブガイ(?)の稚貝を、そして同9月にカラスガイ(またはマツカサガイ)の稚貝を得ることができました。

[初夏の頃に見つけた稚貝(5月)]
 
はじめて見つけたときは驚きましたが、何の稚貝なのか良く分かりません。たぶんドブガイだとは思うのですが、シジミ類の稚貝かもしれません。
 もう少し大きくなるのを待ってみます。


大きさは5mm程度。

[以前見つけた稚貝(9月)]
 
 4ヶ月後の稚貝ですが、あいかわらず何の稚貝なのか分かりません。判明するのは来年でしょうか?

[(たぶんマツカサガイかカラスガイの)稚貝(9月)] 
 先日、カラスガイまたはマツカサガイが子供(稚貝)を生みました。大人になると黒褐色になることが多い淡水二枚貝ですが、稚貝のときは透明〜白色で厚みは薄くてペラペラです。ちょっと見は「冬の味覚のカキ」に似ています。今後が楽しみです。


厚さはとても薄い。

左はドブガイ、中央と右は?。

 


[二枚貝を飼育する場所]
 淡水二枚貝を室内で長期間飼育するのは、大変難しいとおもいます。それは水温管理やエサ、水質管理、そしてにおいなどいろいろな問題があるからです。
 そこで私は、屋外に置いた水槽などできるだけ自然に近い状態でタナゴと二枚貝を飼育しています。(長期の飼育ができる代りに、育成状態の観察が難しくなるというデメリットがありますが...)

[飼育する二枚貝の選択]
 もともと、タナゴが好きで飼育をはじめたのですが、タナゴの繁殖には淡水二枚貝が必要となることを知り、今ではタナゴと二枚貝を一緒に飼育しています。タナゴが卵を産み付ける貝の種類は、タナゴの種類によって違うようです。くわしくは、左の欄の「私の飼育方法」→「水槽に入れる生物」をご覧ください。

「二枚貝の繁殖」のポイント

酸素の大量供給(ポンプとプランクトンの活用)
優良なエサの増殖(鶏糞と苦土石灰の施肥)
適切な底土の選択(たんぼの土)
ドジョウとメダカ(貝の赤ちゃんの寄生)

1.はじめに

 二枚貝は飼育して楽しい生物ではないかもしれません。見かけの色が地味で、顔もなく、動きも地面を動き回るだけなので面白みがないからかもしれません。

 しかし、タナゴを飼育し繁殖させようとしている方にとっては、どうしても必要な生物でもあります。それはタナゴの繁殖は、二枚貝の体の中に卵を産み付けるという特殊な方法で行われるからです。私が二枚貝を飼育し始めたのも、タナゴを繁殖させたかったからです。


2.淡水二枚貝の誕生

 二枚貝の繁殖は3月〜7月に行われます。水中に放出したオス貝の精子は、メス貝のエラの中で受精します。

 その後、メス貝は貝の赤ちゃん(グロキディウム幼生)を水中に吐き出します。 親貝から吐き出された貝の赤ちゃんは、近くを泳いでいるドジョウやメダカなどの魚にくっつき、水中を移動します。(これを「寄生」と呼びます)

 二枚貝の赤ちゃんは1週間〜10日程度すると寄生している魚から離れ、水の底に降りて稚貝として生活をはじめます。 水底に降りた稚貝は、泥や砂の中の地下2cm〜5pの深さにもぐり、微生物をエサとして生活します。私が稚貝を見つけたのも、3cmほど底土を掘りかえした時でした。個人的な意見としては,水槽にひいてある底土の一番底の部分にいると考えています。ですから、二枚貝を水槽の中で飼育しいる場合、稚貝を産んだとしても気がつかないことが多いのではないでしょうか。


3.飼育のポイント「酸素の大量供給」

 水中に溶け込んでいる酸素は、二枚貝が生きていく上でとても重要です。水中の酸素には、@空気中から溶け込む酸素と、A植物プランクトンが出す酸素の二種類があります。

 @については、水槽を風通しのいい場所に置くだけでも空気中の酸素は水に溶け込みますが、二枚貝は酸素の消費量が多いので、それだけでは酸素不足となるかもしれません。さらに、自宅で二枚貝を飼育していると限りなく止水に近い環境になるので、私はポンプを使って曝気(ばっき:空気と水をかき混ぜ、酸素を水中に取り込むこと)させています。

 よく、二枚貝を飼育するときはポンプ(ブクブクなど)でエアレーションが必要との話を聞きますが、わたしの家では水中ポンプで水を循環させているだけです。

 Aについては、水中の栄養価を高め、植物プランクトン(いわゆるアオコです)を繁殖させることで、水中の酸素量を増加させることが重要です。 栄養価の高め方については以下に記述した『4.飼育のポイント「エサ」』をご覧ください。

 ただし、植物プランクトンは日中は大量の酸素を吐き出す反面、夜間には水中の酸素を取り込むためアオコが大量に発生するとアオコ自身が消費する酸素が多くなります。その結果、二枚貝が酸素不足になるとともに植物プランクトンも死滅することになるので、水の栄養価には十分注意してください。

 その他、ホテイアオイやカモンバなどの水草を水槽に入れることも、酸素の供給に有効です。


4.飼育のポイント「エサ」

 二枚貝は水とともにエサとなる原生動物などを吸い込むことで、生活しています。二枚貝のエサとなる原生動物は、水槽の中にたんぼの土を入れておけば自然に発生しますし、水草を入れるだけでも発生します。また、魚の糞や残りエサも原生動物の発生に役立ちます。

 しかし、二枚貝のエサの消費量は想像するより多いようですし、同じ水槽にドジョウを飼育している場合はドジョウも原生動物をエサとして食べるので、そのまま放っておくとドジョウが水中の原生動物を食べ尽くしてしまいます。
 そのような時はドジョウ用のエサをしっかり与えるとともに、次に記述するように、ワムシなどの原生動物を人為的に発生させる必要があります。

 二枚貝を飼育する前には、鶏糞(けいふん)を両手に山盛り1杯、苦土石灰(くどせっかい)をひとつまみを底土に施した後、日当たりのいい場所に水槽を置き、ワムシなどの原生動物や植物プランクトンを大量に発生させておきます。その後、水槽の中には、ワムシなどの原生動物を食べるミジンコなどの水生動物が増殖します。

 以上のように、水槽の中に大量のエサが用意できてから二枚貝の飼育をはじめることが重要ですが、鶏糞などを施肥しすぎると水質の悪化を招き二枚貝などを死なすことになるので十分注意することが必要です。また、苦土石灰を投入すると水質が急激にアルカリ性に変化しますので、施す量には十分注意してください。量を間違えると水槽の中の生物を全滅させることになります。(わたしは一度、石灰を投入しすぎて水槽をひとつ全滅させてしまったことがあります…)

 二枚貝の飼育中は、ドジョウ用のエサの残りやドジョウの糞により原生動物が増えつづけるので、鶏糞などは1ヶ月〜2ヶ月に1度、少量施肥するだけで十分です。 その他、「エビオス錠」や「ワカモト」のような麦芽系整腸剤もバクテリアの発生には有効ですので、私は併用しています。


5.飼育のポイント「荒木田土」

 二枚貝を自宅で飼育する場合は、できるだけ二枚貝が自然の中で生活している環境を再現するようにします。 私は底土はたんぼで実際使われている荒木田土を使うことで、自然環境に近づけようとしています。 また、ポイント1とポイント2を実現するためには、荒木田土を使う必要があると私は考えています。


6.飼育のポイント「ドジョウとメダカ」

 二枚貝の赤ちゃん(グロキディウム幼生)は一時的にドジョウやメダカなどの魚に寄生する必要があります。そのため二枚貝を繁殖させるときには、ドジョウ、メダカ、クチボソなどと一緒の水槽で飼育することが絶対条件となります。その他、ヨシノボリなどにも寄生するようです。