果樹の接ぎ木・多品種接ぎ
                              
最終更新2008年08月31日

多品種接ぎ   接ぎ木の施術については、自給園の目次へ 戻ってご覧ください。

ねらい  大部分の果樹は、品種ごとに収穫時期が集中し、一時に取れ過ぎて、家庭では悲鳴を上げかねません。狭い庭で1本しか植えられなくても、早生・中生・晩生の品種を接ぎ分ければ、収穫時期を分散し、かつ、異なる味を、完熟で楽しめます。現状品種は、栽培中の果樹(種類)のページに載せてあります。「多品種接ぎ」という表現は、2004年に浜松で開催された花博で使われていたとのことです。multipul graftingは、The Gardener's Dictionary Of Horticultural Termsには、項目として載っていません。中間台使用も含まれるような感じがします。

もとは 丈2mほどのツバキが3本ありました。これにツバキとサザンカを多品種接ぎしていました。目標としては、3台木に合計100品種を目指しました。実際には50品種で熱が冷めました。同一時期に咲くものを1本にまとめてなくて、失敗と感じたからです。しかし、樹勢の違いは少なく、育てやすくはありました。

難点 果樹は、接がれた品種ごとに樹勢が異なるので、バランスよく調和して育ってくれない場合もあります。ウメの場合は、白加賀に紅梅を接いだら、アブラムシが多発しました。豊後梅にアンズを接いだら、豊後部分が弱り、アリが巣を作りました。モモ大久保に倉方黄桃を接いだものは、倉方黄桃部分が2年着果後枯れました。甘夏に金柑を接いだのも同じでした。樹勢の弱い木の部分の上にある枝をはらい、光線や養分が行きやすくなるように面倒を見てやることで、解決しつつあります。


キウイの接ぎ木 雌木の一部を雄木にしたり、雄木の大部分を雌木に接ぎ替えることは、かなり広く行われているはずです。
                              1月から2月上旬に穂木を採種・冷蔵する休眠枝接ぎの適期は、2月上中旬と5月上中旬とされています。秋接ぎは、9月上旬〜10月下旬が適期です。

生気を帯び始めた「紫香」の芽。まだこの程度では、ポリ布覆いを除去すると危険。※1
2004.11接ぎ→05.5撮影

「紫香」の伸び始めた接ぎ芽。この程度でも、右のようにスカートを。
07.2.3接ぎ→4.20撮影
「紫香」 ポリ布をスカート状に巻きなおし、上部を縛っておく。力強く伸び、スカートが窮屈になるのを待つ。2 2002年購入した果実ゴールデン・キウイから採種して播種。2003年10月接ぎ木して、04年1種だけ活着伸長。05年開花。※3  穂木から伸びた枝を、台木上部に縛りつける。リンク画像あり。2004.11接ぎ→05.5撮影    香緑(雌木)を購入し、雄木
トムリ(多分)を2001?.10接
ぎ、04年から花粉自給。

※1  芽の伸び始めは、組織の癒合はほんの一部で、覆いを一気に除去すると蒸散をまかないきれずに、枯れる恐れがあります。

※2  保温・保湿効果を期待して。晩霜対策にもなる。

雌雄開花時期別相性 (りっこさんによる書き込みを編集)

 早雄(ソウユウ 4.28〜5.9開花)※3→紅妃   孫悟空、マック、ロッキー(5.9〜15)→ゴールデンキング、センセーションアップル、イエロージョイ   トムリ(5.15〜21)→ヘイワード、香緑

※3 ゼスプリゴールド実生からの♂木3本も、2008年は4月26日〜5月8日開花。

   
「紫香」※4  初開花2008.5.8〜
 初年はつぼみ肥大途中の落蕾が多く、開花は全体で6輪。淡い緑色で美麗。花粉がある両性花だが、キウイの花粉もつけてやった。
「紫香」2008.5.25  
 2果だけ残っているが、生気不足。直径8mm前後。養分が不足しないことを願って付近の徒長枝を剪除したが、最後のも29日に落ちた。
   

※4 さるなしガーネット(山形のイシドウが総発売元と表示)と同一かとの見方あり。


桃 もも モモの接ぎ木   接ぎ芽伸長開始期前後のアフターケアについてと、その写真へ

健常な芽の形は、3芽揃っていて、中央が葉芽で、両側が花芽。採穂時に、花芽は摘み取っておく。  

Q 休眠期にも接ぎますか。落葉樹は2月下旬〜6月下旬の成長期に行いませんか。
A 休眠期には接ぎません。切り接ぎは成長開始期にし、腹接ぎ・削ぎ芽接ぎは、成長開始期と成熟期にしています。成長中期にする、休眠保存芽接ぎや緑枝接ぎは、未経験です。

やり直して、台木の負担はどうですか。
A 台木に負担はありません。活着確認前にはほとんど切り捨てないので。ただ、別の術部を選ぶのが難しくなる場合があります。

Q 九月に花芽と葉芽の区別ができますか。
A  区別できないかもしれません。しかし、左上画像(2008.2.26)のように3芽ついているものなら、中央に細く尖っている葉芽を確保できます。両側にあるのは花芽で、摘除してから接ぎます。

 

 

台木養成にと桃種子を播く場合、硬い殻を着けたままで採り蒔きにする。菓子材料としてのアーモンド状にして2006.7.21に播いたら、発芽しない。2007.4.24に掘り出してみると、薄皮の中身がなくなっていた。1974年夏に山根白桃種子を播いて育ったのは、殻ごとだったからだろう。

 

1月に採穂した穂木を隣人から譲り受けた方が保存していた。送付依頼が遅れたためと、保存ポリ袋にゆとりがありすぎたためか、到着した穂木の半数はしなびかけていた。

太く、しなびの少ないのを選んで、すぐ(08.3.24)に接いだら、桃の白鳳は伸びてくれている。2008.5.19

 



プルーンに 桃とスモモとプルーンを 接木

 プルーンも、家庭では1本をもてあまします。木が大きくなる上に、完熟果実収穫期間が特別に短いのです。まだ老木化に遠い状況でもあり、今後は、接ぎ分けていきたい果樹です。

1前年徒長枝の上下に育つ、プルーンのシュガー(左側枝・08.3.13接)と、桃の白鳳(右側2枝・08.3.25接) 08.6.24 拡大画像へ 李王(08.3.25接) 08.6.24 このように、接木テープに品種名を油性ペンで書いておく。テープ除去時には台枝へしばる。拡大画像へ

 


 

柿 かき カキの接ぎ木                千葉大学によるページ(高接ぎ切り接)    『 ガーデンライフ』1980年3月号矢富吉宗さん執筆
                                               2月〜7月はじめ可。台木切り下ろし下端は、やや深く。

富有+中国豆柿 2007.4.6接ぎ→2007.6.18 富有+次郎2006.4.12接ぎ→2007.6.18 富有2007.6.18
  
富有+禅寺丸実生1995.4接ぎ→2007.6.18 中央から上は皮目大きく、接ぎ木部が分かる。2006から開花結実。 蜂屋+倉方2006.4接ぎ木。2007年2月に切り戻し剪定したが、6月27日には結果している。 富有+次郎2006.4.12接ぎ→2007.6.18 蜂屋+黒柿 2007.6.27 スカート状ポリ布をはずす直前。 同左。ポリ布をはずした直後。 同左。10日ほど前にポリ布をはずしておいたもの。台木枝を支柱代わりにして、軽く縛る。

蜂屋+西村早生 2006.4接ぎ木。2007年2月に
切り戻したが、結果している(07.6.27撮影)。
07.8.26撮影へ
上記の蜂屋+黒柿が翌年結実。2008.6.24 原画へ

 


無花果 いちじく イチジクの接ぎ木

@ A B C D

 写真@Aは、秋期腹接ぎのため郵送する穂木の採り方。直径10mm程度のが、使いやすい。葉が付いている部分は1年枝で、活着容易。
@葉を葉柄基部付近から鋏で切り捨てる。A2年枝との境界で切り分け、写真上部の1年枝を穂木とする。1年枝が封筒より長い場合、先端は未熟なので切り捨てる。ポリ袋に密閉する際、空気・水分の補給は不要。

.

  1970年代だったかと思う。ブルンスウィックの一部にブラウンターキーを接いでみた。なったブラウンターキー果実が家人に不評で、その部分を切り払ってしまった。

 長年求めていたホワイトマルセーユを2006年2月に購入し、主枝候補として2本伸ばしながら、試しに数果を熟させたが、果実の小ささと蟻の侵入に落胆気味だった。

 桝井ドーフィンは、書物で見ても果実を買っても、植えるより、一部高接ぎをしてみたかった。2006.10.29新宿御苑オフ会前に桝井ドーフィン鉢植えの提供があり、その枝の一部をいただき、直ぐにホワイトマルセーユの1主枝候補を犠牲にして接いだ。

  写真Bは、接いだ桝井ドーフィンの芽の伸び始め。2007.5.7にスカート状被覆を除去した、当日の状況。

 写真Cは、施術部分。上側のは、活着しなかった。2007.6.18

 写真Dは、同日の樹姿。右側が桝井ドーフィン。4主枝をネットフェンス上下に沿って、左右に誘引しようとしている。

 

E
上記D中の、主幹延長部分に接いだBANANA。葉柄が赤い。08.5.19

 


葡萄 ぶどう ブドウの接ぎ木  『 ガーデンライフ』1980年3月号矢富吉宗さん執筆 3月上旬〜5月中旬

 2005年8月下旬腹接ぎは、秋伸びし、1芽(スチューベン実生)の脇芽以外は、冬に枯れた。両脇が伸びかかったので、1芽だけにした。その1芽より上の台木を06.5.6に切除。激しく水滴を出したが、1時間程度で止まった。

 上記の反省から、次のように接ぎ木時期を少し早めてみた。しかし、旺盛には伸びなかった。それは、結果枝からの脇枝を譲り受けた穂木だったので、@施術時期が遅い、A穂木が未熟 が、原因と思える。

07.7.12巨峰緑枝接ぎ 07.7.23伸長開始状況  
 

 そこで2008年は、5月に休眠枝接ぎと緑枝接ぎすることで、翌年結果を期待したい。緑枝接ぎには、穂木専用として全摘蕾し、充実穂木を早期に育てておく必要を感じる。

 
 緑枝接ぎ ヤマブドウ×フレドニア台木にポットレッドワンを2008.6.11に。時期が遅く、穂木は硬すぎる感じたが、郵送で入手するには、乾きにくく、適し状態とも思える。

以下3枚は6.24の状況
日よけ紙封筒
を洗濯ばさみで止めてある。
左画像の内側には、蒸散防止のためにポリ小袋を台木にしばりつけてある。 伸長開始した割り接ぎ穂木。接木テープは、左側白いのは一般品で、右側緑色は圧着式。拡大 2本とも袋の口を大きく超えて伸長している。08.7.9 同日、すでに蕾をつけてくれているものがあるのは、驚き。

 

 次の緑文字は、『ブドウ』(芦川孝三郎著 日本放送出版協会)p.118抜粋。 

穂木貯蔵は晩秋〜初冬に深さ20〜30cmに寝かせて/挿し木は3月中下旬/高切り接ぎは5月中下旬。台木と穂木上端に接ぎ蝋。

緑枝接ぎは5月、充実1芽(小葉出)6〜8cm穂木を15mm削り、台木先端近くを20mm割って。穂木上端に接ぎ蝋。翌年結実。
 


以下は経験してない樹種についての情報メモ


胡桃 くるみ クルミの接ぎ木 ペカンの接ぎ木も同様か

 倉方英蔵さんが、力を入れていたのが胡桃の接ぎ木でした。オニグルミをカシグルミに接ぎ替えることで、農村を豊かにしたい、とのことでした。『接ぎ木のすべて』と故人の話から、接ぎ木一般と異なる部分を重点に紹介します。活着7〜8割。

◆穂木 2月ごろ、充実した太めの1年枝を採取し、30cm強の長さで束ね、ビニール等で気密に包んで、冷蔵(1〜3℃。埋蔵不可)。11〜12cmに切って穂木に。

◆台木 肥培した2〜3年生。オニグルミ台は低地に、カシグルミ台は高地に向く。

◆施術 クルミの発芽は、東京では、ソメイヨシノ開花の3月末ごろから。接ぎ木はその20日〜1月くらい後に。ある程度伸長をみてからビニールを破ってやる。7月下旬〜秋は、春に播いたオニグルミ台頂部かカシグルミ台基部に。2年以上の台木への夏〜秋接ぎは、皮をはぐと樹液流出し、ほぼ不可。

◆用具 出刃包丁


石榴 柘榴 ざくろ ザクロの接ぎ木

 ある掲示板に、ザクロの接ぎ木についての質問が載りました。これの参考資料として見つけたのは、唯一、園芸ガイド2002年6月号p.120園芸相談室での、船越亮二氏による回答(文章と図)でした。これを基に、タネツリ追加部分とともに表にまとめてみました。

 相談文の要旨 苗を庭に植えて3年になる実ザクロを、1本 の木で2〜3品種としたい。福井県M

区  分 接ぎ木適期       準   備   施術(図では第3〜6節に)      アフターケア
呼び接ぎ 4月上旬 穂木とする苗を2.5〜3号鉢に植え、台木枝にとりつける。 双方を削って合わせ、結束。図では、穂木は台木と35度。 穂木苗の摘蕾、潅水を続けると、秋までに活着。
切り接ぎ 3月下旬
〜4月上旬
穂木は、2月上旬に冷蔵。 図では、3芽見える穂木が台木に入る部分が極薄く、木部が少なそう。 乾燥を防ぐため、ビニール袋をかぶせておく。高温を防ぐため、さらに、ハトロン紙袋で覆っておく。
腹接ぎ 3月、
8〜9月
図では、主幹から出る、若くて充実した脇枝を育てておく。呼び接ぎ・切り接ぎでも同じ。 台木枝の途中に切り込みを入れ、3〜4cmの長さの穂木の基部を削って合わせ、ビニールテープで結束。図では、穂木は台木に平行。  台芽かき      

 


Indexへ戻る     自給園の目次へ