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■ やっぱり、定有堂で朝食を
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第18回 2001年11月29日
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2001年11月29日は、取次の鈴木書店にとっては大変な日でした。
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1時30分から、取引先のほとんどの出版社に集まっていただき、債権者になっていただけるよう、ご相談とお願いと報告をする会が開かれるからです。いわば、その会の内容によっては、鈴木書店が倒産するか、新会社に移行できるかの瀬戸際。小生は、すでに課長を降ろさせていただいていて、ヒラ社員でありますから、その会には出席せず、1日を仕入の窓口の、自分の机のところでぼんやり坐っていたのでした。
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朝からその会に出席してくださるためか、版元さんは誰も窓口には来ない。電話による出版社からの問い合わせが続いた後は、見本があってもいいのに、今日の午後にツブレルかも知れない取次に、商品を搬入しようとする社などない……、などと思っていると、刀水書房の美人、中村さんが見本を持って現われた。「12月の5日の配本でお願いします」にこやかさが輝いて見えた。「鈴木さんを応援します!」。小生は、涙が出そうになった。
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しばらく間が空いて、次にお見えになったのは、第三書館の社長北川さんだ。いつもなら、営業の人が見本を持ってくるのに、社長みずからが持ってきてくれた。しかも、2点も。さり気ない説明をして、じゃあお願いします、と帰られた。その足で、会に出られるのだろうと思った。
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その後も、なん社か見本を持ってきていただいた。新会社になれると信じている、あるいは、その方向で応援してあげるよという意思表示と受け止めた。ありがたさが身に沁みた。
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もう、なん10年も昔の話。谷崎潤一郎の新刊がベストセラーになった時、今は大出版社である某社は経営が困難であった。売れているのに、本を沢山作れない。全国の書店からは、注文が殺到している。そこで、当時、鈴木書店の社長だった鈴木眞一は、太っ腹なところをやって見せてくれる。
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鈴木書店に、納品書だけよこしなさい。その本は、東、日販をはじめ、他の取次に搬入しなさい、と。つまり、某社は、鈴木書店からは金だけを受け取り、少ない本をよそに廻せるから、二重に儲かるわけなのである。
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そうやって、某社はピンチを切り抜けられ、後年、同社の語り草になったが、現在、この話を知る者は、同社に5人もいないだろう。
小生は、そんな昔の話を持ち出して、恩着せがましく語るつもりなどさらさらない。同社は、現在、鈴木書店の取引解消の方向に進んでいる。
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明日を知れぬ命の時、(ど――なるかわからない状況になった時)小規模の出版社のほうが、人間味のある行動が取れるもんだと思ったまでだ。
さきほどの某社は、取引中止が決まってもいないのに、鈴木書店にある在庫をきれいに引き上げてしまっている。小生が、たち上げるとしたら、小さな出版社にしよう。決して、大きくはしない。もっとも、そんな予定はないけれど……。
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