part2
石器時代発といった感じの、極めてシンプルなデザインの手水鉢。
リスとかシカとか森の仲間たちが次々と現れて、この手水鉢の水で喉をうるおしていく、そんな微笑ましい光景がとっても似合いそうです。
逆に人間が使うとなると、手を洗うにしろ、飲むにしろ、どう転んでも不粋になりそう。
背の高い木々に囲まれた大田神社です。そんな鬱蒼とした雰囲気だから尚のこと、この手水鉢に動物たちのささやかなオアシスを思うのかもしれません。
【京都:大田神社にて】
シャレた手水鉢だな、と思います。上流階級のお嬢さん風の楚々たる雰囲気を醸し出しています。とにかく、品のよさにかけては一級品の手水鉢です。
だけどこのお嬢さん、うかつに声をかけるとピシャリとやられそう。だって、よく見てください。案外、堅物ですよ。四角四面、曲がったことが大嫌いといった風貌じゃないですか。
しつけの厳しい、うるさ型のご母堂が後ろに控えていそうです。
【京都:瑞峯院(大徳寺塔頭)にて】
手水鉢を前にして、石仏の行列が出来ています。おいしい水なのか、それとも身体にいい水なのか、しっぽが見えないくらい長い行列になっています。一番後ろは二時間待ちといったところ。それはそれは大繁盛の手水鉢なのです。
さあさ、水はふんだんにあるんだから一列に並んで!
【奈良:元興寺極楽坊にて】
可愛らしい手水鉢を見つけました。柄杓の長い柄が、その小ささを殊更に強調しています。
僕は子供の手水鉢と名づけました。日当たりのいい中庭で、陽光をめいいっぱいに浴びながら健やかに育っている、そんなイメージが似合う手水鉢です。
もしかすると人のいない時にはこの中庭を元気に走り回っているんじゃなかろうか。そして、庭園の池で鯉を捕まえたりして遊んでるんじゃないだろうか。そんな愉快な想像がいっぱい楽しめそうな手水鉢です。
【京都:円徳院(高台寺塔頭)にて】
日本で最も有名な蹲です。みんなこの蹲を見つけると「あったあった」と立ち止まってカメラを構えます。
ところが、こいつは真っ赤なニセモノ。本物を模して作られたレプリカなのです。本物は目に触れないところにしまわれて大切にされています。
けれども、このレプリカは本物よりも遥かに幸せな存在です。多くの人に愛されて、絶賛の声を浴びているのはいつもこのレプリカなのですから。
お寺の奥の奥に大切にしまわれている本物の蹲は、みんなの楽しそうな声を聞きながらちょっと悔しい思いをしているかもしれません。
【京都:龍安寺にて】