瑞泉寺<井波別院>(富山県南砺市)

訪問日:2005/12/12

寒空に温かい親切

バスを降りると、雪。そして、雨。みぞれです。
あいにくと傘を持っていなかったのですが、雨に濡れるのが大好きな僕です。迷わずずぶぬれ覚悟で、瑞泉寺の大きな山門をくぐりました。
すると、拝観受付のおばさんが濡れ鼠の僕を見て、“どうぞ、傘を使ってください”と親切に薦めてくださいました。見ると、傘立てに小さなビニール傘がさしてあります。開いてみると、骨が一本折れて、ぶらぶらしてる。
けれども、その親切がとても嬉しかったので、ぼろぼろのその傘をお借りすることにしました。こんな些細な出来事が、とてもいい旅の思い出になります。

ガードは万全雪対策!

右の写真は本堂です。四方をすっぽりと木の板で覆われて、どんな形のお堂なのかまったくわからないようになっています。
“修復中なのかな”そう思ってお寺の人に聞いてみると、違うんですね。毎年この時期になると、雪対策としてお堂をすっぽり囲ってしまうらしいのです。雪国のお寺って大変なんだなぁ、と思いました。
堂内は真宗のお寺らしく、煌びやかなものでした。厨子も欄間も金色に輝いて、きらきらしていました。特に欄間の中で踊る鳥や花の彫刻がいかにも華美で、とても見応えがありました。
お堂の真ん中ではストーブが赤々と燃え、僕はその傍で暖を取りながら、いつものように文庫本を開いていました。もうここから一歩も動きたくないな、と思いましたね。

可愛らしい太子像

本堂から伸びる渡り廊下を伝って、隣接する太子堂に入れていただきました。名前から想像がつくように、ここには聖徳太子の2才像が安置されています。秘仏なので見ることはできませんでしたが、御前立ちとして作られた可愛らしい太子像を見ることができました。あどけないお顔で、両手を合わせて、真摯に祈っています。小さな像でしたが、そこから発せられる大きなパワーを感じましたよ。

こちらのお堂は、先ほどの本堂のような囲いはされていませんでした。堂々とした重厚なつくりのお堂でした。

寒空によく似合う光景

みぞれは止んで降って、また止んで。傘も差したり閉じたり、その度にぶらぶらと折れた骨が揺れます。
雪国の冬ですから、寒さがとても身に沁みます。落ち着いた雰囲気の建物が建ち並ぶ境内が、この寒空の下でとても美しい光景に思えました。僕は、この美景をずっと眺めていたかったので、なかなかお寺を出る気になれませんでした。
寒さは身に沁み、美しさは心に沁みる。そんな冬の瑞泉寺でした。

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