ターバンを借りる。
大家と再会
花蓮に着くと、早速、前回下見したターバンまでタクシーに乗って行った。
タクシー代は100元=300円と非常に安い。
もちろん道を間違わずまっすぐ行ったらのことだが。
『この客道がわからない』と判断するや迷走する事は非常に多い。
この点注意が必要。
今回はしっかり道もわかっておりまっすぐ行くことができたから安く上がった。
大家の家に行くと息子がいて日本語の話せる大家はいなかった。
ウーテンパン、5=うー、テン=時、パン=半つまり『5時半になったらいる』と言う。
じゃ、それまで夕飯でも食べるかと言うことで大家の家に荷物を置き、近くの食堂に入りゆっくりとご飯を食べた。
最も『食堂に入る』と言っても店の仕切りは無くオープンテラス風になっている。
通りから歩いていって机に座ればよいのだ。
台湾の食堂は気軽に入れる店というスタンスのものが多い。
パイコウハンを頼んだ。
揚げた肉の弁当という風なもので60元=180円程度だった。
大きめのお皿の上にお子様ランチであるようなご飯が乗っており、その上に今そこで揚げた肉が切りそろえて置いてある。
皿の周りにおかずが数種類付いていて非常においしい。
頼んでから肉を揚げてくれる。
したがって出てくるまでに多少時間はかかる。
多少?
20分ぐらいだろう。
もちろんこれでも結構急いでいるわけだが。
物によっては、おかずを入れたステンレス製の器が並べてありそれから選べば良くなっている。
それだと待ち時間などほとんど無くすぐだ。
食べ終わって時間を見ると5時15分ごろになっている。
時間に遅れてはいけないと思い大家の家に行ってみると、大家はすでに家に帰っていて家の前で待っていた。
『ニーハオ』とお互いに挨拶して大家が家の中に案内してくれた。
交渉
僕が『部屋はまだありますか?』
と聞くと『あるよ』と言う返事。
『この間あんたが見たのは3階だったが、今あるのは5階の部屋だ』と言う。
『5階?』と聞くと、
『その代わりここなら4千元だ』
『3階は4500元で4階以上はみんな4000元』という。
3階が4500元で4階が4000元なら5階は3500元となるのが自然と思ったが
500元=1500円の差だ。
細かいことを言ってごちゃごちゃするよりはるかにましと判断して『OK』と言うことにした。
外国で揉め事はタブーだ。
少しぐらい譲ってちょうど良い。
保証金と部屋代で4000元×2の8000元、それにケーブルTVの200元がいるから8200元払いなさいと言う。
僕が『決める前に部屋を見たい』
というと、『この間見たでしょ』
『あれよりきれい』
『あんたきっと気に入る大丈夫』
という。
『荷物もって来なさい』と言うからボストンバックを引きずって5階まで階段を上がり部屋に行った。
何の問題も無く貸してくれそうだ。
日本では外国人が部屋を借りるのは難しいと言うがそのようなことは全く無かった。
契約。
部屋は8畳程度の広さできれいだった。
床はつるつるのタイル張りだ。
6畳を半分に仕切った大きさのバスルームも付いていた。
ぼろベットもあり、ぼろ机の上にぼろTVが置いてあった。
バスルームには洋式トイレとバスタブと洗面台がある。
給湯設備もあって湯が出る様になっていた。
(本当に出るかどうかは使って見ないとわからないが)
前見たのとほとんど同じだった。
これなら良さそうだ。
セキュリティも厳重だし何しろきれいだ。
鍵はアパートの玄関ドア、各階の玄関ドア、それに部屋のドアについていた。
5階というところが問題だが散歩と思えばたいしたことではない。
高いところだから空き巣はなさそう。
台湾ではベランダ前面に金網が張ってあり泥棒対策をしてあるところが多い。
このようにきれいで安い物件などそうなさそう。
そこで『OK=ハオ』ということにした。
『じゃここで金を払え』と言う。
『あ、そうですか』ということで8200元支払ってこれでおしまいだ。
大家が鍵を3種類鍵の束からはずし『この鍵がどこの鍵』とか言って僕に渡してくれた。
『この玄関の鍵は後でつくった』
『少し会わない。』
『ガチャガチャやる、会う、開く』
という。
『あそうですか、日本もよくあります』
と言うと『そうか、日本にもあるか』
と言ってニコニコしてた。
こうして無事契約は済んだ。
契約は紳士契約
契約は紳士契約だった。
ただし、これが一般的ではないようだ。
良く行く喫茶店のマスターも部屋を借りていたが契約書をちゃんと見せてくれた。
部屋代は4000元だった。
この大家の場合、契約書もなければ何にも無い。
大家が自分の手帳に金額を大福帳的に書き込むだけだ。
(北京だとこれは危ないそうだ)
多少の不安はあったが、大家が日本語も話し
『あんたがもう要らないというときには4000元のうち電気代やガス代を引いて戻す』
というから、そうですかといって、ここのやり方に従うことにした。
『郷に入れば郷に従え』と言うのが日本のことわざだ。
それに全部ひっかかっても4000元(1万2000円)程度だ。
全額引っかけはしないだろうし、
ま、この大家がどういう風に始末するかも興味のあるところだ。
こうして無事予定通り安くてきれいで快適そうな部屋を借りることができた。
さ、『じゃとりあえず今日寝る布団を買いに行くか』
ということで布団を買いに行った。
日本の常識は通用しない
この契約にはその後もエピソードがある。
このときではないが、次に来た時だった。
僕が帰国まじかになって大家のところに家賃を持って契約延長に行った。
家賃滞納の話になった。
というのも、数日前、僕の前の住人が夜逃げしたのだ。
大家が夜中など何回か催促に来たと思ったら、その住人夜中に荷物を持ってズラかってしまった。
大家は憤慨しており、自然にその話になったのだ。
『もう家賃10日払っていない』『いるところは知っている』
『この男、月1万7000元の給料、車に1万元払う、遊ぶ、食べる、カネ無い。部屋代払えない。』
『僕、この男から部屋もらうとても苦労』といって怒っている。
『日本ではどうか?』
と聞くから、『日本では銀行振り込みになっている』
と言うと、『おう、それは良いね』
といって感心してた。
『出て行かないで、金を払わないときにはどうするのですか?』
と僕が興味もあって聞いてみた。
『そのとき?』
『玄関のドアはずして、もって行く』という。
僕が『わーすごいですね』
『日本だと、こんなときどうなると思いますか?』
『おまわりさんが来た時、怒られるのは家賃を払わない人じゃなく、大家さんのほうをつれて帰ります』
というと、むっとしてた。
こりゃいかんと思い、『現在ドアをはずしたり、そんなことをする大家さんはいません』
といったが、益々カチンと来たようだ。
そこで、『日本だと、この場合、中の荷物を持って帰り住めなくされてしまうんですよ』
といったら大家さん何を勘違いしたか『僕が日本に行ったきり帰ってこないで僕の荷物を取り上げ補填しろ』といっていると思ったらしい。
『あんたの荷物誰が要る?』
『誰もそんなもの要らない』
と怒ったようにいいはじめた。
何やらトンでもない誤解をしたらしい。
こりゃダメだと思い僕はそそくさと部屋を出て行った。
日本の家賃契約の様に何枚も注意書きが付いている、というようなことは無いのだ。
喫茶店のマスターの見せてくれた契約書も小さなノート一枚分の簡単なものだった。
ここの大家の場合、契約書すらないのだから日本の注意書きの多い家賃契約を『想像しろ』と言うほうが無理。
次回来るとき契約書を持って行って見せてやり、誤解をやんわり解こうと言うことにした。
どうなったかって?
これから契約書のコピーを持って台湾に行くから、その顛末はまた書くことにしよう。