笑顔の行方 -2-
ラガルトの提案により、『黒い牙』に関する聞き込みをする事にした
エリウッドたちは、その手筈に付いて話し合っていた。
「では、手分けして調べよう。
くれぐれも目立たないように。」
エリウッドが、号令をかけると、
珍しく、険しい表情を浮かべてヘクトルが呟く。
「気をつけねぇとな。」
「ヘクトルは、特にね。」
厭味っぽい口調で、リンが言う。
「なんだとっ!?」
ヘクトルが、怒鳴り返した時には既にリンの姿は無く、
ヘクトルも追うようにその場を去って行った。
そんな二人のいつもの遣り取りを見て、エリウッドは呆れたように
嘆息する。
「…まったく
仲が良いのか悪いのか
わからないな。」
「クスッ」と、ニニアンの口元から、思わず笑みがこぼれる。
エリウッドにとって、その笑顔は不意打ちであった。
「なにがおかしいんだい
ニニアン?」
何でもない風を装ってはいたが、内心では動揺していた。
「だって…
エリウッドさまのつぶやき、
まるで、お二人の
保護者みたいなんですもの。」
ニニアンは、エリウッドの問いに、口元を押さえながら答える。
「え?そんな風に
聞こえたかな?」
「はい。」
「まいったな。」
本当に、困ったような口調で呟くエリウッドの姿を見て、
さらにニニアンは、クスクスと鈴を転がすような声で笑う。
笑うニニアンを見て、エリウッドは無意識に呟いた。
「…そうして
笑っている方がいい。」
その言葉は、聞かせるために放った言葉ではなかった為、
ニニアンの耳には届かなかったらしく。
「え?」
と、聞き返す。
「いや、なんでもない。
さぁ、行こうか!」
エリウッドは、誤魔化すように、殊更大声で言った。
ニニアンは、自分では気が付いているのであろうか。
出会ってから、今日初めてエリウッドの目の前で笑った事を。
笑ったら、可愛いだろうな、とは思っていた。
ただ、実際に目にしたそれは、想像よりもずっと可愛らしく、
無意識にエリウッドの頬も緩んだ。
いつか見たいと思っていた笑顔を、こんなにも間近で見られることが、
現実となった事が嬉しくて。
そして、この笑顔を、今度は守りたいと思う。
いや、守らなくては……──僕が。
continue
2003/11/09
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