続けていくこと、守ること(2003/2/9)

一度はばんえいの引退式を見てみたいと思っていた。
それならばアキバオーショウが引退するときだ、とアキバが10歳である昨年考えていたら、
その年からオープン馬の定年を1年延長することができるようになり、1年長くアキバは現役を続けることとなった。
11歳のアキバは変わらず活躍を続け、ついに今シーズンでアキバは定年を迎える。

引退式が近くなってからばんえいのホームページにもその案内が掲載された。ココで
引退式ではなく、「引退馬表彰式」だということを知る。
一部を引用すると、

ばんえい競走馬になるためには、2歳春に合格率約20%の厳しい能力検査に合格しなければなりません。
その後も年度ごとに一定の賞金を獲得しなければレースに出走できない厳しい条件が定められています。
また、病気、故障などで競走を継続できなくなる馬も多数いるなか、
8年間に渡り現役競走馬を努めた馬たちの栄誉を讃え表彰するものです。

だからサカノタイソンがいないわけね。
定年まで現役を続けていた馬というのはこれだけしかいないのかぁ…。
去年の写真を見ると、馬たちがおしゃれ!楽しみだぁ〜。

JRで帯広駅に到着。午後から晴れるとの予報だったけどぱっとしない天気。ちゃんと晴れるかなぁ…。
バスに乗ろうと時刻表を見ると、行ったばっかりだし次の便は日曜休みだし。しょうがないので歩いて行くことにする。
その前にお昼。今まで同じ豚丼屋さんばかりに行っていたので(ぱ○ちょう)、今回は違うところへ行ってみよう、と豚丼店を研究。
なぜ帯広が豚丼かというと、開拓の時に鍋ひとつと豚一頭をひきつれて入植してきたからだそうな。
 
豚丼についてはこちらのページを参考にいたしました。Thanks!
 十勝のフリーペーパー「Chai」バックナンバー十勝名物!豚丼巡り!
 とかち・帯広の情報サイト「十勝への招待状

地図をチェックしていくと、片隅に競馬場があるお店を発見。これはここに行くしかない!
しかも2軒あったので、今回は見た目に興味をそそられた「鶴橋」に行くことにする。
行ってやってなかったら悲しいので(歩くし)、お店に何時からやっているか電話をしてみた。
「わざわざ歩いて来ていただけるんですか〜」と明るいお母さんが出られた。つく頃にはちょうどやっています、とのこと。ほっ。
歩いてればおなかも空くだろうし、ととぼとぼ歩き続ける。競馬場を25分後くらいに通過。ファンファーレがなっていた。
お〜競馬場だぁっ、でもちょっと待ってね、私は先に豚丼を…
…競馬場過ぎたら急に疲れが出てきた…
あー、もう少しなのに…辛い。疲れたよー…あー早く食べたーい。走りたいけど荷物重いし。うう。
看板が見えた。もう少しだ!!緩やかな下り坂だぁ、帰りが怖い…
着いたー。あー疲れたぁ。「大変だったでしょう、良く来られましたね」などと、何度もねぎらいの言葉をかけられて、
疲れましたとも言えず、おなかが空きましたなとど答える。食べれば元気になるよね…競馬前にこんなに疲れてしまってはイケナイ。うう。
おまちかねの豚丼登場。写真で見たとおり真っ黒なたれ!すごい!美味しそう…ご飯までたれがしみ込んでる。
独特の濃い味をしたたれ。これは食べてるとくせになるタイプだなぁ。疲れた体には重かったかも(^_^;)
しかしこれはどこの米なんだろう、めちゃくちゃご飯が美味しい。味噌汁も美味しいっ!あーっ幸せ。
とにかくここはお店の人の感じがよくって暖かかった。ばんえいのポスターもたくさん貼られていた。

競馬場へ戻る。やっと着いたよ〜。はー、スタンドで休みたいかも…。
入り口の新聞屋さんは2つしか営業していない。私のお気に入りの新聞「ばんば」は休刊したまま。寂しいなぁ…。
ちょうど4Rが始まるところだった。ファンファーレがなって、鈴の音が響く。馬たちが白い息を吐いている。
うきうきしてきた。休んでる場合じゃない!

今回も、写真を撮らせていただくということで事務所に連絡をしておいた。
ファンにこのようなサービスをしていただけるのは本当に嬉しい。私もいい写真を撮らなくちゃ!
雪は止まないけれど、降りてくるような雪は美しいかも。
しかし難しいなぁ…。あっという間に馬は通り過ぎて行くし、頭数は少ないし、太陽はいいときに隠れるし。

寒いから中に入りなさい、といわれて少し温まる。そろそろ引退馬表彰式が始まる時間だなぁと外に出てみる。
…いたーっ。馬が出てきてる〜。
かわいい馬服を着てる!うーっこれはかわいい…。かなり私好みのイベントだわ。来て正解。
馬名が見える。誰だろう?派手すぎて誰だかわかんない馬もいるし。
どんどん増えてきた。奥で放馬している引退馬がいた(^_^;)

ぞろぞろと登場

OP2つ勝ったのよ! 一番のり〜
人に隠れてしまった(T_T) けど、
ヒロインズカップ(2000年)とポプラ賞(2001年)
の2つのレイをかけて登場のキタノアグリ。
一番暖かそうだった。馬名が英語で書いてあって、
ちょっと読みにくかったカネミリュウ

そのうち目立つたてがみを発見。あーっアキバだぁ〜〜!馬服を見ると「旭川の鬼」と書かれてる。そのまんまだぁ。あははは。
レースの時にしばられているたてがみは今日はしばられていない。
ほんとうにきれいなたてがみだなぁ…。お疲れ様、アキバ…。今日で逢うのが最後というのは寂しいけれど。
しかし、私ってどこまで入れるんだろう。他のカメラマンの方が近くまで行っているけど。
着飾った馬と一緒に写真を撮ったりしている、馬の関係者の家族と思われる方も入ってきてるし。
よくわかんないので、遠巻きにアキバの美しさを見ていた。
というかアキバ、牝馬がいっぱいいるからか、馬服の下から……(^_^;)

ド、ドキドキかわいい仔……

表彰式前の7Rでは坂を登れずに途中で寝てしまい、競走を中止した馬がいたらしく時間がかかっていた。
やっとレースが終わり、そろそろ移動の時間。
私の前を1頭1頭、着飾られた馬たちが通り過ぎていく。
こ、こんな馬いたんだ!というポニーのような髪型をした馬が(^_^;)
でも馬服に名前がなくて、誰だかわかんないよ〜。

あなたは誰?渋い馬服

グレイトジャイナーに逢うのも楽しみにしていたのだけどいなかったっぽい。発見できなかっただけかな?
馬たちはコースの奥を通って、本馬場入場のコースに出てスタンドの方々にお披露目をする。
私は先ほどの位置で、ぼーっと馬たちを眺めていた。近くにいたおばちゃんたちも皆出てきて表彰式を見ていた。
アナウンスが良く聞こえないし、スタンドに行けばよかった。今度はそうしよう。
その中で、「これからは、」のアナウンスに敏感に反応した。
耳を澄まして聞いてみる。「種牡馬、繁殖牝馬として第二の生活を送ります。」
これだけいる引退牡馬。みんなが種牡馬になるわけでもないだろうし、
これだけきらびやかな引退式をされても、行く先は…
お別れというのはそういうことだと思うのだけど、でもそのアナウンスの通りだと思うことにしよう。
家族の一員として愛されながらこれからも過ごす、そんな生活が待っているといい。
私の頭の中には、「こいつは10歳まで頑張ってばんえいで走ったんだ」なんて言われて、
昔ながらの北海道の生活のように幸せな生活をしているあなたたちが見えるよ。
蛍の光が流れ、馬たちが退場していった。
そのメロディーにしんみりしてしまうけど。本当に、お疲れ様。

ずらり圧巻!表彰馬たちです。お疲れ様。

とりあえず、私のメインイベントは終わった。ちょいと一休み。
と思ったけど、やっぱりもったいないのですぐにスタンドへ向かう。
太陽も出てきた!おおーきれいな太陽、レースまで持ってくれ〜。ああ、雲が〜。
ううう、本当に難しいよ〜。カメラを持っていると、馬場整備などの方が声をかけてくる。
「いい写真撮れたかい?」と聞いてくるけど、難しいです…と。本音。
「このおじさん撮りな!もう引退だから。表彰。」(笑) そうなんだなぁ…。
長く続けることって、本当すごいことだ。行きのJRでも表彰式のことをずっと考えていた。長く続けて表彰されること。
私だって特に仕事ができるわけではないけれど、長くいるからそれなりに必要とされている。
何より長く続けるということは大事だし、財産なのだ、と思う。

また、 「そんなに好きなら音更の牧場行けばいいしょ!今お腹大きい馬いっぱいいるよ」とも言われた。
行きたいのよ〜。でも帯広まで車で来るのって峠を越えないといけないし。だからって浦河まで行って天馬街道からっていうのもどうかと思うし。
バスで行っても近くだ、と聞いたけど。そうなのかぁ。いいなぁ、魅力的だなぁ…。コレね
十勝は意外と馬が多い。乗馬の出来るところだっていっぱいある。
ばん馬もいるし、サラブレッドだって多くはないけどいるし。いろいろと行きたいところはあるんだけど。
馬と一緒に生活をするとしたら、十勝かなぁと思う。

メインが近づいてきた。今日のメインは3歳のOP、イレネー記念。
競馬場の入口にもその功績をたたえたイレネーの銅像が建てられている。
ってその功績忘れちゃったよ。もう一度調べてみます。1910年にフランスから輸入されて、
多くの優良馬を残して十勝の農地開拓の基礎を築いた馬。十勝の馬産が盛んになったのもイレネーのおかげであるのですね。ほほう。
パドックには間にあわなかったので本馬場入場から見る。みんなかわいーっ!さすがにおしゃれしているなぁ。
特にかわいかったのが1番のダイパール。たてがみには赤い花が4つ、前髪は水色のリボンできれいにまとめられている。
女の子かと思ったら牡馬だったのね。レース前にこの馬を追っていると、その馬をずっと見ていた厩務員さんらしき人はかわいらしい若い女の子で、
馬のおしゃれにも納得がいった。レースまでの間、彼女は馬を見つめ続けたり遊んだりしていた。

ダイパールのおしゃれ

このレースは牝馬3頭が比較的人気。2番人気の重賞2連勝中サダエリコはちゃかついていたけど、すごい美人!
ばん馬って大きいからみんなおでぶな女の子のイメージがあったりなんかしていたけど、サダエリコ、
体が大きいだけでサラブレッドにもいる美人系の顔と同じ。
ばんえいの牝馬にもこんな美人な子がいるんだ!

ファンファーレが鳴る。スタンドにいる人たちも皆外に出てきた。
帯広にはばんえい記念でしか来たことがなかったから、今日のレースの混み具合の想像もつかなかったけど思っていたより人がいた。
私はコースの奥で写真を撮っていた。手前に馬が向かってくる格好となる。
しゃらんしゃらん、という音と共に一瞬頭が見えて、そして消えた。第1障害通過。
しばらくして第2障害を上がってくるのが見えた。馬たちが頭を振って力を振り絞る。最初にミスターセンプーが坂を越えた。
1番のダイパールはどこにいる?まだ越えてない??次々と馬が坂を越えようとしている。スタンドからのかけ声が大きくなる。
内の3番エビステンショウがゴール前、ミスターセンプーを差したようだ。「よしっ、よしっ」と言って厩務員さんが駆け寄っていった。
何頭かはゴールしたのだけど、ダイパールがなかなか坂を越えられない。心配になってずっとカメラで彼の姿を追う。
頑張って…そう思っていると、スタンドから女性の声が聞こえた。
「もう少しだから!頑張ってー!頑張ってー!!」
一旦静まり返ったはずの競馬場で、彼女のダイパールに対する応援の声だけが競馬場に響いていた。
この女性がダイパールとなにか関係があるのかはわからない。私みたいに姿を見て気に入ったのかもしれない。
ダイパールだからじゃなくて、1頭だけ取り残された彼の姿に何か思うところがあったのかもしれない。
しばらくしてダイパールは坂を越え、最後の直線を進んでいき、結果2分ほど遅れてゴールした。

いよいよ最終レース。早いなぁ〜。2つのカメラのうち一つのフィルムが終わったので片方を一旦置きに戻る。
部屋を暖めておいていただいたのは嬉しいけど、曇って大変だぁ…(^_^;)
外に出ると、ああっ!!イレネー記念の表彰をやっていたー!ああっっ忘れてたよ〜。
写真撮りたいっ、あああっ曇りがまだ取れない〜。うううー。カメラをぶんぶん振る(^_^;) あうー。
どうしよう〜。ブロアーでなんとか曇りを取って1枚、そこで表彰式が終わってしまった。うう。
最終の写真を撮ってから周りを見ると、レース後も人の乗った馬がコースに向かって歩いていった。
これから調教がはじまるようだった。レース終わってからやるんだぁ…
何度も言うけど、年度最終レースのばんえい記念しか見たことがないから、レース後に調教をしているなんて知らなかった。

事務所に挨拶をして競馬場を後にする。バスの時刻を見ると、うう、また行ったあとだし、
もう少しで来るなぁと思ったら日曜走ってないし…。また歩く(T_T)
イレネーをしみじみと見て、いろいろと考えながら競馬場を後にする。

開拓の歴史について思う。大好きな北海道に生まれた者として。道産子として。
親戚に、私が馬が好きということがばれると「昔家に馬がいたんだよ」とよく言われる。
昨日読んだ『仔馬のハル』という絵本もモデルは北海道の家にいたばん馬。
荷物を引いた馬たちの歴史が今はかろうじてこのコースに残されている。
そんなに聴いたこともないのに懐かしく感じるファンファーレ。昔近くに馬がいたわけではないのに感じる郷愁。それこそが歴史。
今日すれ違った人たちも、むすっとした人がほとんどいなくって、みんな笑顔で話し掛けてくれて。
泥くさくて暖かいこの感じ。
ばんえい競馬。絶対失ってはいけないものだと思う。

夜、なに食べよう…。駅に2件豚丼屋があるのは調べていたのだが、昼も夜もかぁ、と思いながらも頭の中が豚丼だったために、
帯広駅ESTA内にあり、いつも行列を作っているとの記述があった「はげ天」へ。
はげ天といえば天ぷら。天ぷらやさんが豚丼?と思っていたら、本店の天ぷら屋さんって帯広だったんだぁ…
「2月11日まで札幌三越に出張中!」と書かれた張り紙を見て少し眩暈を起こすが注文。
女性が2人でやっているのを見てパート?と思ったり、値段もはる気がするし、チェーン店かと思うとあまり期待はしていなかった。
…がっ!!一口食べて、お、おいしい…!!
なんとも言えない焦げ目。なんでこの味が出るの??
ああっ、これは行列が出来る訳がわかったよ…。やられた…。
隣に豚を焼いてる人の知り合いが来たらしく、「今日忙しくてねー、やっと落ち着いた」と言っていた。そらそーだわー。

おいしい豚丼でお腹をいっぱいにして、JRの中でうとうとしながら今日あった大きな馬たちのことを思い出す。
豚を連れて入植してきた人のこと。十勝の森。
イレネーの登場。馬たちの生活。農耕馬の活躍。そんな「オレの馬」を競い合わせて楽しんでいたこと。
私にはそんな生活が、見えた気がした。

ばんえい競馬の風景スライドショー(9pic)
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アキバオーショウ 1 2