| 001 | 皇は神にしませば天雲の雷の上に廬せるかも (万葉集3) おほきみは かみにしませば あまぐもの いかづちのうへに いほりせるかも |
柿本人麻呂 | |
| 002 | 大宮の内まで聞ゆ網引きすと網子ととのふる海人の呼び声 (万葉集3) おほみやの うちまできこゆ あびきすと あこととのふる あまのよびごゑ |
長奥麻呂 | |
| 003 | やすみししわが大王の食国は大和も此処も同じとぞ念ふ (万葉集6) やすみしし わがおほきみが をすくには やまともここも おなじとぞおもふ |
大伴旅人 | |
| 004 | 千万の軍なりとも言挙せず取りて来ぬべき男とぞ念ふ (万葉集6) ちよろづの いくさなりとも ことあげせず とりてきぬべき をとことぞおもふ |
高橋虫麻呂 | |
| 005 | 士やも空しかるべき万代に語り続ぐべき名は立てずして (万葉集6) をのこやも むなしかるべき よろづよに かたりつぐべき なはたてずして |
山上憶良 | |
| 006 | 丈夫の弓上振り起し射つる矢を後見む人は語り継ぐがね (万葉集3) ますらおの ゆづゑふりおこし いつるやを のちみむひとは かたりつぐがね |
笠金村 | |
| 007 | あしひきの山にも野にも御猟人得物矢手挟みみだれたり見ゆ (万葉集6) あしひきの やまにものにも みかりびと さつやたばさみ みだれたりみゆ |
山部赤人 | |
| 008 | 旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐくめ天の鶴群 (万葉集9) たびびとの やどりせむのに しもふらば わがこはぐくめ あめのたづむら |
遣唐使使人母 | |
| 009 | わが背子はものな思ほし事しあらば火にも水にも吾なけなくに (万葉集4) わがせこは ものなおもほし ことしあらば ひにもみづにも われなけなくに |
安部女郎 | |
| 010 back |
御民吾生ける験あり天地の栄ゆる時に遇へらく念へば (万葉集6) みたみわれ いけるしるしあり あめつちの さかゆるときに あへらくおもへば |
海犬養岡麻呂 | |
| 011 | 大君の命恐み大船の行きのまにまにやどりするかも (万葉集15) おおきみの みことかしこみ おおふねの ゆきのまにまに やどりするかも |
雪宅麻呂 | |
| 012 | あをによし寧楽の京師は咲く花の薫ふがごとく今さかりなり (万葉集3) あをによし ならのみやこは さくはなの にほふがごとく いまさかりなり |
小野老 | |
| 013 | 降る雪の白髪までに大皇に仕へまつれば貴くもあるか (万葉集17) ふるゆきの しろがみまでに おほきみに つかへまつれば たふとくもあるか |
橘諸兄 | |
| 014 | 天の下すでに覆ひて降る雪の光を見れば貴くもあるか (万葉集17) あめのした すでにおほひて ふるゆきの ひかりをみれば たふとくもあるか |
紀清人 | |
| 015 | 新たしき年のはじめに豊の年しるすとならし雪の降れるは (万葉集17) あたらしき としのはじめに とよのとし しるすとならし ゆきのふれるは |
葛井諸会 | |
| 016 | 唐国に往き足らはして帰り来む丈夫武雄に御酒たてまつる (万葉19) からくにに ゆきたらはして かへりこむ ますらたけをに みきたてまつる |
多治比鷹主 | |
| 017 | 天皇の御代栄えむと東なるみちのく山に金花咲く (万葉18) すめろぎの みよさかえむと あづまなる みちのくやまに くがねはなさく |
大伴家持 | |
| 018 | 大君の命かしこみ磯に触り海原渡る父母を置きて (万葉20) おおきみの みことかしこみ いそにふり うのはらわたる ちちははをおきて |
丈部人麻呂 | |
| 019 | 真木柱ほめて造れる殿のごといまで母刀自面変りせず (万葉20) まけばしら ほめてつくれる とののごと いまでははとじ おもがはりせず |
坂田部麻呂 | |
| 020 back |
霰降り鹿島の神を祈りつつ皇御軍に吾は来にしを (万葉20) あられふり かしまのかみを いのりつつ すめらみくさに われはきにしを |
大舎人部千文 | |
| 021 | 今日よりは顧みなくて大君のしこの御楯と出で立つ吾は (万葉20) けふよりは かへりみなくて おほきみの しこのみたてと いでたつわれは |
今奉部与曾布 | |
| 022 | 天地の神を祈りて幸矢貫き筑紫の島をさしていく吾は (万葉20) あめつちの かみをいのりて さつやぬき ちくしのしまを さしていくわれは |
大田部荒耳 | |
| 023 | ちはやぶる神の御坂に幣奉り齋ふいのちは母父が為め (万葉20) ちはやぶる かみのみさかに ぬさまつり いはふいのちは おもちちがため |
神人部子忍男 | |
| 024 | 翁とてわびやは居らむ草も木も栄ゆる時に出でて舞ひてむ (続日本後記仁明天皇紀) おきなとて わびやはをらむ くさもきも さかゆるときに いでてまひてむ |
尾張浜主 | |
| 025 | 海ならずたたへる水の底までも清き心は月ぞ照さむ (新古今18雑下) うみならず たたへるみづを そこまでも きよきこころは つきぞてらさむ |
菅原道真 | |
| 026 | 山のごと坂田の稲を抜き積みて君が千歳の初穂にぞ舂く (栄華物語「かげのかづら」) やまのごと さかたのいねを ぬきつみて きみがちとせの はつほにぞつく |
大中臣輔親 | |
| 027 | もろこしも天の下にぞ有ると聞く照る日の本を忘れざらなむ (新古今9離別歌) もろこしの あめのしたにぞ あるときく てるひのもとを わすれざらなむ |
成尋阿闍梨母 | |
| 028 | 君が代はつきじとぞ思ふ神かぜやみもすそ川のすまん限りは きみがよは つきじとぞおもふかみかぜやみもすそがはのすまんかぎりは |
源経信 | |
| 029 | 君が代は松の上葉におくつゆのつもりて四方の海となるまで (金葉5賀歌) きみがよは まつのうはばに おくつゆの つもりてよもの うみとなるまで |
源俊頼 | |
| 030 back |
君が代にあへるは誰も嬉しきを花は色にもいでにけるかな (新古今7賀歌) きみがよに あへるはたれも うれしきを はなはいろにも いでにけるかな |
藤原範兼 | |
| 031 | みやま木のその梢とも見えざりし桜の花にあらはれにけり (詞花1春) みやまぎの そのこずゑとも みえざりし さくらのはなに あらはれにけり |
源頼政 | |
| 032 | 宮柱したつ岩根にしけ立ててつゆも曇らぬ日の御影かな (新古今19神祇歌) みやばしら したついはねに しけたてて つゆもくもらぬ ひのみかげかな |
西 行 | |
| 033 | 君が代は千代ともささじ天の戸やいづる月日のかぎりなければ (新古今7賀歌) きみがよは ちよともささじ あめのとや いづるつきひの かぎりなければ |
藤原俊成 | |
| 034 | 昔たれかかる桜の花を植ゑて吉野の春の山となしけむ (新勅撰1春歌上) むかしたれ かかるさくらの はなをうゑて よしののはるの やまとなしけむ |
藤原良経 | |
| 035 | 山はさけ海はあせなむ世なりとも君にふた心わがあらめやも (新勅撰17雑歌2) やまはさけ うみはあせなむ よなりとも きみにふたごころ わがあらめやも |
源実朝 | |
| 036 | 曇りなきみどりの空を仰ぎても君が八千代をまづ祈るかな (拾遺愚草) くもりなき みどりのそらを あふぎても きみがやちよを まづいのるかな |
藤原定家 | |
| 037 | 末の世の末の末まで我国はよろづの国にすぐれたる国 (文永6祈願文) すゑのよの すゑのすゑまで わがくには よろづのくにに すぐれたるくに |
宏覚禅師 | |
| 038 | 西の海よせくる波も心せよ神の守れるやまと島根ぞ (祐春詠草) にしのうみ よせくるなみも こころせよ かみのまもれる やまとしまねぞ |
中臣祐春 | |
| 039 | 勅として祈るしるしの神風に寄せくる浪はかつ砕けつつ (増鏡「老のなみ」) ちよくとして いのるしるしの かみかぜに よせくるなみは かつくだけつつ |
藤原為氏 | |
| 040 back |
命をばかろきになして武士の道よりおもき道あらめやは (風雅17雑歌下) いのちをば かろきになして もののふの みちよりおもき みちあらめやは |
源致雄 | |
| 041 | 限りなき恵みを四方にしき島の大和島根は今さかゆなり (風雅20賀歌) かぎりなき めぐみをよもに しきしまの やまとしまねは いまさかゆなり |
藤原為定 | |
| 042 | 思ひかね入りにし由を立ち出でて迷ふうき世もただ君の為 (新葉17雑歌中) おもひかね いりにしよしを たちいでて まよふうきよも ただきみのため |
藤原師賢 | |
| 043 | 君をいのるみちにいそげば神垣にはや時つげて鶏も鳴くなり (新葉9神祇歌) きみをいのる みちにいそげば かみがきに はやときつげて とりもなくなり |
津守国貴 | |
| 044 | もののふの上矢のかぶら一筋の思ふ心は神ぞ知るらむ (天正本太平記) もののふの うはやのかぶら ひとすぢの おもふこころは かみぞしるらむ |
菊池武時 | |
| 045 | かへらじとかねて思へば梓弓なき数に入る名をぞとどむる (太平記「正行参吉野事」) かへらじと かねておもへば あづさゆみ なきかづにいる なをぞとどむる |
楠木正行 | |
| 046 | 鶏の音になほぞおどろくつかふとて心のたゆむひまはなけれど (臨永集9雑歌上) とりのねに なほぞおどろく つかふとて こころのたゆむ ひまなけれども |
北畠親房 | |
| 047 | いのちより名こそ惜しけれもののふの道にかふべき道しなければ (常山紀談8) いのちより なこそおしけれ もののふの みちにかふべき みちしなければ |
森迫親正 | |
| 048 | あふぎ来てもろこし人も住みつくやげに日の本の光なるらむ (雪玉集「唐人」) あふぎきて もろこしびとも すみつくや げにひのもとの ひかりなるらむ |
藤原実隆 | |
| 049 | あぢきなやもろこしまでもおくれじと思ひしことは昔なりけり (西藩野史13「義弘公上」) あぢきなや もろこしまでも おくれじと おもひしことは むかしなりけり |
新納忠元 | |
| 050 back |
富士の嶺に登りて見れば天地はまだいくほどもわかれさりけり (晩歌集) ふじのねに のぼりてみれば あめつちは まだいくほども わかれさりけり |
下河辺長流 | |
| 051 | 行く川の清き流におのづから心の水もかよひてぞすむ (常山詠草) ゆくかはの きよきながれに おのづから こころのみづも かよひてそすむ |
徳川光圀 | |
| 052 | ふみわけよ日本にはあらぬ唐鳥の跡をみるのみ人の道かは (春葉集「書」) ふみわけよ やまとにはあらぬ からとりの あとをみるのみ ひとのみちかは |
荷田春満 | |
| 053 | 大御田のみなわも泥もかきたれてとるや早苗は我が君の為 (家集夏歌) おほみたの みなわもひぢも かきたれて とるやさなえは わがきみのため |
加茂真淵 | |
| 054 | もののふの兜に立つる鍬形のながめ柏は見れどあかずけり (天降言) もののふの かぶとにたつる くはがたの ながめかしはは みれどあかずけり |
田安宗武 | |
| 055 | すめ神の天降りましける日向なる高千穂の嶽やまづ霞むらむ (楫取魚彦家集) すめがみの あもりましける ひむかなる たかちほのみねや まづかすむらむ |
楫取魚彦 | |
| 056 | 天の原てる日にちかき富士の嶺に今も神代の雪は残れり (あづま歌) あまのはら てるひにちかき ふじのねに いまもかみよの ゆきはのこれり |
橘枝直 | |
| 057 | 千代ふりし書もしるさず海の国の守りの道は我ひとり見き (六無斎遺詠) ちよふりし ふみもしるさず うみのくにの まもりのみちは われひとりみき |
林子平 | |
| 058 | われをわれとしろしめすかやすべらぎの玉のみ声のかかるうれしさ (高山操志) われをわれ としろしめすかや すべらぎの たまのみこゑの かかるうれしさ |
高山彦九郎 | |
| 059 | あし原やこの国ぶりの言の葉に栄ゆる御代の声ぞ聞ゆる (六帖詠草) あしはらや このくにぶりの ことのはに さかゆるみよの こゑぞきこゆる |
小沢蘆庵 | |
| 060 back |
しきしまのやまと心を人とはば朝日ににほふ山ざくら花 (鈴屋集) しきしまの やまとごころを ひととはば あさひににほふ やまざくらばな |
本居宣長 | |
| 061 | 初春の初日かがよふ神国の神のみかげをあふげもろもろ (五十槻園集) はつはるの はつひかがよふ かみくにの かみのみかげを あふげもろもろ |
荒木田久老 | |
| 062 | 八束穂の瑞穂の上に千五百秋国の秀見せて照れる月かも (うけらが花) やつかほの みづほのうへに ちいほあき くにのほみせて てれるつきかも |
橘千蔭 | |
| 063 | かぐ山の尾の上に立ちて見渡せば大和国原早苗とるなり (籐簍冊子1) かぐやまの おのへにたちて みわたせば やまとくにはら さなへとるなり |
上田秋成 | |
| 064 | かけまくもあやに畏きすめらぎの神のみ民とあるが楽しさ (岡廼屋歌集) かけまくも あやにかしこき すめらぎの かみのみたみと あるがたのしさ |
栗田土満 | |
| 065 | 遠つ祖の身によろひたる緋縅の面影浮ぶ木々のもみぢ葉 (国民歌集) とほつおやの みによろひたる ひおどしの おもかげうかぶ きぎのもみぢば |
蒲生君平 | |
| 066 | 大日本神代ゆかけてつたへたる雄々しき道ぞたゆみあらすな (雲錦集「弓」) おほやまと かみよゆかけて つたへたる ををしきみちぞ たゆみあらすな |
賀茂季鷹 | |
| 067 | ひとかたに靡きそろひて花すすき風吹く時ぞみだれざりける (桂園一枝「薄随風」) ひとかたに なびきそろひて はなすすき かぜふくときぞ みだれざりける |
香川景樹 | |
| 068 | 青海原潮の八百重の八十国につぎてひろめよこの正道を (気吹廼舎歌集) あをうなばら しほのやほへの やそくにに つぎてひろめよ こもまさみちを |
平田篤胤 | |
| 069 | やすみししわが大君のしきませる御国ゆたかに春は来にけり (家集「春立日作歌」) やすみしし わがおほきみの しきませる みくにゆたかに はるはきにけり |
大倉鷲夫 | |
| 070 back |
かきくらすあめりか人に天つ日のかがやく邦のてぶり見せばや (東湖遺文) かきくらす あめりかびとに あまつひの かがやくくにの てぶりみせばや |
藤田東湖 | |
| 071 | わが国はいともたふとし天地の神の祭をまつりごとにて (海士の囀) わがくには いともたふとし あめつちの かみのまつりを まつりごとにて |
足代弘訓 | |
| 072 | 君がため花と散りにしますらをに見せばやと思ふ御代の春かな (柿園詠草) きみがため はなとちりにし ますらをに みせばやとおもふ みよのはるかな |
加納諸平 | |
| 073 | 大君の宮敷きましし橿原のうねびの山の古おもほゆ (山斎集・千歌のくり言) おほきみの みやしきましし かしはらの うねびのやまの いにしへおもほゆ |
鹿持雅澄 | |
| 074 | 大君のためにはなにか惜しからむ薩摩の瀬戸に身は沈むとも (興風集・殉難前草 他) おほきみの ためにはなにか をしからむ さつまのせとに みはしづむとも |
月 照 | |
| 075 | 大君の御贄のまけと魚すらも神世よりこそつかへきにけり (柳園詠草) おほきみの みにへのまけと うをすらも かみよよりこそ つかへきにけり |
石川依平 | |
| 076 | 君が代を思ふ心のひとすぢに吾が身ありともおもはざりけり (近世殉国一人一首伝) きみがよを おもふこころの ひとすぢに わがみありとも おもはざりけり |
梅田雲浜 | |
| 077 | 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬともとどめおかまし日本魂 (歎涕和歌集・殉難前草 他) みはたとひ むさしののべに くちぬとも とどめおかまし やまとだましひ |
吉田松陰 | |
| 078 | 岩が根も砕かざらめやもののふの国の為にと思ひ切る太刀 (歎涕和歌集・殉難前草 他) いわがねも くだかざらめや もののふの くにのためにと おもひきるたち |
有村次左衛門 | |
| 079 | 鹿島なる●霊のみ劔をこころに磨ぎて行くはこの旅 (殉難後草拾遺) ●=音+師のつくり かしまなる ふつのみたまの みつるぎを こころにとぎて ゆくはこのたび |
高橋多一郎 | |
| 080 back |
天皇に仕へまつれと我を生みし我がたらちねぞ尊かりける (家集) おほきみに つかへまつれと われをうみし わがたらちねぞ たふとかりける |
佐久良東雄 | |
| 081 | あまざかる蝦夷をわが住む家としてならぶ千島のまもりともがな (景山公歌集) あまざかる えぞをわがすむ いへとして ならぶちしまの まもりともがな |
徳川齊昭 | |
| 082 | 朝廷辺に死ぬべきいのちながらへて帰る旅路の憤ろしも (都日記) みかどべに しぬべきいのち ながらへて かへるたびぢの いきどほろしも |
有馬新七 | |
| 083 | 大君の御旗の下に死してこそ人と生まれし甲斐はありけれ (近世殉国一人一首伝・殉難続草 他) おほきみの みはたのもとに ししてこそ ひととうまれし かひはありけれ |
田中河内介 | |
| 084 | しづたまき数ならぬ身も時を得て天皇がみ為めに死なむとぞ思ふ (歎涕和歌集) しづたまき かづならぬみも ときをえて きみがみために しなんとぞおもふ |
児島草臣 | |
| 085 | 天皇の御楯となりて死なむ身の心は常に楽しくありけり (橿の本つ葉) おほきみの みたてとなりて しなむみの こころはつねに たのしくありけり |
鈴木重胤 | |
| 086 | 君がため命死にきと世の人に語り継ぎてよ峰の松風 (殉難遺草) きみがため いのちしにきと よのひとに かたりつぎてよ みねのまつかぜ |
松本奎堂 | |
| 087 | 曇りなき月を見るにも思ふかな明日はかばねの上に照るとや (近世殉国一人一首伝・殉難遺草 他) くもりなき つきをみるにも おもうふかな あすはかばねの うへにてるとや |
吉村乕太郎 | |
| 088 | 君が代はいはほと共に動かねばくだけてかへれ沖つしら浪 (殉難後草・振気篇 他) きみがよは いはほとともに うごかねば くだけてかへれ おきつしらなみ |
伴林光平 | |
| 089 | ますらをが思ひこめにし一筋は七生かふとも何たわむべき () ますらをが おもひこめにし ひとすぢは ななよかふとも なにたわむべき |
渋谷伊予作 | |
| 090 back |
みちのくのそとなる蝦夷のそとを漕ぐ舟より遠くものをこそ思へ (象山全集) みちのくの そとなるえぞの そとをこぐ ふねよりとほく ものをこそおもへ |
佐久間象山 | |
| 091 | 取り佩ける太刀の光はもののふの常にみれどもいやめづらしも (江月齋遺集) とりはける たちのひかりは もののふの つねにみれども いやめづらしも |
久坂玄瑞 | |
| 092 | 大君の御楯となりて捨つる身と思へば軽きわが命かな (殉難録稿) おほきみの みたてとなりて すつるみと おもへばかろき わがいのちかな |
津田愛之助 | |
| 093 | 青雲のむかふすきはみすめらぎのみいつががやく御代になしてむ (殉難後草 他) せいうんの むかふすきはみ すめらぎの みいつかがやく みよになしてむ |
平野国臣 | |
| 094 | 大山の峰の岩根に埋めにけりわが年月の大和だましひ (近世殉国一人一首伝・真木和泉守遺文 他) おほやまの みねのいわねに うづめけり わがとしつきの やまとだましひ |
真木和泉 | |
| 095 | 片敷きて寝ぬる鎧の袖の上に思ひぞつもる越の白雪 (殉難拾遺・近世殉国一人一首伝) かたしきて いぬるよろひの そでのへに おもひぞつもる こしのしらゆき |
武田耕雲齋 | |
| 096 | 武夫のたけき鏡と天の原あふぎ尊め丈夫のとも (家集「左近衛中将橘朝臣正成卿を」) もののふの たけきかがみと あまのはら あふぎたふとめ ますらをのとも |
平賀元義 | |
| 097 | 後れても後れてもまた卿たちに誓ひしことをわれ忘れめや (東行先生遺文) おくれても おくれてもまた きやうたちに ちかひしことを われわすれめや |
高杉晋作 | |
| 098 | もののふのやまと心をより合せただひとすぢの大綱にせよ (向陵集「寄絲述懐」) もののふの やまとごころを よりあはせ ただひとすぢの おほつなにせよ |
野村望東尼 | |
| 099 | 男山今日の行幸の畏きも命あればぞをろがみにける (歌集草稿・続草径集) をとこやま けふのみゆきの かしこきも いのちあればぞ をろがみにける |
大隈言道 | |
| 100 | 春にあけてまづ看る書も天地のはじめの時とよみ出づるかな (志濃夫廼舎歌集第三集「正月のついたちの日古事記をとりて」) はるにあけて まづみるふみも あめつちの はじめのときと よみいづるかな |
橘曙覧 | |
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読みは川田順「愛国百人一首註釈」を参考にしました。
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