訪問日:2005/06/05
太山寺の小さな山門をくぐると、真正面に大きな本堂の姿が目に入ります。飾り気の全くない、シンプルかつ大らかなお堂です。
お堂の真正面ど真ん中の扉が開けられていて、そこが入り口になっているのですが、僕にはこのお堂がでっかい口を開けてアクビしているかのように見えます。
そう、太山寺ってのどかな町に建つのどかなのどかなお寺なんですよ。
お堂がアクビしていると、眠くもないのに僕までつられてアクビが出そうになります。
本堂から見える三重塔も、やっぱりのんびり気分で建っているように見えます。
この塔の下で、中学生くらいの女の子が4〜5人、スケッチをしていました。スケッチなんて小学校の図工の時間以来したことありません。絵心のない僕です。
絵心のない人間がこういう時どうするのかというと、絵筆の変わりに文庫本を取り出します。三重塔の傍らにあるベンチに腰掛け、しばしの読書。
静かな時間が、ゆっくりと流れていきます。
どこかでウグイスが鳴いていました。
太山寺のウグイスは、名演出家です。のどかだなぁと青空を見上げたときにケキョケキョ、本堂から出て広い境内を見回したときにケキョケキョ、実にいいタイミングで鳴いてくれます。おかげで、僕の気分はめいいっぱい盛り上がるのでした。
もっともこのウグイス氏、声がすれども姿は見えず。その奥ゆかしさも、いいなと思います。
三重塔の脇を通り抜けると、そこには太山寺川という川が流れていて、川にかかる赤い太鼓橋を渡ると、奥の院があります。ここまでやって来ると、ひと気がまったくなくなって、ちょっとばかり寂しい雰囲気です。
けど、さらさらと流れる水音が、とっても心地いい。まるで川が軽快なリズムを取りながら、鼻歌を歌っているようです。
じっと耳を済ませて、川の歌声に酔いしれました。