「春の自転車」

           1937〜1939年頃 21.2 × 27.3cm

                   東京国立近代美術館

 

  幻想的な野道を、男は自転車こいでいる。

脇の花に目をやりながら

実に楽しそうに見える。

行く先は白く光っていて、どのような光景が広がっているのだろうか。

素晴らしい光景が待っているようにも思えるが。

しかし全体を構成する曲線、特に太く描かれた野道がその先で、白く表現された未来で消えていく処に言い知れぬ不安を感じる。

自転車に乗っているのは、安規自身なのだろうか。先には何があるのだろうか。

そんな見ているものの不安をよそに、男はただ自転車をこいでいる。