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■ 韓国紀行
第28回  新春巻頭に願う

新年明けましておめでとう御座います。

去歳の厚情御礼申し上げます。昨年起こった未曾有の大惨事東日本大震災の復興と福島原発の解決を願わずにおれない。

 3.11によって、東北、関東地方では多くの人々が罹災されたが、我々在日同胞も死亡者を含め被害者が出た。そんな中、我々民団は、ボランティアを募り、救援隊を派遣し復興支援に参加した。本国韓国でもレスキュー隊を送り、官民を挙げて数十億円の募金支援に「がんばれ、日本!」と日本語でエールを送りキャンペーンをした。

 民団は全国の同胞に呼びかけ、3億円以上の募金活動をしながら罹災した各県自治体へ義捐金を贈った。災害は国境や民族を越える。支援とは、人として援け支え合うことだが、人種や国家を問うことではない。そこでは人の尊厳と権利が問われるだろう。

 そんな一年を振り返ってみても「絆」や「日本の統合化」が叫ばれたが、社会全体を包む被膜も、年間3万人以上の自殺者、深刻な少子高齢化、そして円高による産業の空洞化、GDP下落等経済環境の激変が言われ、暗澹たるものである。

 そんな折、「日本が大変な状態であるのに、外国人の人権迄知るか!」と恫喝の声が響きそうだが、愈々「在日問題」とはすり切れかかった言葉であり、死語となった感がある。相対的な無関心にぶつかったかもしれないが、在日問題がマスメディアや新聞の埋草程度に扱われるのは、外相や首相の在日よる政治献金問題である。言い訳は通名使用による「外国人とは知らなかった」である。通名とは大半が創氏改名による創氏である。来たくて来たわけではない在日が、使いたくて使っている創氏通名ではないのである。在日問題は終わっていない。又、交流は酸素であると言う。グローバリズム等というまい。

 国際化は避けられない国際交流の現実である。嘗て「内なる国際化」の代名詞に在日が語られたが、地方参政権問題を含めて制度的市民権を与えられていない在日は「内なる植民地化」状態に生きる。

 日本やわが愛すべき鳥取に希うのは、単なる国家間交流やあたりさわりのない地域間の民間による国際交流ではなく、移民問題も内包した、外国人問題の深化であり、真の国際化である。

 さらには、人権会議や日韓交流の場で都合良く添え物としての参加は請うが、市庁舎問題や自治基本条例で身近な住民としての問題でさえも、つまりは住民投票資格からも排除しようとする、民主主義や仁愛の欠乏した情けない姿勢ではなく、100年近くも此の地で暮らす在日を住民として認め、成熟した日本や滋味あふれるふるさと鳥取たることである。

(2012年政経レポート新春号掲載)


★著者、薛幸夫氏は、民団鳥取県本部団長です。(編集部注記)



        

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薛 幸夫
(そる へんぶ)
★1951年、鳥取に生まれ、鳥取に育つ、国籍韓国、俗にいう在日韓国人2世ということになる。★1990年代初頭、濱崎洋三の知己を得る。以後私淑す。★まだひこずっていた、青くさい文学臭や、実存主義等、御フランスものの瘡蓋を氏によってはがされる。★そして、その覚醒は、「在日」という避けられないスタンスから、今一度「世界」を捉えることを認識させられることとなる。★現在の志向、歴史と言語の問題。★そのような場から、中上的な身体性を問う作業。☆嫌いなもの、民族、国家。★好きなもの、美。★趣味、鳥取近郊の山野を狼(老)犬の如くに駆け回ること。

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