ウィンナテューバについて
 ウィンナテューバは、ドイツで生まれ、ウィーン(ウィーンフィル)で育った特殊なテューバです。それまで使っていたオフィクレイドやヘリコンの代わりによりよい音質を追求するために、また、ワーグナーを演奏するためにドイツの楽器を使用したようです。
 もっとも特徴的なのは、そのバルブ構成です。右3、左3のロータリーは、普通で考えれば、右の3つのロータリーが主体で左の3つのロータリーが補正管と言う印象を受けます。「そんなにたくさん補正管が欲しいほど音程が悪いのか?」という印象を受けます。ところがさにあらず!
 ウィンナテューバは、左のロータリーが主体なのです。ウィーンで作られたウィンナバルブのトランペットやホルンがすべて左主体で作られていたのも、ヨーロッパ人に左利きが多いことと関係があるかもしれません。
本当は、左2、右3の5ロータリー、しかも左主体と言う作りの楽器なのです。
 ウィンナテューバは、そのバルブ構成が特殊なため、そこにばかり目がいきがちですが、本当はその音色に最も特徴があるようです。高次倍音を多く含んだその音は、細管トロンボーンによくマッチし、音色的に分離することなく、低音域を拡大することができるということです。

ウィンナテューバの生い立ち

 ウィンナテューバの成り立ちにふれていくと、どうやらウィーンフィルのトロンボーンにもふれていかなければいけません。ウィーンでは、バルブトロンボーン(ウィンナバルブ式)を使っていた時代があったようです。そして、ワーグナーの時代に向かうにつれ、金管楽器の低音域の拡大が一つのテーマとなってきます。


ロータリーバルブトロンボーン
(チェルベニー社製)


オフィクレイド ボンバルドン
 フランスには、すでにキー付きセルパン(オフィクレイド)があったため、、これを利用してウィーン式のバルブシステム(ウィンナバルブ)を持ったオフィクレイド(ボンバルドン:F管)がつくられました。
 この楽器は、オフィクレイドよりも個々の音の粒が安定しており、トロンボーンとも相性が良かったようです。
 その後、より豊かな音(音量)を求めてC管のヘリコンが使われたこともありました。


ヘリコン


初期のウィンナテューバ
(パウルス:ベルリン?)

 ウィーンのテューバは常にトロンボーンとの融合を念頭に置かれ進化していきました。ヘリコンよりも音域が広く、よりトロンボーンと融合する音色を持つ、いわゆるウィンナテューバが登場します。
 初期のものは、左2、右3のバルブ構成でした。これに第6バルブ(左の3番)が加わり、現在のバルブ構成になります。

 さらに、ウィーンのトロンボーンが太管のスライドトロンボーン(現在の形)にかわると、より丸く、豊かな音へとウィンナテューバもかわっていきます。
 こうして現在のウィンナテューバ(ウィーンコンサートテューバ)が完成したわけです。


現在のウィンナテューバ(ムジカ社製)

ウィンナテューバのバルブシステム
 ウィンナテューバはF管です。左の1・2番は通常のF管のと同じで、1番が全音、2番は半音です。ところが、左の3番管は、1番の替え指なのだそうです。そのためか、全音より少し短い管になっているようです。
 右の3番(6番)は、管の調をCに替えるためのキーだそうで、いわゆる4番管と同じ(2全音半)と考えてもよいでしょう。そして、右の1・2番(4・5番)ですが、こちらはC管用の全音(4)、半音(5)と言うことらしいのです。このため、4番は1番の1.5倍の長さがあります。つまり、4番を1・2の替え指として使うことができます。

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