part3
南円堂の近くにある有名な手水鉢です。
水口がやけに頭でっかちの龍になっているのですが、僕はこの龍を見るにつけ屋台でやきそばを焼いているおじさんに思えて仕方がありません。
このおじさん、結構昔からここで店開いてますからね、やっぱり人気があるわけですよ
。いろんな人が入れ代わり立ち代わりでやってきます。
いつだってお祭のように賑やかな南円堂に打ってつけの手水鉢だと思います。
【奈良:興福寺にて】
見るからに洗練された形のいい手水鉢です。大柄なわりにゴツゴツした感じはなくて、むしろスマートな印象さえあります。
言うなれば、体格のガッチリとしたスポーツマンタイプ。そのくせ汗の匂いはまったくなくて、いつもオシャレに決めている都会派スタイリッシュ・ボーイです。柄杓を置くために使われている長い青竹が、いいアクセントになっていますね。
なんだか、モテてモテて困ってしまいそうな、羨ましい手水鉢です。
【奈良:當麻寺中之坊にて】
巻物を口にくわえたシカです。
これで大ガマの上にでも乗っていれば、それは忍法を使うつもりなのでしょうが、このシカが乗っかっているのは手水鉢。これはどういうシチュエーションでしょうか。
僕はこう考えました。
たぶん、この巻物はとても大事な巻物で、急いでどこかへ届けなければいけないんですよ。脱兎のごとく、息せき切らせて走っていたら、やれありがたや、こんなところに手水鉢が!
そこで、休憩の一幕。ホッと一息、手水鉢。もうここから一歩も動きたくな〜い、というシカくんなのです。
【京都:大原野神社にて】
手水鉢が二つ並んでいます。どちらにも柄杓が一つずつ。どうぞお好きな方をお使いくださいというわけです。
一見仲良く並んでいるように見える二つの手水鉢ですが、実は水面下では激しい客引き合戦が行われているのでした。
手前の手水鉢は工夫しています。周囲に苔を張り巡らせ、若干造形にも丸みをつけて、柔和な雰囲気で勝負をかけます。一方、向こう側の手水鉢はシンプルこそ一番と言わんばかりに、四角四面、謹厳実直な風貌で通を唸らせます。
さて、このライバル対決、あなたならどちらに軍配を上げますか?
【京都:三千院にて】
手水鉢を追いかけている人ならば、誰もが愛さずにはいられない宝山寺の“モダン手水鉢”。
中を泳ぐ二匹の鯉(模型)や、リアス式海岸のようなギザギザの縁取り、極端に小さく作られた水口など、どこを取っても優れたセンスが感じられます。
これは現物をぜひ見て欲しいところです。明るい日に輝く水の中で元気に泳ぎ回る鯉が、どれだけ愉快なことか! 僕は宝山寺というと、この鯉に会いに行くのが何よりも楽しみなんですよ!
【奈良:宝山寺にて】