ヨークについて
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ヨークとは、アメリカのJ.W.York
& Sonという会社がつくった4/6サイズのテューバのことです。今世紀最高のテューバ奏者であり、管楽器の呼吸法の大家である元シカゴ響のアーノルド・ジェイコブズ氏がこの楽器を使っていたことで一躍有名になりました。
ところが、J.W.York & Sonという会社は、1964年には仕事を辞め、1976年までに Tolchin Instrumentsを経て、
Boosey and Hawkes. に吸収されてしまいました。
(J.W.York & Sonの詳しいことは、http://web.calstatela.edu/faculty/jswain/brass/index.htmで)
このため、J.W.York & Son社製のヨークは手に入れることができなくなりました。
しかし、ヨークの人気は高まり、シカゴ響に保存されているヨークは様々な会社によってコピーされることとなりました(不思議なことにBoosey
and Hawkes. (Besson)は、とある展示会に出展したのみでその後ヨークのコピーを作っていない)。 |

HBS-510 |
現在最も有名なヨークのコピーは、ヒルスブルナー社のHBS510(York-Brunner)とBMシンフォニック社のYorkModelです。いずれもCc管フロントアクション4ピストン+親指1ロータリー、マウスパイプが短く、ボアが21mm前後でサイズは4/6、ベルの直径はなんと500mmとなっています(実は同じものじゃないかという話も…)。
この大きさをYAMAHAのYBB321のスペック(ボア18mm、4/4、ベル430mm)と比較するとはるかに大きいと言うことがわかるでしょう。 |

BM Symphonic York Model

YAMAHA YBB321 |
4/6というサイズのテューバは、他にB&S社のネプチューン(Cc管)とそのピストン版、ウィルソンのBass3100(BBb管)、アマティー社のカイザーモデル、マイネルウェストン社の2155ヴァーレンデックモデルなどがあり、このうちおそらくネプチューンとヴァーレンデックはヨークのコピーに近いと思われます。また、輸出仕様のYAMAHA、YCB822S(フロイド・クーリーの"The
Romantic Tuba"というCDの中で写っているもの)は、ヨークを元にして、もっと現実的に仕上げた製品と言うことができそうです。
このうち、私が試奏したことがあるのは、BMシンフォニックの中古ですが、一言で言えば「GREAT!」です。まずは、音の太さ、ドラム缶のような、太い音がドカンドカンでます。次にキャパシティの大きさ。どんなに息を入れても楽器が許容してくれます。
| 通常4/4の楽器では、fがたくさん付くにつれベルがビビリはじめ、ついには音そのものが割れてきます。それがテューバのfだと思いこんでいる人も多いと思います。私もそうでした。このビビリ、そして割れを押さえるためには、ベルを小さくする(B&Sなど)か、クランツをつける(ミラフォーンなど)か、ベルの肉厚を厚くする(Bessonなど)かして、ベルの剛性をあげるのですが、もう一つ、ベルの容積を上げて、ベルを振動させる気柱の体積を大きくし、音が割れるのに必要なエネルギー量を多くしてしまう方法が考えられます。つまり、管を太くする=楽器のサイズを4/5や4/6にするということです。トランペットで音を割るのは比較的簡単ですが、フリューゲルホルンでは非常に困難なのと理屈は同じです。 |
ベルを小さくする

B&S 3101 |
ベルに
クランツをつける

Miraphone
PR-86HA |
ベルの肉厚を上げる

Besson 994-1 |
音色的には、張りのある、つややかな音が出ます。そのくせ、倍音は豊かです。そしてこの音色はmfから自分のmaxまでかわりません。ビビリが来ないのだから当然と言えば当然ですが…。レスポンスは以外とよく、なまじ下手なBBb管の楽器よりもはっきり発音します。ショートのF管とは比べものになりませんが、まさかヨークで「ベニスの謝肉祭」をインテンポってことはないでしょうから、問題はないと思われます。
音程のくせも気にならない程度だったですが試奏品が中古だったため、はっきりとしたことは言えません。ただ、この太さでハイトーンでもピッチがぶら下がらないのはすごいと思います。
問題になるとすれば、これらの長所が裏目に出るときでしょう。例えば金管5重奏では、他の管楽器がヨークの音量について来れません。ヨークを使うテューバ奏者はいつも思いきり吹けず、フラストレーションがたまるばかりです。
やはり、ヨークの本領が発揮できる場所はオーケストラ大編成の吹奏楽などに限定されます。
また、管の太さからハイスピードの息を大量に入れることが要求されます。試奏してみた感じでは、わりとゆっくり目の息でも鳴りましたが、実際使うとなればそうはいかなさそうです。特にハイトーンでは、息のスピードが要求されます。
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