永田町コンフィデンシャル

第107号=平成10年2月25日(水)

◆事務次官を目指す涌井主計局長と加藤幹事長の「ゴルフ会談」の思惑?◆

「週末の二月七日、自民党の加藤幹事長と大蔵省の桶井主計局長がゴルフ会談で『手打ち』した。これで、涌井の事務次官の芽が残った」(自民党旧三塚派閣僚経験者)

逮捕者を出した大蔵省接待汚職事件は一連の不祥事の責任を取る形で小村武前事務次官(昭和三十八年入省)が辞職。後任の事務次官には「次官待ちポスト」である主計局長の涌井洋治氏(同三十九年入省)ではなく、大蔵省から次官級ポストの内閣内政審議室長に転出していた涌井氏と同期の田波耕治氏(同三十九年入省)が就いた。

涌井氏は泉井石油商会疑惑に絡んでいたため、事務次官就任が見送られた。

ところが大蔵省内には「主計局人脈」を中心に次期事務次官に涌井主計局長を待望する声が強い。

「田波さんでは大蔵はまとまらない。今、大蔵は強いリーダーシップが求められている。来年の人事で涌井さんを次官にすべきだ」(大蔵省主計局関係者)

こうした省内の空気を察して涌井氏が加藤幹事長に接近したのが、「加藤・涌井ゴルフ会談」と見られている。

加藤事務所では「七日は埼玉県の後輩議員の応援。八日の日曜日は在宅」と説明している。加藤幹事長は二月七日午後六時から埼玉県比企郡川島町で開かれた自民党の山口泰明代議士の地元後援会で講演。

しかし、午前中から午後六時までの「行動」が不明。

一方、涌井氏は親しい周辺に加藤幹事長とのゴルフ会談を認めた上で、「埼玉じゃないよ」と話している。

◆村上正邦・参院幹事長の山拓接近の狙いは、ずばり参院議長ポスト!◆

自民党の山崎拓政調会長と村上正邦参院幹事長の急接近、「蜜月ぶり」が憶測を呼んでいる。

二人は同じ旧渡辺派幹部。自社さ連立維持派の山崎氏は中堅・若手の支持を受け、中曾根元総理らベテランと自社さ連立批判派と対立関係にある。方や村上氏は中曾根元総理に近く、自社さ連立維持派には批判的な言動を取っていた。

その二人が旧接近したのは、昨年秋の総裁選後の内閣改造・党役員人事をめぐる権力闘争で、中曾根氏ら自社さ連立批判派(いわゆる保・保派)が惨敗したのがきっかけ、といわれている。

村上氏は、旧渡辺派内の山崎氏に批判的なベテラン、自社さ連立批判派議員と置き始めた。村上氏は今年に入り、自ら主宰する旧渡辺派参院議員らによる勉強会に山崎氏を招いた。席上、山崎氏は「村上先生の指導には一切逆らいません」と頭を下げた。

「村上は『参院の尊師』と陰口をたたかれる実力者。村上は斎藤議長を再選、三年後の参院議長を狙っている。そのためには派内で力をつけ、派閥の継承者になる山拓に協力した方がメリットが大きい。山拓に協力、今年夏の参院選の比例名簿の上位登載を目指している」(参院自民党旧小渕派関係者)

今や落ち目の中曾根氏に義理立てするよりも党執行部で、参院比例名簿の順位決定に影響力を持っている山崎氏の協力した方が得策というわけだ。

一方、山崎氏にとっても、参院の実力者である村上氏と手を結ぶことで派閥継承を有利に運ぼうという思惑があると見られる。

◆日興證券からの利益供与疑惑の新井将敬代議士、自殺の衝撃!

自殺した故新井将敬代議士は自民党旧渡辺派を皮切りに、旧自由党──新進党──二十一世紀クラブ──自民党旧三塚派と政党遍歴を重ねた。

故新井氏は、東大を卒業後、新日鉄を経て、大蔵省に入り、故渡辺美智雄蔵相時代に蔵相秘書官(事務)に起用されたことが政界への転進のきっかけをつかんだとされている。当時、故渡辺美智雄氏は総理総裁を目指して手勢を拡大中であった。

故渡辺氏の強力な後押しで政界入りした故新井氏は自民党旧渡辺派(当時=中曾根派)に席を置いた。その後、自民党を離党、柿沢弘二、太田誠一、高市早苗氏らと自由党(小沢自由党とは無関係)を作り、その後新進党に参加、さらに一昨年の総選挙前に新進党を離党、総選挙後、自民党に復党した。

故新井氏が初当選以来、筆頭秘書を務めていた大塚徹氏(北海道出身)が、平成八年四月から自民党の荒井広幸代議士の政策秘書に転職している。大塚氏は退職にあたって、故新井氏との間で「これまで新井事務所で見たこと、聞いたことは今後、一切、公言しない」ということで合意した、といわれている。

故新井氏は韓国国籍からの帰化日本人人であるが、韓国系在日居留民団での評判が良くない。その理由について、韓国系民団関係者は「新井は在日から帰化した事実を隠したがる。もっと、堂々とすべきだ」と批判していた。

◆故新井代議士と霊感商法・統一教会との知られざる関係?◆

社会問題化した霊感商法の「統一教会・勝共連合」と故新井氏との親密な関係はほとんど知られていない。関係者によると、「統一教会・勝共連合」が故新井氏を物心両面から積極的に応援したのは、二つの理由からである、という。

一つは故渡辺美智雄氏が「統一教会・勝共連合」に対し、故新井氏への応援を依頼し、その代償として「統一教会・勝共連合」の女性幹部信者・阿部令子女史(旧大阪三区から二回出馬、いずれも落選)を自民党公認とすること約束した、と統一教会内部ではいわれている。

もう一つの理由としては、在日韓国人からの帰化日本人である故新井氏について、韓国人教祖・文鮮明氏が、「統一教会・勝共連合」の幹部信者らに「新井を応援しろ」と指示したからだ、と伝えられている。初当選前後に新井氏は、文鮮明教祖に会っている。

故新井氏の選挙区には「統一教会・勝共連合」から「十数人の地元秘書を派遣した。前回の選挙の時にも秘書のほか、大量の運動員を派遣した」(「統一教会・勝共連合」関係者)といわれている。

ところが、一昨年の総選挙後、両者の関係が悪化したという。最近では「新井はカネに汚い。こっちは利用されただけ」(「統一教会・勝共連合」関係者)と関係が冷えている。

それでも、通夜と告別式には「統一教会・勝共連合」の幹部や統一教会信者の元秘書らが出席した。

◆故新井将敬代議士、強気の背景とナゾのテープ?◆

関係筋によると、故新井代議士が生前、強気だった背景には、問題の利益供与疑惑が故新井代議士の要求によるものではなく、日興証券側が「自主的に利益供与を行った」ことを裏付けるテープが存在するからである、という。

また、利益供与が行われたとされる問題の時期は、新井代議士が「自由党」(党首・柿沢弘二氏=当時)、新進党(当時)所属時代である。

新井代議士の株取引、利益供与疑惑に関しては、新井代議士の私設秘書・田辺 治氏がカギを握っているものと見られる(平成十年一月二十九日現在)。

東京・永田町の衆院第二議員会館四階にある新井将敬代議士の国会事務所に東京地検特捜部の家宅捜索が入った二月十八日午後、報道陣が殺到した。

このころ故新井代議士は午後五時から開会された衆院議院運営委員会に出席、釈明。その後、故新井代議士は午後六時前、衛視に付き添われて第二議員会館のロビーに姿を見せ、会館に入った。そして、「最後の記者会見」を行った。この時、故新井代議士は、件の「ナゾのテープ」を公表し、テープの内容をプリントした資料を報道陣に配布した。

翌二月十九日午後、東京・品川の品川パシフィックホテルの客室で、首吊り自殺を図った新井氏の遺体が夫人によって発見された。

一方、故新井氏の死亡による欠員が生じた衆院東京区の補欠選で、自民党は今年七月改選を迎える森田健作参院議員(本名・鈴木栄二)を擁立する方向で調整に入った。森田健作氏は、七月の参院で比例区に回る予定であるが、新井氏の死去で急遽、自民党の公認候補に浮上してきた。

<参考情報>

検察筋によると、大蔵省接待汚職を捜査中の東京地検特捜部は、OBを含む大蔵官僚数人と借名口座で利益供与を受けた政治家数人の強制捜査に向け、最後の裏付け捜査を急いでいる模様だ。平成十年度予算後の四月か、五月には強制捜査に踏み切るものと見られる。(この頁おわり)

(注)深夜の執筆のため、誤字・脱字があろうかと思いますが、ご容赦下さい。

(伊 藤 達 美)


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